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94 温泉旅行4

「ほら小夜、チョッコレイツ食いなせ」


「……ん」


「ほら小夜、せんべーも食いなせ」


「……ん」


 麗さんのおかげで宿泊施設も何とかなり、ようやく温泉旅行当日へと漕ぎ着けた。

 一応、各自宿泊施設に現地集合なのだが、ワテクシ達メデジン・カルテルは観光も兼ねて皆で向かう事にしたのだ。目下、ロマンスな電車で目的地を目指している所だ。


「ほら小夜、カリント食いなせ」


「……ん」


「なぁおやびんよぉ、さっきからずっと小夜にばっかりお菓子あげてねぇか?」


「そーですよ、不公平です」


 なんか小夜を餌付けてたら日向と優がブー垂れてきた。


「しょうがねぇだろ。小夜が食べてるところって小動物みたいで可愛いんだもん」


「それは認めるけどよぉ、アタシ達にはよ?」


「勝手に食ったらエエがな」


「雑っ!! すっごい雑!!」


「まったくめんどくさいやっちゃなぁ。そしたら日向、あ〜ん」


 お菓子をそっと差し出してやるが、


「いや、さすがにソレは恥ずかしい」


「おまい…… 人様の好意をこの野郎。いいよそしたら優あ〜ん」


「あ〜ん。美味しいです」


「小夜もあ〜ん」


「……あ〜ん。ウマウマ」


「おやびんさんもあ〜ん」


「お! こりゃ光栄だな。あ〜ん」


 こうして食べさせっこをする事数回。


「アタシも混ぜてぇ〜」


 半泣きで乞う日向ちゃんでした。


「さぁてと、そろそろ終点だぞ。おまいら準備しろ。忘れもん無いようにな」


 やらかし日向ちゃんが携帯なりを忘れないように再三再四に注意を促す。この娘はきっとこの旅でもやらかしてくれるだろう。

 忘れ物点検も終わり、いざ下車。こっからはケーブルカーやら遊覧船やらで観光だな。


 などと思った矢先。


「な、無い! 切符が無い!」


 ありがとう御座います。日向ちゃんやらかし確変入りました。うーん、期待を裏切らない良い娘ですね。


「鞄、ポッケ、財布の中。も一度探してみ?」


「う、うん。どこだどこだぁ」


 ワシワシとあっちこっちまさぐる日向ちゃん。青ざめた顔がラブリーですね。


「ダメだぁ〜。やっぱり無いぃ〜」


 残念。ガチで落としてしまったか。


「……これでヒナちゃんは無賃乗車だね」

「逮捕ですね」


 しっかりとからかってくるあたりに、小夜と優の成長が伺えます。一体誰に似たのでしょう。


「うわぁ~。どうしよう〜」


 頭を抱えて唸る日向。いやいや、それほどの事でも無かろうよ。 


「無ぇんじゃしゃーないわな。行くぞ」


「行くぞっておやびんだから切符が無いんだよぅ」


「精算すりゃいいだけだ。キセルしようってんじゃ無ぇんだ。ドーンと構えとけ」


 で、駅員さんに落とした旨を伝えたら精算無しで通してくれた。嘘ついてるかどうかなんて、プロの目から見ればわかるもんなんだろう。


「ほら日向、しょげて無いで元気だせ」


「……おっぱいもだせ」


「パンツもだせ」


「それはアタシに全裸になれって事か? 罰にしちゃ重過ぎるだろ」


 実に容赦の無い小夜と優。旅先でもメデジン魂は健在でなによりだ。

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