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41 歪な関係

「断る!」


「まだ何も言ってねぇだろっ!」


「どーせ碌でも無いお願いに決まってる。断固お断りだ」


「変な感働きだけ鋭いからな、話だけでも聞いてくれよ」


「聞いたら引けなくなる様な気がするからヤダ」


「……おやびんお願い」


「聞くだけだぞ?」


「アタシとの差! まぁいいや、率直に言うぞ、おやびん、アタシ達とその、あの……」


「また始まった。率直に言うんじゃ無かったのか? てか大体想像できるわ」


「……えっちしてほしい」


「ほらみろ、やっぱり碌でも無い。ダメだダメだ。大体もまい等は同性愛者だろ? ワテクシに頼むのおかしいだろ?」


「そ、それなんだけどさ、厳密に言うとそもそもはそうじゃ無かったって言うかさ、アタシは小夜に会うまでは特にそんな気は無かった……と言うか、人を愛するとか恋するとかその手の感情がピンとこなくてさ、勿論、そのうち普通に男性を好きになってそうなるのかなぁなんて思ってはいたぜ、でもそんな風に思える相手が現れなくてさ、そしたら小夜に出会っちまったんだ。そこで自分の愛情が歪んでる事に気付いたんだ。小夜とは無事につき合えたけどさ、その事を話したら小夜も似たようなもんだって言うんだ」


「……ヒナちゃんに告白されるまでは、私も自分の感情に気付いて無かった」


「うん、それはまぁ理解した。だがそれとワテクシとエッチしたいは結び付かんだろ。2人で愛し合えば良かろうよ」


「……でもね」


「そう、お互い男が嫌いとかじゃ無いんだ、でさ、さっきも言った通り、初めて好きになった人がお互い女性だろ? だからその、男性経験がないだろ?」


「……興味があるの」


「だからさ、2人であのサイトに登録したんだ」


 確かにゲームの配信してるサイトはそもそも出会系だからな。その手の相手をさがすにゃうってつけだがな。


「……でもいい相手が見付からなくて」


「そうこうしてたらさ、ゲームがあるのに気付いて気分転換に始めたんだよ。その後はおやびんの知っての通りさ」


「つまり男漁りの為に登録したのか? 不純なJDだねぇおい」


「……おやびんだって登録してる」


「ワテクシは不純の塊だからな。不純から脊髄が生えてワテクシが形成されている」


「でさ、おやびんとずっとゲームやっててさ、やっぱり楽しいし、なんだかんだ優しいし、おやびんならいいなぁって思い始めて小夜と話してさ」


「……今お願いしてるの」


「もしかしてワテクシの軍団に入ったのも、オフ会も、地元まで無理矢理やってきたのも全部この為か?」


「それは……ゴメン」


「……騙すつもりは無かった」


「いや、騙すとかはどうでもいいんだが、凄い執念だなぁと思ってよ。で、だ。ここまで話させといてアレだがな、やはり無理だ」


「……なんで? 私達魅力ない?」


「そんなにブサイクじゃ無いと思うけど」


「見てくれじゃ無い。2人共十分に可愛いさ。でもワテクシじゃ無いだろう? 初めてなんだろ? それはさすがにワテクシじゃ無い」


「……おやびんがいいの」


「アタシもだ!」


「ダメだ。この話はもうおしまい。さ、寝ろ」


 2人を無視してさっさとソファーに転がる。有無を言わさない姿勢が大事だ。


「……じゃあしょーがないね」


「ああ、やっぱりサイトで探すか」


「……もう誰でもいいや」


「ああ、脂ぎったオッサンとかなら直ぐ見つかるだろ」


 ……………………………………。


「待て、自棄にはなるな。誰でも良くは無いだろ」


「……もうおやびんには関係ない」


「そうだ。ほっといてくれよ」


「ほっとけるか! あのサイトは本当にヤバイのがいるから! 本気でヤバイから!」


「……じゃあやっぱりおやびんお願い」


「いや、それとこれとはな、別だろ?」


「いいよもう小夜、気持ち悪いオッサンにしちゃおうぜ」


「……そーだね」


「ぐ! …………わかった」


「なんだおやびん? 何がわかったんだ?」


「相手してやるよ! だからわけのわからん奴とはすんな! 約束しろ!」


「……する。やくそく。ね、ヒナちゃん。おやびんこうすれば必ず頷くでしょ?」


「ああ、チョロいもんだな」


「ま、まさか!? 謀ったな? 謀ったな小夜ぁ〜!! 」


「……君は良いぐんだんちょーだったよ。恨むんならサイトを恨んでくれたまへハハハ」


「約束は守れよ。軍団長」


 こうして2人の謀略にまんまとハマり。3人の歪な夜が更けていった。

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