93 温泉旅行3
「んでよ蘭華、やっぱりこの人数だと近々で宿なんざ取れねぇぞ? 金に糸目つけねぇってんならやりようもあるだろうがな」
「ん~そうねぇ、ウチのメンツにもいるけど、学生さんに何万もする宿代ってのは難しいかも。週末だとさらに跳ね上がっちゃうもんね」
「早くても一年先で、ややお高めの旅館だなぁ。やっぱりコレは諦めた方が良いかもな。なんかコネでも無けりや無理だろ。個人個人で行って貰おうぜ」
「ん〜、ん~~、でもせっかくこんなに盛り上がってるのにもったいないし、なんか悪いし、コネねぇ…… ん? いやあるじゃないコネ。ウチらにはお姉様がいるじゃない!」
「お姉……あ!」
蘭華が言うお姉様とは、殺し屋でお馴染みの麗さんである。以前に言ったが、麗さんはゲーム配信前からの付き合いで、ワテクシ達は散々可愛がって貰っていた。蘭華がお姉様と懐くぐらいには。
んで、この麗さん。某有名ホテル王の娘さんであり、いわゆる御令嬢だ。なんでこんな出会い系サイトにいるんだよの筆頭である。
「なるほどなぁ、ほんでワテに白羽の矢ぁが立ったわけやなぁ」
「すいません、本当はこんなお願い頼めた義理では無いんですけど、もう麗さんくらいしか頼める人いなくて」
「お姉様ダメかな?」
「あんたらぁの頼みじゃ、無碍に断わる事もよう出来ひんなぁ」
「それじゃ?」
「いいの? お姉様」
「かいらしい弟と妹の頼みじゃしゃあないなぁ。任したらいいのに」
「ありがとうございます!」
「お姉様ありがとう!」
「ええてええてぇ。ほな二三日まっとってやぁ、しらべるさかい」
なんともまぁ頼もしいお姉様である。殺し屋の異名持ちだと親御さんが聞いたら卒倒しそうではあるが。
で、二日程経てば返事が返ってきた。
「結論から言うとなぁ、いけるでぇ。ホテル一棟使うてエエて」
一棟ておまいさん…… カネモの世界観はそら恐ろしいわ。
「マジっすか…… いやなんかワテクシ達かなりムチャなお願いしました? あの、採算とか合わなかったりしちゃうんじゃ?」
「そないな事は考えあらへんでよろしい。好意は素直に受け取っといたらええのに」
「ハイ! ありがとう御座います! おほー、みんな喜びますよ」
なんともはや、おかげさまで最大の問題クリアだ。お値段もかなり勉強してくれたようである。
そんなわけで開催日は一ヶ月後。参加者達に通達すると、半ば諦めていたらしく、皆一様に喜んでくれた。
「どーよおまいら。おやびんの実力をみたか」
「偉そうに言ってるけど、それ麗さんの功績だろ」
「……とらの威を借るきつね」
「羊の皮を被った山羊」
「コラ優、ワテクシは顔崎太ではない。なにおまい三段落ち上達してんだよ」
「えへへ、おやびんさんと小夜さんオススメの不良漫画にハマっちゃって」
「そりゃおまい、ワテクシの心のバイブルだからな」
「……めーさく」
ビー◯ップハイスクール。名作です。
「とにかくそう言う事だ。宿代、足代は出してやるけどお土産までは知らんぞ。小遣い貯めとけよ? 日向、おまいはあるだけガチャるから気を付けろよ」
「わかってるって。子供じゃねぇんだから」
「今開催の属性ガチャ、趙雲の出現率アップしてるらしいぞ?」
「は!? マジで!? 趙雲様趙雲様!! おやびん少し金回してくれ!!」
「どーする小夜、優。コイツもう置いて行くか?」
「……いたしかたなし」
「同じく」
「趙雲様ぁ!! 待っててぇ!!」




