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【書影あり】ウェルミィとイオーラ

挿絵(By みてみん)


『エルネスト伯爵令嬢、イオーラ! お前との婚約を破棄する!』


 お義姉様の婚約者だったアーバインが、学園の卒業パーティーで嘲るような笑みと共にそう宣言した時。


 ウェルミィ・エルネストは、ひどく爽快な気分だった。


 アーバインに肩を抱かれて笑みを浮かべていると。

 そんなウェルミィを見て、同い年で腹違い・・・・・・・のお義姉様は、悲しげに目を伏せていた。


『お前のような地味でつまらない上に、不細工で汚い女ではなく、俺はミィと婚約する! これは、エルネスト伯も了承済みの話だ!』


 それを聞いて、お義姉様はどんな気分だっただろう。


 ガリガリに痩せた体に、灰色のくすんだ伸ばして枝毛だらけの髪。

 高価ではあるが太い黒縁のダサメガネの下には濃いクマがあり、不健康に青白い荒れた肌をして、着回した地味なドレスは型遅れ時代遅れで、身につけているのは古い装飾品。


 反対に妹であるウェルミィは、淡く明るく輝く艶めくウェーブがかったプラチナブロンド。

 磨いた真っ白な肌に、男好きのする庇護欲そそる美貌と、流行最先端を行く新調した美しいドレスを纏い、夜会に相応しい輝きを放つ高級な装飾品を身につけている。


 学業成績も芳しくなく、中の下程度のお義姉様と、上から数えた方が早い成績のウェルミィ。


 ーーー本当に、どんな気分だっただろう?


 想像すると、愉快な気分になって口元が緩んでくる。

 この卒業パーティーに来る時、アーバインは婚約者だったお義姉様ではなく、ウェルミィをエスコートしていた。


 婚約者が別の女……それも異母妹と連れ添って。

 自分はたった一人で入ってきた彼女は、嘲笑に晒されていた。


 ーーー可哀想なお義姉様。


 アーバインに婚約破棄を告げられた後、『承知いたしました』と一言だけつぶやいて。

 頭を下げて出て行くお義姉様を、数少ない友人である子爵令嬢と貧乏男爵令息が一人ずつ追っていったのが、気に入らないと言えば気に入らないけど。


 その時は、些細なことだった。


 ーーー私を恨んで、心底憎んでいればいい。


 内心、はらわた煮えくり返っていたら最高だ。



 ーーーそんな義姉との生活も、今日で終わりになる。



 卒業パーティーの婚約破棄事件から、たった半月。

 2階のバルコニーから見下ろしたお義姉様は、一人で暮らしていたオンボロの離れから静かに出てきて、わずかな手荷物と共に門へ歩き出した。

 

 満面の笑みで見下ろしているウェルミィ以外には、見送りは家令一人だけ。

 『役に立たない』『愛想がない』『嫁の貰い手もない』と散々罵倒されていたお義姉様は、侍女一人だけを連れて、古く小さな馬車で、新たな婚約者(・・・・・・の家へと送られる。


 エルネスト伯爵家に莫大な支度金を出すと申し出た、エイデス・オルミラージュ魔導卿の元へ、売られていくのだ。

 女嫌い、社交嫌いで有名な彼の元へと『どんな扱いでも構わない』という一筆を書かされて。

 

 魔導卿は、絶世の美貌と当代随一の魔力を持つ、才能と権力はあるが冷酷で残忍な男だというのが、社交界の評判だった。


 この話を聞いたら、これから先、イオーラお姉様には凄惨な不幸しか待ち受けていないだろうと、噂になるに違いない。


 すぐに捨てられるか。

 彼の魔術の実験台にされるか。

 あるいは、暴力を振るわれて今以上に見る影もなくなるのでは、と。


 昨夜、お父様はお義姉様に『捨てられても帰って来るな、この家にもうお前の居場所はない』と告げていた。

 

 そんな彼女を乗せた馬車が去っていくのを見届けたウェルミィは、スキップするような足取りで本邸の中に戻る。


 ウェルミィは、卒業パーティーからこっち、ずっと良い気分だったが。

 今日は中でも、最高の清々しさを感じていた。


 ーーーさようなら、お義姉様。


 今日は着飾って、高価な宝石のアクセサリーを買いに行こう。

 お義姉様を売った纏まったお金が入って来るのだから、少しくらい贅沢したってお父様は笑って許してくれるはず。



 今日は、ウェルミィの人生最高の日だった。



 ーーー半年後に、驚愕のどん底に叩き落とされるまでの間も。


※※※


 ウェルミィ・エルネストは、平民の生まれだった。


 その頃は姓もないただのウェルミィで、貧しくはないが豊かでもない暮らしを、母としていた。


 母は、伯爵の愛人だったから。


 転機が訪れたのは、8歳の時。

 エルネスト伯爵である父の前妻……イオーラお義姉様の母親が病気で亡くなり、後妻としてウェルミィの母が招かれたのだ。


 平民が伯爵の妻など、親戚中に認められなかったらしいけれど、お父様は押し通した。

 その代わり、全ての親戚筋から縁を切られてしまったそうだ。


 エルネスト伯爵家の凋落は、そこから始まっていたのかもしれない。


 最初会った時、イオーラお義姉様は、見事な礼儀カーテシーを見せた。


 艶めいて流れるように美しい銀の髪。

 魔力の強さを示す、紫の美しい瞳。


 まるで光り輝くような美しい肌の、貴族の娘。


 微笑みと共に名乗った同い年の少女は、輝いていて。

 なんの苦労もしていなさそうな、無垢な瞳で、ウェルミィを見つめた。

 

 『よろしくね、ウェルミィ』


 母を裏切っていた父親の、妾の子に、そう声をかけて微笑んだ彼女は。

 その時、どんな気持ちだったのか。


 なるべくウェルミィに優しく接しようとするイオーラと、彼女を連れ回して振り回す自分。


 そんなお義姉様と、自分の扱いが変わったのは、10歳の時だった。


 時折見えていた、父母のお義姉様とウェルミィに対する愛情の違い。

 決定的になったのは、お義姉様と共に遊んでいたウェルミィが川に落ち、高熱を出した時だった。


 父母は、お義姉様を責めた。

 『お前が遊びに誘ったせいで、ウェルミィが』と。


 それから、お義姉様とは遊ばなくなった。


 最初は、ウェルミィが欲しがった持ち物が取り上げられた。

 お義姉様の母親の形見の宝石は、自分のものになった。


 たびたび、躾として食事を抜かれるようになり。

 やがて、お仕着せを着させられ、まるで召使いのように家事をして。


 ウェルミィ達と、食卓を共にすることがなくなった。


 その頃から、ウェルミィはたびたび、お義姉様の容姿にケチをつけた。


 『ねぇお父様、お義姉様の髪の毛の色、目の毒だわ』


 そう伝えると、彼女は髪を染めさせられ、くことすら許されなくなって、枝毛まみれのくすんだ灰色になった。


 『ねぇお母様、お義姉様が睨むの。もしかして目が悪いんじゃないかしら』


 そう伝えると、彼女はゴツい黒縁メガネをかけさせられ、外すことを禁じられた。


 痩せて、見窄らしい身なりになったお義姉様を見て、ウェルミィは満足して、最後に告げた。


 『ねぇ、お父様、お母様。私、あんな汚いお義姉様は見たくないわ』


 召使いのように、家事をして働かされることがなくなる代わりに、お義姉様は夏は暑く冬は寒い離れの中に押し込められ、勝手に出ることは許されなくなった。


 お義姉様の部屋は、ウェルミィの部屋になった。

 彼女が見窄らしくなればなるほど、ウェルミィは綺麗になっていった。


 高価なドレスを与えられ、王女にも見劣りしない美しさと称えられた。


 天使の輪のように輝く、太陽の髪だと褒められた。

 見る人を明るい気持ちにさせる、鮮やかな宝石だと、朱色の瞳を賞賛された。


 やがて貴族学校に入る歳になる直前、姉はアーバインと婚約した。

 次男坊だったアーバインの実家は裕福な子爵家で、もうすぐ伯爵に叙される。


 昔から、親交があったそうだ。


 昔見た美しいイオーラと婚約したいという、婿入りの打診に両親は喜んで応じたが、お義姉様とは会わせなかった。


 貴族学校でお義姉様と顔を合わせたアーバインは、明らかに落胆し、折に触れて愚痴を漏らしていた。


 『イオーラが、あんな女になっていると思わなかった』、と。


 そして明らかにお義姉様を毛嫌いし、話しかけられても邪険に扱った。


 ウェルミィは、その頃にアーバインにすり寄った。

 甘えて、好意を示してやれば、彼は鼻の下を伸ばして誘いに乗った。


 お義姉様には、『学校では私やアーバイン様に近づいて来ないで』と伝えていた。

 だから一緒にいることはなかったけれど、たまに学校ですれ違う時は、これ見よがしにアーバインにもたれて、仲睦まじい様子を見せつけていた。


 『ウェルミィだったら良かったのにな』と、アーバインが言うたびに、良い気分になれた。


 唯一、『義姉の婚約者にベタベタ引っ付くのはどうなのか』とウェルミィに意見してきた子爵家の令嬢は、『そんなに礼儀正しくしていたいのなら、お義姉様とでも一緒にいたら?』と取り巻きの親交から排除した。


 はべらせている子女たちは、皆ウェルミィの味方だった。


 アーバインがお義姉様の悪い噂をばらまき、貶すことで、彼女には学校でほとんど友達がいなかった。

 たまに図書館で、貧乏男爵令息と一緒にいるのを見かけたけれど、アーバインに邪魔させた。


 『人の婚約者に勝手に話しかけるな』と、その時だけお義姉様を婚約者として……『自分のものだ』と所有権を主張した。

 彼にとってはきっと、惜しくもないだろう繋がりを盾に、お義姉様を孤立させるように動いていた。


 お義姉様が押し付けられ始めた仕事に、必要な本などを借りに行くために、図書館にだけは馬車で一緒に行く機会は多かった。

 お義姉様に、一人で馬車を使う権利はなかったから。


 貴族学校で過ごす時期を半分も過ぎた頃には、お義姉様にはお父様から書類や雑用を離れで大量に任されることになり、常に寝不足のようだった。


 そうなれば、ますますお義姉様はくすんでいく。


 ある日、目を盗んでお義姉様と話をしているらしい男爵令息は、生意気にも意見してきた。


 『イオーラを嫌うのなら、何故そこまで構うのか』


 と、質問してきた。

 その真っ直ぐな目が気に入らなかったので、ウェルミィは薄笑いを浮かべて答えた。


 『貴方のごとき臆病者には、勿体ないからよ』


 アーバインに対しては、反論も出来ない程度の小物。


 その頃には、もうアーバインが両方の親に掛け合って婚約者を変えてくれるように言っている、というのは、公然の秘密だった。


 相手は、もちろんウェルミィで。

 お父様もお母様も、跡取りの地位を、お義姉様からウェルミィに移すように動いていた。


 だからと言って、曲がりなりにも伯爵家の娘に、貧乏男爵の人間が釣り合うと思うのか。

 それが彼に対する認識だったが、彼は何故かウェルミィの言葉に少しだけ驚いていた。



 ーーー万一にでも貞操を疑われたら、お義姉様が高く売れなくなる・・・・・・・・しね。



 伯爵令嬢となれば、見た目は見窄らしくとも、売り先はいくらでもあるのだから。


 その売り先を見つけるための夜会で、ウェルミィは偶然、魔導卿に出会った。

 恐ろしいほどの美貌と、底冷えするような表情の男は、姉と同様に魔力の高さを示す紫の瞳を持っていた。


 まるでウェルミィに興味を示さなかったので、いくら顔と地位が魅力的でもどうでも良かったけれど、何故か気に障った。

 何を勘違いしたのか、ジッと彼を見つめるウェルミィに『俺以外の男に見惚れたのか』とアーバインが拗ねたので、もたれかかって甘え、なだめるのが面倒だった。


 それからも、ウェルミィは。


 お母様と共にアクセサリやドレスを買い漁り、侍女に肌を磨かせて、ますます美しさに磨きをかけた。

 そういう生活を続けるためにお金は必要で、でも流石にお義姉様の相手は、見窄らし過ぎて夜会では見つからなかった。


 さらにウェルミィは、お茶会や夜会での美しさや人望以外にも、お義姉様より成績が下になることは出来なかった。


 ウェルミィは、全てにおいて、お義姉様を上回らなければいけないのだから。


 だから、お義姉様に提案した。

 頭がウェルミィより良いのを、認めていたからこそ。


 『ね、お義姉様のレポート課題は、全部私の名前で出してね。私の課題は、お義姉様の名前で出すから』


 にっこりと言うウェルミィのお願いを、お義姉様に拒否する権利はなかった。


 流石に筆記試験は自分でやらなければいけなかったけれど、睡眠を削って、領地の仕事を手伝って時間もないお義姉様と。

 自由に時間を使える上に、レポートも適当でいいウェルミィでは、当然ながら自分の方が有利だった。


 そうして結局、父やウェルミィに使われ、卒業パーティーで全てを失い、売られていったお義姉様のことは心の隅に一度追いやり、結婚に向けて準備していた、半年後のある日。


 ふと、噂を聞いた。


 お義姉様が、魔導卿と仲睦まじい様子で夜会に現れたという噂だ。

 見違えるほど美しくなった、という話を、ウェルミィは一笑に伏した。


 アーバインも『そんなわけないだろ』と笑っていたが。


 ウェディングドレスを仕立てるために向かった先で、ウェルミィはお義姉様に会った。


 流れるような銀の髪と、紫の瞳と、輝くような肌を取り戻し。

 ずいぶん健康的な体つきになって。


 あの凍てつくような美貌の魔導卿の横に、ひっそりと立っていた。


 『あれが、イオーラ……? 嘘だろう……?』と、アーバインは呆然としていた。

 二人は最高級の服飾店へ入っていき、別れてからもしきりにお義姉様を気にする彼を、不機嫌になって、無視した。


 お義姉様がいなくなってから、ウェルミィまで父の仕事を手伝わされるようになり、しかもあまり金を使うなと口うるさく言われるようになった。


 どんどん忙しく、貧しくなる生活。

 父と母の喧嘩も絶えなくなってきた。 


 常に寝不足で、家の中はギスギスして、アーバインとの仲もうまく行かなくなり、それらが全て不機嫌さに拍車をかけた。


 それでも、結婚式が近づくにつれ、気分が高揚して来ていた最中。



 ーーー魔導卿から、何度催促しても支払われなかった、お義姉様の支度金について話がある、という打診と共に、婚約披露の夜会への誘いがあった。



 父母とウェルミィは、極力身を着飾って、魔導卿の屋敷へと赴いた。


 その先に待つ、絶望に気づかず。

 まだ、希望があると信じたままで。


 ※※※


 夜会の場には、何故か多くの人たちが集められていた。


 貴族学校で知り合った取り巻き達の顔もあれば、ウェルミィに意見してきた子爵令嬢や、貧乏男爵の顔まである。

 それぞれの親らしき人物や、誰でも顔を知っているような高位貴族の顔までも。


 やがて、一人で来客の対応をしていた主催の魔導卿が、人々に告げる。


「我がオルミラージュ侯爵家の、婚約者を紹介しよう」


 そう言って魔導卿に手を引かれて現れたのは、見違えるように気品があり、美しい装いのお義姉様。


 まるで女神のようだ、とざわつく周囲。

 そうして、この夜会の主役であるイオーラお義姉様と、魔導卿のファースト・ダンスが始まった。



 誰もが息をほう、と吐いて、そのあまりにも優雅な踊りに見惚れていた。



 お父様は驚愕に目を見開き、お母様は憎悪を込めた瞳でお義姉様を睨みつける。


 アーバインは、食い入るようにお義姉様を見つめていた。

 自分が逃した獲物が、どれほど大きかったのかを、悔いるかのような表情で。


 ダンスが終わり、魔導卿が挨拶すると、周りが沸き立ち、賞賛を口にする。

 晴れやかな微笑みを浮かべるイオーラお義姉様の横に、自然に、まるで護衛のようにそっと付き従う子爵令嬢と貧乏男爵の姿が見えて。


 ウェルミィは、口元に笑みを浮かべながら進み出る。


「あら、お義姉様……そんな地位の低い者たちを従えて、恥ずかしくはなくて? せっかく着飾って得た品位が下がりますわよ?」


 その発言に、周りがシィン……と静かになった。


 子爵令嬢と男爵令息は、こちらに冷たい目を向けていたが。

 それよりもさらに底冷えのする魔導卿の青みがかった紫の瞳が、ウェルミィを捉えていた。


 ウェルミィの発言に、お義姉様は悲しげに目を伏せる。


「ウェルミィ……彼らはわたくしの大切な友人ですわ。そんな言い方はしないで」

「あら、事実ではなくて? 度胸くらいしかない子爵令嬢と、臆病者の男爵令息。まぁ、エイデス様の横には相応しくないお義姉様には、お似合いかもしれませんけど」

「口を閉じろ、ウェルミィ・エルネスト」


 絶対零度の声がかかり、思わず口をつぐむ。


「イオーラを侮辱する言葉を、この場で吐いて無事で済むと思うのか?」

「あら、どういう事ですの? エイデス様。私は事実を述べただけですのに」


 媚びるような笑みを浮かべて、ウェルミィは告げるが。

 その鉄面皮を微塵も動かさないまま、エイデス様は淡々と続けた。


「お前に名前を呼ぶことを許可した覚えはない。ーーーイオーラを虐げ続けた、愚か者が」


 エイデス様の発言に、ウェルミィは笑みを深くする。


「あら、誤解ですわ、エイデス様。私はお義姉様を虐げてなどおりません。どなたに何を吹き込まれたのか知りませんけれど……」


 本当に困った風に、頬に手を当てつつ、お義姉様を含む三人に目を向ける。


「名前を呼ぶなと言ったはずだが、耳も聞こえないようだな。貴様ら一家の悪行は、全て調べを終えているのだ」

「そんな、怖いことをおっしゃらないでください。私たちは、何もしておりませんわ。ねぇ、お父様、お母様」


 ウェルミィが振り向いて同意を求めると、父母が勢いづいてコクコクと頷いた。


「そうです、魔導卿! 我々はイオーラを虐げてなどおりませんぞ!」

「むしろ、その子が働きもせずにお金ばかり使って、困らされていたのはわたし達ですわ」

「全く、魔導卿の同情を引いて身綺麗になっただけで、中身はまるで変わっていないようだな、イオーラ!」


 しかしその言葉は、魔導卿の胸を打たなかったようだった。

 むしろ、酷薄な冷たさを備えた笑みをうっすらと浮かべて、目を細める。


「ほう、良いだろう。……ではほんの余興として、お前達の罪を、一つ一つ暴いてやるとしよう」


 そんな、エイデス・オルミラージュ魔導卿の言葉に。

 ウェルミィは、心からの喜び(・・に打ち震えて、思わず緩みそうになる頬に力を込める。


 これから、断罪が始まるのだ。




 ーーー全て、ウェルミィの狙い通りに。



 

テンプレ通りに色々な断罪が始まりますが、ハッピーエンドです。お楽しみください。


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― 新着の感想 ―
めちゃくちゃ面白くて感嘆のため息が出そうになりました できる事なら漫画の記憶を無くして読み、気持ちよく騙されたかったですね… これから少しづつ読まさせて頂きます!
[一言] ウェルミィが主人公、イオーラが逆転役で合ってる?
[一言] わくわく(//∇//)
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