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68 おしくらまんじゅー

 絶品ヒナちゃんカレーで腹を満たせば、もちろん次にやる事は決まっている。


「よーしもまいら、準備はOKか?」


「任せろ」

「……じゅんびかんりょー」

「いつでもいけますよ!」


「おっしゃやったるぞ! 軍バトだぁーっ!!」


 花見だろうがキャンプだろうが親の葬式だろうが、軍バトはあたりまえの様におこなわれる。なぜならそこに軍バトがあるからだ。


 さぁ今日の対戦相手は……


 【えう〜ご】


 軍団長様のハンネはクワトロ大尉ときた。まさかだが、赤かったり金ピカだったり三倍速かったりしないだろうな?

 総勢20名からなる軍団。団員達のハンネもやれマツナガだったり、ハマーンだったり、そっち系で彩られている。時代や所属はまぁバラバラだけどね。

 

「まいどぉ~。軍バトよろしくお願いしまっす」


 とりあえずクワトロ大尉に挨拶をしてみると、


「……このプレッシャー! アムロか!?」


「クワトロ大尉? 俺にとってはシャアアズナブル以外の何者でもない」


「私はクワトロバジーナ大尉だ。それ以上でもそれ以下でもない」


「ちょw ロールプレイw」


「おやびんさんも中々の好き者ですねw 軍バトよろしくお願いします」


 いやはやハンネだけでは無いとかやりおるわい。どうやら愉快な軍団の様だな、けっこうこの手のノリは好きです。


 んで、軍団の強さ的には、もう少しで上位陣にも届くレベル。色物おちゃらけ軍団でもないらしい。とても油断出来る相手ではないな。


「おーしもまいら、見た目に隠れちゃいるが実力派軍団だ。しっかり頼むぞ」


「……みえる。わたしにも敵のうごきがみえるぞー」


「うーんアタシには何の元ネタかわからんからさっぱりだな」


「僕もわからないですぅ」


 流石に付いて来れるのは小夜だけか。わかればめっちゃ面白いのに。


 そんなえう〜ごの猛攻は中々に激しく、序盤から攻め立てて、その手は止まらない。昨今珍しいスタイルだ。


「いやおやびん案外強いぞこの軍団!」


「この攻撃が最後まで続くとも思えんが…… とにかく今はふんばれ! 勢い付かせたら一気に持っていかれるぞ!」


「……りょーかい」


「頑張ります!」


 団員の頭数で負けてるのはいつもの事だが、大体の軍団はてんでんばらばらに攻撃してくる為、そこまで脅威にはならない。しかしえう〜ごは花魁道中に匹敵するくらい統率を持って攻撃してくる。油断すればすぐさまデッキ割れを起こすだろう。


 だが小一時間もすれば猛攻に翳りが見えはじめた。もしかしたら先攻逃げ切りスタイルかも知れないな、ワテクシ達が一切折れ無いから切り上げるのかも知れない。ここは1つ話してみるか。


「さてクワトロ大尉、まだ戦うかね?」


「まだだ! まだ終わらんよ! ……なんて言えたら格好いいんですけどね、ちょっとこれは巻き返し不可能かな。はい、潔く白旗でお願いします」


「ほーい了解。久々に序盤から熱い展開で楽しめますたよー、また対戦時にはお願いしますねー」


「勝利の栄光を君に!」


 www最後までロールプレイを忘れんあたりにポリシーを感じるな。そんなこんなで軍バトも早々にかたを付けた頃、辺りはすっかり夜の様相を呈している。


「おっと、時間的にはそろそろだな。みんな顔をあげろー、面白いもんが見れるぞ」


「……面白い?」


「真っ暗だけどな」


 と、日向が言った次の瞬間。


「あっ! 桜が! みなさん桜が!」


「……綺麗」


「これはスゲーな」


 満開の桜が見事なまでにライトアップされたのである。


「な? 面白いだろ。昼間荘厳な桜もいいが、ライトアップされた夜桜も幻想的でおつなもんだろ」


 3人とも、感嘆の声をもらして夜桜に見入っている。まぁ確かに初見はコレ感動するよな。

 そんな3人を尻目にワテクシは肌寒くなってきたので持ってきた毛布に包まる。これで夜桜見ながら一杯なんざ至福だろおまいさん。


「……ずるい」


「アタシもちっと寒いなとは思い始めてた」


 毛布に包まるワテクシを批難し始める小夜達。


「……ワテクシは防寒対策してこいと言ったはずだが?」


「僕のブランケットじゃ身体全体包めませんよぉ」


「いや知らんがな」


「冷てえ! おやびんは冷てえ!」


「いや冷たいとか言われてもな。ワテクシはあったけーけどなケラケラケラ」


「……わかった。ぼーかんする」


「なんだよ防寒用意あんのかよ、ならさっさと――って、おいおい! なに毛布に潜り込もうとしてんだ小夜! やめなさい!」


「ぼ、僕も寒いから防寒させてください〜」


「ちょ、おま、優! お前までなにを一緒に潜り込んでんだ!」

 

「……そーれおーしくーらまーんじゅー」


「アハハ! 押〜され〜て泣〜くな」


「コラコラコラ!! 毛布の中で押しくら饅頭するんじゃありま…… ぐえっ! どっちだ今みぞおちにエルボーしたの!!」


「なんだよなんだよぉ〜、ズルいぞ2人ともぉ、アタシも混ぜろよぉ」


「待て待て待て日向!! これ以上は無理!! こんな毛布に4人も包まれるわけ無いだろ!! そもそもおまいは突っ込み役だろうに!!」


「違うんだおやびん、これはアタシの意思じゃ無くて山岸さんの意思! 本当は突っ込みたいんだよ」


「おまい何都合良く山岸さんのせいにするスキル上達してんだよ! ってぐぇぇ…… 両サイドから毛布引っ張るな、袈裟固め! 毛布が袈裟固めみたいになってるから!」


「……おーしくーら」


「まーんじゅー」


「アハハ! せっかくだから僕写メ撮りますね! ハイチーズ!」


「ぐええ…… やめれぇ……」


 こうしてキャッキャウフフと毛布を取り合う3人と、もがき苦しむオッサンの夜は更けていった。


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