《第三章》第四節:従業員たちの歓喜と、真司の告白
どうも、モモスケだ。真司が作ったおにぎりで、従業員たちは大盛り上がりだぜ。彼らが仕掛けた作戦は、ついに真司に告白の決意をさせたようだ。この不器用な男が、桃にどんな言葉を贈るのか? 俺のひねくれた心臓も、期待で高鳴っている。いよいよ、この純愛物語が動く。
真司が作った、少し不格好なおにぎり。桃はそれをまるで宝物のように抱え、嬉しそうにデスクについた。その日の社内は、いつも以上に活気に満ちていた。というのも、従業員たちは、桃と真司の「遠足」がどうなったのか、興味津々で二人の様子を伺っていたからだ。
昼休憩になると、従業員たちは休憩室に集まり、そわそわし始めた。
「桃社長と真司さん、今日の朝からなんだか雰囲気違いますよね!?」
イラストレーターの佐藤が、興奮気味に声を潜める。
「ああ。真司さん、いつもより顔が晴れ晴れしてる。それに、桃社長もご機嫌な様子だ」
プランナーの田中が、冷静ながらも興味深そうに頷く。
「絶対、何かありましたよ! 遠足で!」
プログラマーの山田が身を乗り出す。
その時、桃が真司と一緒に休憩室に入ってきた。手に持っているのは、ラップに包まれたおにぎりだ。
「皆さん、お昼にしましょうか!」
桃がいつものように声をかけると、従業員たちの視線が一斉におにぎりに注がれた。
「えっ、桃社長、それ、もしかして……」
佐藤が声を震わせる。桃は、少し照れくさそうに笑った。
「これ、真司さんが作ってくれたおにぎりなの! 昨日は私が作ったから、今日はお返しにって」
桃の言葉に、休憩室にいた全員が、まるで時が止まったかのように固まった。
そして、次の瞬間、大歓声が沸き起こった。
「うわあああ! 真司さん、やりましたねぇ!」
「まさか、手作りおにぎりまで! もう、告白したようなもんじゃないですか!」
従業員たちは、真司を取り囲み、口々に祝福の言葉を浴びせる。真司は、そのあまりの勢いに、耳まで真っ赤にして俯いてしまった。
「いえ、その……大したものでは……」
真司は、顔を覆い隠すようにして、しどろもどろになっている。
だが、従業員たちの熱気は収まらない。山田が、真司の背中をポンと叩いた。
「もういいじゃないですか、真司さん! 桃社長も喜んでるんですから!」
桃もまた、そんな真司の様子を見て、くすくすと笑っていた。その顔は、本当に幸せそうで、俺は彼女の肩の上で、小さく笑みを浮かべた。
この光景を見て、俺は改めて悟った。
真司は、健太という男の出現によって、自分の中に眠っていた感情を、外に出す勇気を得たのだ。そして、桃もまた、真司のその行動に、心からの喜びを感じている。
従業員たちの歓喜の中、真司は、意を決したように、桃にだけ聞こえるような小さな声で、ぽつりと呟いた。
「桃さん……俺、今日、桃さんにお伝えしたいことがあります」
その声は、震えていた。
桃は、真司の真剣な眼差しに、息をのんだ。
真司の不器用な告白が、いよいよ始まる。俺のひねくれた純愛観察日記は、ついにクライマックス?へと向かおうとしていた。
真司の不器用なおにぎりは、従業員たちにも告白のサインとして伝わったようだ。そして、真司はついに、桃に直接想いを伝えることを決めた。俺のひねくれた純愛観察日記も、いよいよ大詰めだ。この二人の恋は、どんな結末を迎えるのか。次節が待ち遠しいぜ。




