7 イベント
かれこれゲームがリリースされて1ヶ月も迎えようといていた。この頃になると明らかに強者、中級者、弱者の3パターンがハッキリとなっていた。
軍団にしてもそうだ。人数がただ多ければ強いってわけでも無いのだが、戦争は数だぜ兄貴よろしく、数の暴力は凄まじく、強い軍団は軒並み大規模軍団になっている。
そんな軍団を尻目に、わが孤高の軍団【メデジン・カルテル】は奮闘している方だとは思う。軍団名に関しては突っ込まないで貰いたい。いわずもがなだ。
「おやびーん、お知らせ見たぁ?」
「おう藍華、見たぞ。じっくり、そしてねっぷりとな」
「いちいちそういう言い方しか出来ないのw」
「ほっとけ。アレだろ、イベント。任務を進めたり資金バトでイベントアイテムが手に入るから、ソレをひたすら集めるとか」
「そうそう、そこはまぁいいんだけどさ、勢力選ぶらしいじゃん」
「それなぁ……」
イベント用に4つの勢力が実装されて、各々の軍団はどの勢力にするか選ぶ必要がある。軍団報酬が勢力毎に異なるのだ。最高報酬が欲しいなら激戦は必至だが、報酬のランクを落とせば少しゆとりをもってイベントに参加出来るだろう。
「ワテクシはやっぱり最高報酬だな」
「おやびん1人じゃきつくない? 団員が集めたアイテムの総数だよ?」
「そうなんだけど、最高報酬以外だとそんなに魅力的なのがないのよ。まぁ、最悪取れないでも個人報酬は取れるだろうし」
イベント報酬の目玉は実際、個人報酬である。
なんと課金ガチャからは手に入らないキラキラカードの実装なのだ。このキラキラカード、各レアリティにあって、若干ステータスが高いのだ。その若干の為に日々ガチャってるワテクシには垂涎のカード。真の最高レアリティカードなのだ。
それに対して軍団報酬はというと、大量の回復アイテムやカードのレベルアップアイテム等の、まぁ課金でなんとかなるものばかりなのである。
「そうなんだけどさぁ、うちらもホラ、大所帯とは言えないじゃん? 戦力に心許なくてさ」
「わかった、みなまで言うな。つまりイベント期間共闘の誘いだな?」
「さすが! 話が早い。でどっちを母体にするかなんだけど……」
「そりゃコッチに来てもらうしかあるまいて。もまいら軍板の会話をワテクシに見られたくないだろ?」
「そういうとこが紳士なんだよねおやびん。変態のクセに」
「褒めるなよ。甘勃起するだろうが」
「すんなしwww」
そういうわけで、急遽【花魁道中】と【メデジン・カルテル】の混合軍団【花魁カルテル】が発足した。
「お邪魔しま〜す」
「花魁カルテルになってる〜w」
「1人だから軍板何も書いてないと思ったら」
「おっぱいの歌www」
「恥ずかしいから見ないでぇ」
軍板とは、軍団用の板で軍団員にしか見えない書き込めない。ここで軍バトなんかの作戦を練ったりするもんである。ワテクシは1人だったのでもっぱらおっぱいの歌を歌う場にしていたのだ。
「ほんと、ブレないなぁおやびんわ」
「一本裏筋の通った男だからな」
「裏はつけんな裏はw」
いきなり女性が8人も入れば華やぐもので、軍板はキャッキャウフフと彩られてゆく。
うん、割り込む余地がない。3人いりゃかしましいのに8人いるんだ、こうもなるか。
「おやびーん、ごめんねぇ、騒がしいでしょ」
「圧倒はされるな。でもたまにはいいかもな色々と刺激的で」
「おやびんが言うとやらしく聞こえる」
「やらしいつもりで言ってるからな」
「ブレないwww」
さぁ、そんなわけで始まる初のイベントだが、この共闘が果たして吉とでてくれるのか……