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プロローグ

以前に投稿した作品を軸にして、書き改めました。


長くなりそうなので、長編を読むのが苦手な方、時間のない方は

三人の中からひとつの物語を選んで読み進めていただけたら幸いです。


と書いていたのですが、もう一人、登場してしまいました。

ので、四人からお選びください、と訂正しておきます。


※プロローグは、お好みでなければ読み飛ばし下さい。

空は真黒な厚い雲で覆われ、途切れとぎれ視界を覆い隠す重々しい霧。

二棟連結されて双子のように並ぶ校舎、その隣には体育館と思われる建物。

建物の前方に広がるグラウンドには一周400メートルの白いトラック線。

左右の端には、サビがむき出しになったサッカーのゴール柵。

グラウンドの土は雨水を含んでいて、所々に足跡のような水溜まり。

その真ん中で仰向けになって眠っている姿は、生け贄そのもの。


ガタンッ、

ガタンッ、

ピシャッーーツ。


校舎の方から教室の引き戸が一斉に開く音。

それは、スタートの合図。

雨がまた降りはじめ、顔に当たる生暖かい雨粒。

雨粒に反応して、微かに上下する生け贄の口元。

両手足がじわじわと収縮をはじめて、ゆっくりと開いていく切れ長の一重瞼。

片ひじを突いて上半身を持ち上げたあと、首を左右に回しながら周囲を確認。

その視線が、校舎の方角でぴたりと静止。


視界の先、校舎一階の階段から噴き出してくる人影の群れ。

両手を突いて、立ち上がろうとするがその身体は、一時停止。

みるみるグラウンドの敷地に達し、生け贄を取り囲む人影は百体超。

今や人影ではなく、それぞれの顔を確認できる距離まで到達。

(てき)

右手が再稼働、ジャケットの内側に手をはわせて握りしめた拳銃。

躊躇なく、前方の標的に向かって発砲。

幾重にも重なる人間の輪の奥に向かって、さらに弾を連射。

完成した人間たちの真っ赤な絨毯、その姿を見て身体操作全面復旧。

敵どもを踏み倒して、ぬかるむ土に足を取られながら疾走。

学校の正門から脱出。


緩やかに下る一車線の道路、走り抜けた先に現れる住宅密集地。

迷路のように細かく仕切られた路地。

網目のように通る道を右左に蛇行。


ダダッ、

ダダダッ、

ダダダダダダッ。


背後に迫ってくるけたたましい足音。

(ひだり)

左折すると、見覚えのある街並みが出現。

さらに近づくと、前方、右手に見慣れた家を発見。

家の門をくぐって玄関のドアを開けようとするが施錠済。

何度かドアを叩いたが、無反応。

家の反対側にまわって中庭から、のぞき込むリビングの窓。

窓の向こうに見える両親と兄、無表情でこちらを確認後、閉ざされたカーテン。

足音は一点に集まってすでに静止、この家の敷地内を全包囲。

もはや回避策なし、詰んだと把握、自らの頭に向けられる銃口。

(こっち)

家の壁にマンホールほどの穴が出現、反射的に頭からダイブ。

室内には繋がらず、漆黒の闇のなかをどこまでも落下。

操作不能。

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