91 温泉旅行
「……おやびんいる?」
「ん? おるよ。どした小夜?」
「……あのね、温泉旅行行きたい」
「そっか、じゃ行くか」
「うぉい待てい!!」
「何荒ぶってんだよ日向」
「なんで即決なんだよ! いつものテンプレはどーした!!」
「テンプレってなんだよ?」
「そこは一旦行かないって言っておきながら、他の子が行きたいって言ったら手のひら返しで行くっていうアレだよ! 今回はアタシの番だと思って可愛らしく行きたいコメントする準備してたのに!」
「テンプレってお前…… まぁいいや。可愛らしいコメントってどんなんだ?」
「うふ〜ん。おやび〜ん、アタシ温泉旅行行きたいわ〜ん♡」
「気持ち悪ぃなオイ! ぶっ殺すぞこの野郎!!」
「普通にひでぇwww」
「まあまあ、日向さんの処遇は後できちんと話し合うとして、確かにおやびんさんが即決って珍しいですよね? 出不精なのに」
おお…… さすがは目覚めた人、優。日向のキモ発言は処刑対象なんだね。
「最近パチの調子が良くてな、懐があったけぇのよ。万年金欠のおまい等にドヤるチャンスだろ? 旅費は任せろ」
「マジかおやびん!?」
「……ふとっぱら」
「出っ腹w」
「うん優君。君は自腹で行きなさい」
「ああ〜嘘です嘘です! おやびんさんカッコいい愛してます!」
「……優は随分ぐんだんにこなれたね」
「それが正解なのかはアタシにはわからんけどな」
何とも生暖かいコメントだこと。でもまぁ肩ひじ張り続けるより良いだろう。案外優は気ぃ使い屋だからな。
「そしたら関東圏で行きたい場所決めとけよ」
「……はーい」
「個室露天とかある部屋が良いな」
「僕は美味しい料理食べたいです」
そして三人はあーだこーだと、ワタクシが落ちた後も話していた。
翌日
「おやびん、ウチも混ぜなさい」
「……情報の出どころは日向か? どーせ旅行の件だろ? 蘭華」
ワテクシの個人板に蘭華が乗り込んできた。タイミング的に間違い無かろう。
「そ。昨日すっごく大はしゃぎで来たわよ? ウチも行きたいって言ったらおやびんに聞けって!」
「ダメ! アウチ!」
「絶対言うと思ったwww そんな軽く言われるとすっごいムカツクwww」
「……アウ……チ……」
「深刻そうに言ってもダメだからw ね! お願い! 連れない事いわないでさぁ〜」
「ま、ワテクシは三人が問題無けりゃ別に良いよ。蘭華と二人部屋にして夜這い掛けるし」
「ぐぅぅ…… そ、それくらいは我慢するか」
「するんかい!www」
「ちょっと待ったぁ!!」
「おおっとここでちょっと待ったコールだ!! 最近の子には伝わらない時点で年齢が割れますよ花魁道中の副長リオンさん!!」
「ほっといてください!! 蘭華! 何一人抜け駆けしようとしてんのよ!」
「いやリオン、別に抜け駆けとかじゃなくて」
「抜け駆けよ抜け駆け! 小夜ちゃん達と温泉旅行なんて一緒に行きたい子、メンバーに何人いると思ってるのよ! と、言うわけで私も行きますおやびんさん」
……なんか嫌な予感しかしない展開だぞコレ。
「あ、あの、まさか道中の他の皆さんも参加とかするですか?」
「全員では無いと思うけど」
サラリと言いやがるなオイ。一人二人ならともかくなぁ、さすがになぁ。
「あのぅ、真に遺憾ではありますが、あんまり大規模なソレにはするつもりがですね……」
「却下です。もう決まりましたから」
だ、ダメだ。蘭華に聞いた事あるぞ、リオンさんが言い出したらきかない人って。
「なんですかおやびんさん! 遊びに来たらこんな面白企画!! そりゃ私も参戦しますよ!」
和尚! なんちゅうタイミングの悪さだよ!! つーかシレッと混ぜろ言ってるし!
「和尚!! またおやびんさんに迷惑掛けて!! 何やってんですか!!」
おお! 天の助け!! 副長の澪さんが身元引き受けに来てくれたぞ!!
「……って普段なら言うところですが、今回は大目にみます。私も参加したいので」
は!?
「なんか凄い事になってきたわね! 楽々寺も参加するんだ!」
「はい蘭華さん。ハゲ共々よろしくお願いしますね」
「いやいやいや! さすがにコレは本気で待ってくれ! 修学旅行じゃねえんだぞ?」
「修学旅行? いいじゃない。楽しそうで」
「オヤツはいくらまでかしら?」
「バナナはオヤツに入るんですか?」
「ハゲは黙ってなさい」
終わっ……た……




