33 マラソン
「ぬがっ!! また酒か!」
イベントの新要素であるボーナスステージを、目下ひたすら走っている最中である。
ボーナスステージは消費任務コストが大幅に高く、回復酒がみるみる減って行く。それでもひたすらに走るのが真っ当な廃課金者だ。
ぶっちゃけ1周して計略チケットがゲット出来ればそれでも納得はできるが、やはり回復酒だと辛い。ガチャチケットでも喜べはしない。それくらい任務コストが重いのである。
だがここで走らねばトップ戦線脱落の可能性すらあるのだ。計略はそれくらいユーザーに混沌を生む存在だからだ。
「うわぁ、アタシはこれは走れないなぁ」
「……私も」
「無課金だとキツイわな。リスキー過ぎるからな」
「おやびんどれくらい酒使ったよ?」
「それは聞かないお約束」
「もうその時点で100や200じゃ効かないのがわかった」
「……計略チケットは何個手に入ったの?」
「やっと20だな。新計略はどれも当たりだからな、チケット回す日が待ち遠しいぜ」
「……わくわく」
「いっぱいゲットしたら小夜にもあげるからな」
「……ありがと、応援する」
「おやびんアタシにはよ?」
「混乱とか挑発やんよ」
「厄介払いじゃねーかw」
2人の生暖かい応援もあって、マラソンもはかどると言うものだ。ボッチだった頃は黙々とポチってただけだったからな、息抜きにアホコメに付き合って貰えるの普通に有り難い。
「おやびんさ〜ん、走ってますかぁ?」
「和尚さん、そりゃ走るでしょ。うちの娘達の熱い声援もあるしね」
「あ〜、ズルいなぁ〜。私もおやびんさんところに合流しようかなぁ」
「すいませ〜ん。ワテクシの軍団はハゲお断りなんですよぉ。つーかアンタ軍団長でしょうが!」
「私居なくても回りますもん」
「確かに【楽々寺】は副長さんが回してますからねぇ」
「そうなんですよ、澪のやつは口うるさくさくて、可愛げ無いのなんの……」
「そんな事言ってると、また怒られますよ?」
「い~や、今日こそは私ガツンと言ってやりますよ! 軍団長は私なんですからね! 澪にも小夜ちゃん達みたいな愛くるしさを持てって!」
「……言いたい事はそれだけですか? ハゲ」
あ、副長の澪さんだ。
「アンタはまた軍団ほったらかしてこんな所で油を売って! 挙句の果てには私の悪口ですか! 悪うございましたね可愛げがなくて!」
「ご、誤解だ澪! これは深いわけが!」
「ほ〜う、ではその誤解とやらを、軍板でとっくりと説明してもらいましょうか?」
「あ、いや、そう! じつはコレおやびんさんに言えって脅されて」
「コラハゲテメェ! なんでそこでワテクシを巻き込む!」
「おやびんさ〜ん? 本当ですかぁ〜?」
「んなわけ無いでしょう! ワテクシは全面的に澪さんの味方ですから! いつも副長さん凄いなぁ偉いなぁって思ってる次第でござりまするわよ」
「その割には私にはパンツ見せろとか言ってこないじゃないですか?」
「ええ〜っ!! まさかの露出狂!?」
「違いますっ!! 女として見られて無いみたいで傷付くじゃないですか!」
「そこは普通セクハラだとか怒るやつでは……」
「おやびんさんの場合はほとんど挨拶でしょう!」
「そうですよおやびんさん、澪もこう言ってる事だし、パンツ見せろぐらい言ってあげなさいよw」
「「お前は黙ってろハゲッ!!」」
こうしてダブル突っ込みの後、和尚は軍団へと強制送還された。軍板では悲鳴と謝罪がしばらく収まらなかったとか……




