表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『モモスケのひねくれ純愛観察日記』  作者: ちょいシン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/30

《第三章》第二節:秘密の共有と、二人の帰り道

どうも、モモスケだ。真司の「守りたい」発言で、二人の関係は一変したぜ。帰り道、気まずいながらもどこか温かい空気が流れる中、桃が俺と健太の秘密を明かした。この秘密の共有が、二人の心の距離をどう縮めていくのか、俺はワクワクしながら見守ることにするぜ。

健太との一件以来、桃と真司の関係は、言葉にはならないものの、確実に変わった。資料館を出て、駅へと向かう帰り道。二人の間には、先ほどまでの気まずさとは違う、どこか穏やかで温かい空気が流れていた。俺は桃の肩の上で、その空気を胸いっぱいに吸い込む。


真司は、一歩引いて歩くのをやめ、桃の隣を歩くようになった。二人の肩が、時折、軽く触れ合う。そのたびに、桃は少しだけ身動ぎし、真司は耳を赤く染める。その一連の仕草が、俺には微笑ましくて仕方がない。


桃は、ふいに口を開いた。


「ねぇ、真司さん……」


真司は、桃の言葉を待つように、優しく彼女を見つめた。


「健太さんのこと……もしかして、知ってた?」


桃の問いに、真司は少しだけ驚いた表情を浮かべた。


「いえ、知らなかったです。ただ……」


真司は、少し言葉を詰まらせた後、ゆっくりと続けた。


「桃さんのことを、ああいう風に言うのは、嫌だったんです」


その言葉は、シンプルで、しかし、真司の真摯な気持ちが込められていた。桃は、その言葉に、またしても頬を赤く染めた。


「ありがとう、真司さん……」


桃はそう言って、照れくさそうに笑った。その顔は、先ほどまでの戸惑いは消え、心からの安堵と喜びに満ちていた。


そして、桃は、俺をそっと指差した。


「さっきの会話で気付いたと思うんだけど、健太さんって……モモスケの前の飼い主だったの」


桃の言葉に、真司は驚いたように俺を見た。俺は、その視線に、静かに瞬きを返す。


「そうだったんですね……。あの……すみません。気づかなくて」


真司は、まるで俺に謝るように、小さく頭を下げた。俺は、その態度に、彼という人間の誠実さを改めて感じた。彼は、俺という存在を、単なるペットではなく、桃にとって大切な存在として認識してくれている。


「大丈夫よ、モモスケ。真司さんは優しいから、きっと分かってくれると思ったの」


桃は、そう言って俺の頭を優しく撫でた。俺は、彼女の言葉に、胸の奥が温かくなるのを感じた。


俺が前の飼い主について、桃に語ることなどない。だが、桃は俺の様子から、何かを察してくれていたのだろう。この人間は、俺の沈黙の奥にあるものを、理解しようとしてくれている。その事実が、俺のひねくれた心を、少しだけ、いや、大きく揺さぶった。


二人は、その日から、ある一つの秘密を共有するようになった。真司は、俺が桃の前の飼い主と因縁があることを知った。そして桃は、真司がそのことを知っていることを知った。二人の間には、言葉を交わさずとも分かり合える、特別な絆が生まれたのだ。


帰り道、駅までのたった数分間が、二人にとっては、かけがえのない時間となったようだ。俺は、そんな二人の姿を見て、密かに笑みを浮かべた。


さて、この秘密の共有は、二人の関係を、さらにどう変えていくのだろうか。俺のひねくれた純愛観察日記は、新たな展開を迎える。

まさか桃が、俺の過去を真司に話すとはな。しかし、それが二人の間に、特別な絆を生んだようだ。互いの過去を共有し、より深い関係へと踏み出した二人。俺のひねくれたセンサーは、この先の展開をもう捉えているぜ。次節も、俺の観察は続く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ