《第四章》第五節:去り際の視線と、新たな絆
どうも、モモスケだ。バスの遅延が生んだ、坊主との特別な縁。桃と真司は、ゲーム談義で意気投合し、名刺交換までしていたぜ。そして、去り際、あの坊主の視線が、なぜか俺に向けられていた気がするんだ。俺のひねくれた直感が、新たな波乱の予感を告げているぜ。
遅れて到着したバスのドアが開くと、従業員たちは我先にと乗り込んでいった。俺も桃の肩に乗せられたまま、バスに乗り込もうとする。
桃と真司は、バスに乗り込む前に、坊主のほうへ同時に向き直った。
「本日は、本当にありがとうございました。阿闍梨様のお話、大変勉強になりました!」
桃が深々と頭を下げた。
「貴重なご縁をいただき、感謝いたします」
真司もまた、丁寧に一礼する。
坊主は、二人の頭を優しく見下ろし、満面の笑みを浮かべた。
「いやいや、こちらこそ、久方ぶりに面白い話ができた。ゲームの道、大いに励んでいただきたい」
そして、三人は同時に立ち上がり、深く一礼した。その直後、桃と真司は、まるで示し合わせたかのように、坊主に名刺を差し出した。坊主もまた、自分の名刺を取り出し、それを二人に渡す。
「もし、何か困ったことがあれば、いつでも連絡を下さい。道は、常に開かれております」
坊主はそう言って、にこやかに微笑んだ。その言葉は、まるで二人の未来を祝福しているかのようだ。
桃と真司は、坊主に見送られながらバスに乗り込んだ。バスの中から、従業員たちが坊主に手を振っている。みんな、今日の予期せぬ出会いに、興奮冷めやらぬといった様子だ。
バスが動き出した。坊主は、バスの窓越しに手を振っていたが、何故か、その視線は俺に向けられている気がした。俺が喋らないインコだと知っているはずもないだろうに。まるで、俺の心を見透かしているかのような、不思議な瞳だった。俺は、その視線に、わずかな戸惑いを覚えたが、すぐに「気のせいだ」と自分に言い聞かせた。
バスは、山道を下り、寺を後にする。
車内では、桃と真司が、今日得られた坊主との出会いについて、興奮気味に語り合っていた。
「まさか、あんな高僧の方が、ゲームに詳しいなんてね!」
「ええ。モーションキャプチャの話、具体的なヒントをいただけました。もしかしたら、本当にご協力いただけるかもしれません」
二人の顔は、希望に満ち溢れている。
彼らの手の中には、坊主の名刺がしっかりと握られていた。それは、単なる名刺ではなく、彼らの会社「株式会社MOMO」の未来、そして、二人の関係に、新たな道を開く可能性を秘めたものだ。
俺は、そんな二人を、桃の肩の上から見守る。
護摩焚という、本来の目的とは全く異なる場所で、彼らは新たな縁を見つけた。
しかも、その縁は、彼らの仕事だけでなく、もしかしたら二人の「純愛」にも、何か影響を与えるかもしれない。
俺のひねくれた純愛観察日記は、新たな人物を迎え、さらに複雑で、面白い展開へと進んでいく。
この坊主が、俺たちにもたらすものは何なのか。
そして、桃と真司の関係は、どこへ向かうのか。
俺の好奇心は尽きない。
まさか、護摩焚で新たなビジネスの縁が生まれるとはな。桃と真司の顔は、希望に満ち溢れていた。そして、あの坊主の視線……。奴は一体、俺の何を見ているんだ? 俺のひねくれた純愛観察日記は、新たな登場人物を迎え、さらに予測不能な展開へと進むぜ。




