81 おやびんブートキャンプ7
今日はイベント最終日である。つまりはおやびんブートキャンプも本日が最終日で、軍バトを見てやれるのも今日までだ。
さすがに今日くらいは有終の美を飾って貰いたいもんなのだが……
「ああ、今日の相手は楽々寺かよ」
「こりゃダメだわ」
「ま、さっさと白旗ですかね」
軍板ではこんな有り様である。
これはベッドルームの悪癖ともいえる現状なのだ。相手軍団が廃課金者を含む強軍団となると秒速で諦めてしまうのだ。
確かに楽々寺は強い。和尚を筆頭に廃課金者も抱え、人数もベッドルームと互角の50人超えだ。単純な戦闘力なら間違いなく格上なのは認めるが、だからといって必ずしも勝てないわけでも無い。付け入る隙はあるのだ。
さて、この負け犬根性丸出しのイモムシどもに喝を入れてやろうかと思った時。
「出る前から負けること考える馬鹿いるかよーっ!! 出ていけコノヤローッ!!」
アントン! もとい、白豚ことしゅうへーさんが叫んだ。
これは闘強導夢張り手!! かつてアントニオ猪◯先生が世代闘争の決戦日、試合前の控え室で「もし今日負けたら、ただ負けたではすまないのでは?」と、暗に負けたら引退するのかと、無神経な質問をしたキャスターに張り手をして叫んだ名台詞である。
そしてしゅうへーさんが続ける。
「ちょっと皆んな待ってくれ、諦めるには早いと思うんだ。確かに楽々寺は強いけど、本当に勝てない相手かな?」
「いや、でも、これまでも1回も勝てて無いじゃん」
しゅうへーさんの意見に否定的な意見が飛び交うが、
「それは今までは最初から勝てないって諦めて本気で戦って無かったからじゃないかと思うんだよ。実際問題、軍曹指導のもとで戦ってきて、俺達は格段に強くなってる。これまで苦戦してた相手にも圧勝、或いは白旗上げさせたりもしてたよね?」
「言われてみれば……」
どうやらワテクシが出るまでも無いようだな。軍板内はあそこにも勝てた、ここ相手に余裕あったなどのコメントが溢れてる。
「俺が思うに楽々寺って戦略とかなくて、全員自由気ままにやってるって感じ。そこは弱点なんじゃないかな?」
楽々寺を分析し始めたしゅうへーさんにめがねさんも続けて、
「自分は楽々寺はかなりスロースターターだとおもうんですよ。今回は波状攻撃じゃなくて、序盤からいける人からガンガンいって先攻逃げ切りとかどうでしょ?」
「自分もめがねさん案に乗りますね! 楽々寺の廃課金者勢って軒並み参加時間が20時過ぎなんすよね。ワンチャンあると思いますよ!」
めがねさん案にシンさんも同調すると、ケンジが恐る恐る発言する。
「あ、あの、楽々寺の廃課金者で思い出したんですけど、あそこ幽霊切りしてるじゃないっすか? でも、幽霊、いますよ。好き勝手やってた時に気付いたんですけど廃課金者のタノムサクさんです。廃課金者だけに和尚さんが気付いて無くて切ってないのかも知れないっすね。何か役に立ちますかね?」
「立つ立つ! それじゃウチの看板面子で一気にデッキ割ってやりましょう! そうすればデッキの弱いメンバーも勝ち星あげていける!」
どうやら方向性は定まったようだな。だいぶ皆んなのやる気も出てきたようだ。ワテクシも士気高揚にお手伝いするか。
「良い判断だ同志諸君」
「サー! 軍曹お疲れさま……え!? 同志諸君?」
「そうだ同士しゅうへー。貴様はまだ狩られるだけの、か弱い子豚さんか?」
ワテクシの問いに、しゅうへーさんは一拍の時をあけ、力強く答えた。
「サー!! ノー!! サー!!」
「だな。では同士めがね、狩られる側でなければ、貴様等は何だ?」
「サー! 狩る側…… 狼であります! サー!」
「そうだ。ワテクシの訓練を生き抜いた貴様等には、敵を狩り、喰らい尽くす牙と爪が備わっている。どのような敵にも恐れを抱かぬダイヤモンドの魂を宿した無敵のソルジャーだ!! 勝利の女神の抱擁は我々のみが受けるもの! 磨き上げたデッキで奴らの腹を喰い破れ!!」
「おおおおおおっ!!」
「やってやるぜ!!」
「絶対勝つ!!」
軍板には前向きなコメントが溢れる! この上ないくらい士気は高まっただろう。さあ、いざ狩りの時間だ。




