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96 温泉旅行6

 しかしなんで皆んなして部屋へ行かずロビーでダラダラしてるのか? 実に簡単な話しだ。要は顔合わせ面通しである。なにしろ実際に会うのはほぼほぼ初めてなのだから致し方無かろう。


 しかしだ。


「あのぅ、おやびんさん? ですよね? 自分レッドギルドのハジメなんですけ…… ゔっ!」


「おやびん殿でありますな? 拙者は前田=マルコス=淳平…… なにゆえ?」


「俺達ぴゅあ♡ぴゅあの……」

「ヒッ!!」


「げっ!」

「うっ!」

「すいません!」

「ごめんなさい!」


 ……なんなんだコイツラさっきから人の顔見て引きつりやがって。


「よぉおやびん、その威嚇すんのやめたげろよ」


「あ? してねぇよ!」


「ヒナちゃんの言う通りよ? さっきからずっと睨んでるじゃない」


「なんだよ蘭華まで。睨んでないっての」


「……にらんでなかったんだ」

「僕も怖くて静かにしてました」


「ほらごらんなさい。小夜ちゃん達もこう言ってるわよ?」


 ま、マジかおい。


「なぁ、もしかしてこんな顔か?」


 スッと目を細めてみると、


「そうそのガンタレ顔!」


「いやタレてねえって! ワテクシ目が悪いからしっかり確認しようとするとこうなるの!!」


「う〜わややこしい!! アンタそうで無くても仏頂面なんだからせめて笑ってなさいよ! スマイル! スマ〜イル!」


 ぐぬぬ…… 言わせておけばこの野郎。スマイルだなよ〜し、100万ジンバブエドルの笑顔を見せてやんよ!


 に、ニヤ〜リ。


「はあ? ちょっとアンタ何たくらんでるのよ!」


「たくらんでねぇわっ!! おまいが笑えって言ったんじゃろがい!」


「おどる宝石より不気味に微笑んでどうするのよ!」


「言ったなコラ! 中途半端な言った言わないじゃねぇぞコラ!」


「何がコラよコラ!」


「ナニコラタココラ!」


「おやびんと蘭華さんてホント仲良いよな」

「……めーこんび」

「息がピッタリですもんね」


 そんなワテクシ達の不毛な争いに声を掛けてくる者が。


「あの、もし」


 声のする方を見るワテクシと蘭華。そしてその存在を確認すると2人して息をのんだ。


 女性である。まだ二十代半ばくらいだと思われるその女性。とびきりの美人で息を呑んだわけではない。とんでもないグラマラスボディなんてわけでもない。 

 とても言葉では説明が難しいのだが、あえて言うならば、エロいんだ。いや、すっごい露出が激しいとかそういう事ではなく、なんというかオーラと言うかフェロモンと言うか、醸し出す色気が半端じゃ無いんだ。小夜達や花魁道中のお姉さん達までポゥっと見惚れている。


「おやびんさんでいらっしゃいますよね?」


「あ、はい、他人様からそんな感じで呼ばれてたり呼ばれて無かったり」


「フフフ。あいからわず冗談が面白いですね。そちらの方は蘭華さんで?」


「あ、はい、自他共に認める次第であります」


 完全に上ずるワテクシ達。

 と、そこに新たなる声が。


「あ! いたいた! ウロウロしないでくださいって言ったじゃ無いですかお頭!!」


 ファ!? お頭? オカシラ?? OKASHIRA???

 この目の前のエロ姉さんがか!?


「あらしゅうへーさん。でも私おやびんさんにどうしても挨拶と御礼をしたくて」


「それは後で一緒に行きましょうって言いましたよね」


「うーん、ごめんなさいね、待ちきれなくて」


 ワテクシはすかさずしゅうへーさんの肩を組むとお頭さんから少し離れ、


「よう茶坊主。しゅうへーさんで間違いないな?」


「ひぃっ! すいませんすいません! どうか事務所は、事務所に連れて行くのだけは!!」


「なんだ事務所って。落ち着け、ワテクシだ、おやびんだ」


「え? は? おやびん? ……ヤクザじゃないですか!!」


「うるせぇっ!! もういいんだよそのくだりは! それよりアンタ、あの人ホントにお頭さんなのか?」


「ああはい、間違い無くお頭です」


「嘘をつくなこの野郎。いいかお頭さんてのはだな、牛乳瓶の底みたいな眼鏡でな」


 すると反対隣から蘭華がしゅうへーさんの肩を組み、


「そうそう、それで三つ編みね。何より――――」


「学級委員長だ」

「学級委員長よ」


「それただのイメージですよね! 気持ちはわかるけど。僕達だって処理し切れてないんですよ! まさかお頭があんな色気の到達点みたいな人とか思わないじゃないですか! しかも本人はその意識ないんですよ?」


 まぁ確かにな。この旅の間ずっと側にいるわけだよな。股間の紳士が粗相をしないように耐え忍ばねばならんわけだよな。ベッドルームの面々はしんどい旅になりそうだな。


 その後、お頭さんは今までの御礼とこれからもよろしくと、ことさら丁寧に挨拶して去っていった。

 目を見て話すと吸い込まれそうになるので、ぎこちない返事しか出来んかったな。


「魔性の女ってああいう人の事を言うのね。見てよほら、彼女の行く先々の人達、男女問わず浮足立ってるわよ?」


 去り行くお頭さんを見て蘭華が呟いた。


「まったくだ。誘蛾燈みてぇな人だな。どうあれ大方面通しは済んだか。じゃ、そろそろ部屋へ行くとするか」



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