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66 温泉旅館

 水もしたたる良い男の娘となってしまった優を風呂に入れてやる為に向かう先は、キャンプ場からやや離れた場所にある温泉旅館である。


「ほい到着だ。実はこの旅館がキャンプ場の経営者でな、利用客は温泉施設を無料で使えるんだよ」


「へぇ~、お風呂は我慢するもんだと思ってたからありがたい」


「……私も」


「っても優くん。君はアレだ、そのなんだ、君のナリだと男湯でも女湯でも問題になりそうだからな、すまんが家族風呂で我慢してくれ」


「家族風呂? ですか?」


「……なぁに? おやびん、家族風呂って」


「家族やカップル、男女一緒に入れる貸し切り風呂だな。大浴場よりゃ小さいけどな」


 せっかくだから大浴場を満喫させてやりたいのだが、優の見た目じゃ致し方あるまい。


「わかりました。僕はそちらを利用させて貰いますね」


「すまんな」


「……ねぇおやびん。男女一緒で良いなら私達もそこに入る」


「ん? まぁ優が良いなら構わんよ。3人で温まってきな」


「……違う4人」


「なんだ? 日向の背後霊の山岸勤(56)さんも勘定に入れたんか?」


「うおい! なんだよその山岸さんて!! 怖い(こえー)よ! アタシにそんなの憑いてんのかよ!」


「……違う。おやびんも一緒。山岸さん入れたら5人だね」


「だから誰だよ山岸さん! マジで!」


 こえーこえーとガチビビりの日向はともかく、


「いやいやいや、流石にな、こういうのは身内が利用するもんだからな、それにおじさん股間の紳士がエレクトリカルパレードしちゃうよ」


「……私達は身内。おやびんは我々はもはやファミリーって言った」


「ゔっ!! いや、しかしだなぁ」


「僕はみんなと一緒で大丈夫ですよ」


「アタシも大丈夫だぞ。ほらおやびん観念しろ」


「はぁ…… そこまで言われて入らないのも意識し過ぎか。わかったよ入ろう。山岸さん」


「うおい! アタシの背後に話しかけんなよ!」


 そんなわけで全員で家族風呂に入る事になってしまった。昨今の若者はおっさんと混浴するのに抵抗ないもんなだとしみじみ痛感する。そして実際素っ裸の開けっぴろげに温泉を堪能し始める3人。


「なぁ、ホントに大丈夫なのか? 恥ずかしいとか思わんのか?」


 湯船につかりたずねるも、


「……おやびんならへいき」


「アタシと小夜は今更だしな」


「僕もおやびんさんなら特に。もうお尻見られてますし」


「にしたってだな、ワテクシ目のやり場に困るわけよ。ほらお湯も硫黄泉とかじゃないからガッツリ見えとるし」


「やり場に困るっておやびん、さっきからずっとアタシ達の体ガン見してるじゃん?」


「だから、よりどりみどりで誰の裸体からねぶってやろうと困ってんよの」


「……ブレない。アハハ」


「ホントにこのオヤジだけは……」


「そもそも僕は男ですからねおやびんさん」


「いやホント、優は線も(ほっそ)いし、色白だしで、家族風呂で正解だったわ。この子男湯に入れたらパニックおこるぞ」


 ち◯こ隠されたら女にしか見えんなコレ。おっぱいは無いけど。


「……じぃ~」


「おい小夜。なぜワテクシの股間を見よる」


「おっきくなってない」


「いや〜ん。そんなに見られちゃおやびん恥ずかしい〜」


「気持ち(わり)ぃわっ!! シナをつくるなよおやびん!!」


「アハハハハ! 僕もおやびんさんに仕返ししよう! それっと」


「コラコラ優! ち◯こ触ってくんなよ!」


「男同士は触り触られって教わりました!」


「ちょっ! それはガキの時分の話しでしょうに! おっさんの生ち◯こはアカン!!」


「……私もスキンシップを……」


「コラ小夜! なに、にじり寄ってきてんだ!」


「ダメだぞー小夜。アタシも混ぜなきゃ」


「おい日向! お前は突っ込み役だろうに! 一緒ににじり寄ってくんな」


「ああ、これはアタシの意思じゃなくて山岸さんのだ」


「ばっ! ちょっ! やめてぇ〜!! お婿に! お婿にいけなくなっちゃうぅぅぅ!!」


 かくして、3人にもみくちゃにされて何か大切なものを失った気がした麗らかな春の午後だった。


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