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98 温泉旅行8

 我が深謀遠慮の前にレッドギルドの面々は鼻の下を伸ばし、酒を飲みまくっている。バカな奴らだ。

 めぼしいメンツはこの旅行に参加している為、レッドギルドの戦力はガタ落ちだろうクックックッ。


 因みに花魁道中の対戦相手、和尚率いる楽々寺もデレッデレでお酌されまくっている。和尚(ハゲ)のハシャギ様は目を覆いたくなるな。


「軍バトはコレでもういただきだろ。そろそろワテクシ達も宴を楽しむぞ」


 いくらなんでも目の前の御馳走を振ってまで軍バトに没頭する気は無い。それにあんまり携帯いぢくり過ぎても怪しまれるからな。


 食って飲んでひとごこち。ほろ酔い気分のチルタイム。そろそろ出し物タイムかな。


「れでーすえんぢぇんとるめん! ほしたら通達しといた軍団毎の出し物大会行うぞ! エントリーナンバー一番はぴゅあ♡ぴゅあの御両人! 皆さん拍手!!」


 か〜くん&み〜ちゃん夫婦の出し物はラブラブデュエットだった。


「見せ付けてくれるねぇ〜!!」

「リア充爆発しろぉ!!」


 せ、声援がえらく偏ってはいるが。


 その後も色々な出し物が行われた。レッドギルドによる創作組体操。キリンを表現しようとして見事に崩れたがな。ベッドルームは手品。無難だが素人丸出しでネタがバレバレではあった。ぬんぺーたん率いる麒麟軍団はジャグリング。もちろんテーブルクロス引きで盛大にひっくり返してはいた。

 念の為言っておくが、全て麗さんの許可済みである。

 次なるは和尚率いる楽々寺なのだが……

 ワテクシ達はここでショッキング映像を目の当たりにした。いわゆる叩いてかぶってジャンケンポンなのだが、トーナメントの決勝戦、和尚VS澪さん。つつがなくジャンケンが行われた直後――――

 

 和尚が真横に吹っ飛んだ。


 ジャンケンはアイコだった。にもかかわらず、澪さんが和尚の横っ面をピコハンでシバいたのだ。

 事故かとも思われたが、その後も和尚は真横に吹っ飛んだ。ジャンケンに勝とうが負けようが、アイコだろうが真横に吹っ飛んだ。ヘルメットは意味をなさなかった。澪さんの目は血走っていた。軍メンに羽交い締めされて退場するまで、公開処刑は粛々と行われたのだった。憐れ和尚、君の勇姿は忘れない。


「さ、さぁさぁ気を取り直しまして、続いては花魁道中によるコスプレ発表会〜!」


 凄惨な出し物の後に大変だろうが、場を温めるにはもってこいの軍団だ。なんせ華やかさが圧倒的だからな。

 そんな狙い通りに道中の面々は素敵なコスプレで大いに盛り上げてくれた。アニメやゲームのキャラはもちろん、ナースやら巫女さんやらそれはそれは見応えあるものだ。そんな中で一際光るあの人。


「ぬりかべぇ〜」


「いいぞぬりかべー!!」

「蘭華ちゃんかいらしい! えらい似合うてるわぁ〜」


 蘭華のコスプレはぬりかべだった。もっとも、蘭華のコスプレの熱狂的ファンであるワテクシと麗さん以外の人達は引いていたが。


「いよいよ最後は…… ワテクシ達だな。小夜、日向、優、こっちゃ来い」


 小夜達を舞台に呼ぶと、


「おいおやびん、ワテクシに任せとけって言うからアタシ達は何も用意してないんだぜ?」

「……呼ばれても」


「なに、作業は簡単だ」


 長机を配置して三つ椅子を並べて三人を座らせる。


「はーい、今からウチの娘達による握手会を行いまーす! 1回全酒100で言って貰いたいコメントを心を込めて捧げるオマケ付き! しかーも! 全酒1000ならツーショット写メもOKだよーん」


 …………

 …………


 一瞬の静寂のあと――――


「うおおおおおおおおおお!!」


 怒涛の如く野郎共が押し寄せた!!


「どけどけぇ!!」

「俺が先だろうがっ!!」

「邪魔すんじゃねぇっ!!」

「殺すぞこの野郎!!」


「わっ!! ちょ! バカ! お前等トチ狂ってんじゃねぇ! 並べ! 順番だ順番!!」


 そんな言葉は暴徒と化したコイツ等に届く理由もなく、早くしろ! どけよ! などと取り付く島もなく。


「お、おい! 掴まないでくれ!」

「……いたい!」

「や、やめてください!」


 ついには三人に無理矢理掴み掛かる者まで現れた。


「おい! 手は出すな! 冷静になれ!」


 何とか三人から引き剥がしたいのだが、こうも群がられてしまうと……


「ぬりかべぇ〜!!」


「ぬ、ぬりかべさぁぁぁん!!」


 そんなワテクシ達に救世主(メシア)が現れた!


 道中を始めとする女性達だった。彼女達は三人と男達の間に割って入り、鉄壁の防御を引くと、一人の女性、麗さんが前に出た。


「己等、ええ加減にせぇ」


 ソレは決して大きくは無いが、ドスの効いたセリフだ。


「見てみぃ、この娘達怯えてるやん。ハシャぐなとは言わん、時にはハメ外す事もあるやろうやで。そやけどな、越えたらあかん一線てあるわな? せっかくこうして集まったんや、せめて楽しゅう過ごそうやん」


 さすがの貫禄だな。おかげさんで鎮静化は図れた。


「おやびん、アンタもアンタやわぁ? 少し配慮足らへんかったんとちがうのかい?」


「いやほんと、面目ない。お前達も怖がらせちゃってごめんな」


「……ん、だいじぶ」

「少しアセったけどな」

「僕も大丈夫です!」


「まぁさすがにコレ以上はやめておこう。今回の握手会は無しということで――――」


「ソレは待ったらエエのに!!」


「ファッ!?」


 急に大声で待ったを掛ける麗さん。


「なんもやめる事はあらへんやん? この子ぉらももう暴れたりしいひんやろうし、安全を確保したら問題あらへんやん?」


 麗さんの言葉にウンウン頷く女性陣。まさかこの人達……


「あの、まさか自分達が握手したいからとかでは無いですよね?」


「ななな、何言うてるんやい。そそそ、そないな理由あらへんやん」


 わかりやすい動揺ありがとう御座います。


「じゃ、中止ですね」


「かんにんて、かんにんてぇ。そや、握手したいで、ツーショット撮りたいで、お姉様って言われたいでぉ〜」


 さっきまでの威厳は何処へやら。泣いてすがる麗さんに三人は快くOKを出したのだった。


「いやぁ、一時はどうなる事かと思ったが、何とかなったな」


 さて宴もたけなわ、そろそろお開きかと思った矢先。


「ぐえええ!! おやびんさん! 計ったな? アンタ計ったなぁぁっ!!」


 あ、バレたw


 叫んだのはハジメちゃん。携帯を見て焦ってるあたり、きっと軍バトだろう。


「フハハハハッ! 今更なのだよヒヨッコが!」


 ワテクシ達のやり取りをみた一同。それぞれおもむろに携帯をいぢくり出すと、途端に青ざめる。


「ぐぐぐ、軍バトだぁぁっ!!」


 結局ワテクシ達が集まればこうなるわな。


 ん? 軍バトの結果? 聞かないでくれっ!!

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