29 完全勝利
こんな時に頼るべきはそう、運営さんだ。根も葉もないチート疑惑を投げられてんだ、廃課金で貢いでる分はお仕事して貰おうか。
早速、問い合わせフォームにメールを送る。今起きてる問題を運営サイドで精査して、広まっている醜聞をなんとかしてくれと。
ワテクシの様な廃課金者の声ってのは比較的に届き易い。何しろ上得意客だからな。更に言ってる事が真っ当な事であれば尚更だ。
直ちに精査し、対応させて頂きますと、返信メールが届く。余程無能な運営でも無い限りはコレでなんとかしてくれるだろう。
3日も経てば運営も一応の答えは出した様だ。お知らせフォームに調査結果を提示した。
・現在不正行為は行われていない事
・それに関しての噂話は誹謗中傷に当たるのでやめる様にとの事
・それでも続けるユーザーは発見次第、登録抹消の措置も視野にいれると。
これまでのコメントに対しての措置は許すけど、次は無いからな? 的な事だった。こちらとしてはやや納得もいかん所もあるが、ここらが落とし所だろうな。気持ち程度だが、運営がお詫びとして回復酒をくれたしな。
「そんなわけで疑いは完全に晴れたぞ」
「ああ、文句言ってきた奴も謝罪してきたよ」
「……ありがと、おやびん」
「当たり前の事をしただけだ。もまいらはワテクシの家族だからな。気にするな」
「……ううん。お礼にパンツを」
「そうだな、パンツぐらいは見せてやるか」
「だからホントにやめれ! パンツ罪でお縄頂戴したら末代までの恥になるだろ!」
「……アハハ」
「ブチ込まれたら面会くらいは行ってやるよw」
「えーい! いいからイベント進めなさい!」
「……はーい」
「へいへい、わかりましたよ」
まったく、大人をからかうなんてとんでもない娘っ子だよ。パンツとか言われるとドキがムネムネするぜ!
更に日は進み、さすがの2人も疲れが見え始めてきた。ひたすら同じ事の繰り返しってのは、存外消耗するもんなんだよな。それでも小夜が1位、日向が2位のワンツーは不動である。ワテクシもなんやかやで12位と無難な位置取りで進めている。お互いに励まし合ってイベントを進めて、ついに最終日。無事に3人共に50傑に入る事が出来た。軍団も1位だ。星の屑作戦様々だな。
「お疲れ〜、そしておめでとう〜!」
「……おつかれ」
「いやぁ~、ホント疲れたぜ」
「ワンツーフィニッシュなんて、本当に良くやったぞ。軍団長として鼻が高い」
「……おやびんのおかげ」
「だな!」
「そう! 全部ワテクシのおかげ! 褒めよ讃えよ!」
「……おやびんすごーい」
「自分で言うかよw」
「いや、作戦を授けたとはいえ、素直に最後までしっかり実行し続けた2人の戦果だよ。ボッチでやってたらこうはいかなかった」
「お? アタシ達を混ぜて得したか?」
「そうだな。メデジン・カルテルに来てくれて感謝してる。ありがとう」
「な、なんかおやびんがかしこまると変な感じだな」
「……ヒナちゃん照れてる?」
「なんだよ日向は照れ屋さんか?」
「そんなんじゃねぇよ! ねぇけど、ありがとう。そんな風に感謝して貰えるとか思ってなかったから」
「ま、これからも宜しくって事だ。2人とも」
「……うん」
「よろしくな、おやびん」