あおの告白3
あの夜、おれはふたりのメッセージのやり取りを読んでいった。
るいがああなった原因はここにあると思った。
二人はオンラインゲームでの出会いやった。
インドア派の弟らしいといえば、そうやけど、
おれはそんな場所で出会いを求めるやつらが好きやなかったし、
部屋にこもってパソコンを打ったり、ゲームばかりする弟の姿を見るたびに、イラッとした。
弟は彼女の悩みを聞いた上で、いろんなアドバイスをしていた。
彼女はいまの家庭環境がいやで、1日も早く家を出たかった。
一人暮しをしたかった、いや単にひとりになりたかったんやろな。
おれも一人暮らしやから、その気持ちはなんとなくわかった。
彼女の住む場所は日本海側の雪国らしく、
ーー今日はこんなに雪が凄かったんだよ
小さな雪だるまの写真が送られてあった。
単なる勉強の相談相手から……
いつしか、彼女は同じ大学に通いたいと思いはじめるようになった。
ーーいつもこんなに楽しいから一緒にいたらもっと幸せだよ!
ーー同じ大学に入るのを支えに今は頑張るっ。
そういった彼女の言葉に対して、
ーー受験は大切な岐路だし、しっかり考えるようにしようね
弟は冷静に返事をしてた。
でも、彼女はそれにすぐに返信してくる。
ーー大切な人生だから、一緒にいたい。ダメなの?
ーーごめん、そんなことないよ。こんなに心が通じたのはじめてだし
おれの知る限り、るいは友人も少なかったし彼女もいた様子はなかった。
そもそも、あまり他人に興味がないように思えた。
あるメッセージに、彼女自身の写真を見つけた。
目元がくりっとして画面に向かって笑顔を向けている。
自然な笑みが写真からでさえ、愛らしく伝わってきた。
弟に向けての笑顔やったんやろな、家や学校では見せれない表情ってやつか。
自分なんかと釣り合うわけがない、弟ならこの写真を見て思ったに違いない。
あいつは賢いから返信しながらも、この先に待ちかまえる出来事を理解したはず。
心のつながりは、あくまで心までやと。
でも、彼女と会う期限は迫ってきて、逃げることもできんなって。
ほんまに苦しかったやろな。
せめて、おれには打ち明けて欲しかった。
……彼女が原因だったわけや。