平和に生きたかった
「なぁお前、俺の物になれよ」
そう、この一言によって私の人生は大きく変化した。
私の人生を揺るがしたその男は金色の髪の毛をに靡かせながら、青い瞳で私の目を捕らえ、そして不適な笑みを浮かべていた。
たぶんこの日は、私にとって人生で一番最悪な日だったと思う―――――
◎◎◎
皆さんこんにちは、初めまして。私の名前はリリー·フェリックスです。
突然だけど皆、これから私が言うことを聞いてほしい。
皆は『前世』を信じるか否か。
当然殆どの人は信じないと即答するだろう。
しかし、私は『前世』を信じている。
何故なら私は、生まれた時から前世の記憶があるからだ。
は?頭おかしくなった?と思われるかもしれないが事実なのだ。
前世、私は普通のOLだった。平凡に、特に目立つことなく平和に学校を卒業し、職場でも特に悪い上司と言うわけでもない方の下でコツコツと働いた。そして、34歳の誕生日を迎える日にトラックに跳ねられて死んでしまったのだ。
以上、これが私の前世だ。
この前世の記憶を生まれた時に思い出した。
前世は、平和に暮らしてきたが何だかんだ言って結構楽しかったのだ。だから、今世も平和に楽しく生きたいと私は思った。
その為に私はまず、子供らしく見てるように演技をし続けた。
流石に幼い子供が子供らしく無く、大人び過ぎていたら変だしね。
それと私は情報収集をした。具体的には近所の人達の話をこっそり聞いたり、本を調べたりしたかな。
前世と同じような感じなのかそれとも違うのか調べた方が良いと思ったからだ。後になって大事なことを知らなかったら大変だからね。
そして、情報収集をしていくうちに分かったことがあった。
なんと、この世界には、前世にはなかった『魔法』があったのだ。
お!魔法があれば楽に生きられるじゃね?
と思う人もいるだろう。
そう、私も最初はそう思っていたのだ。だが、だが、それが甘かった。現実を甘く見てはいけない。
確かに、この世界には魔法が存在する。する、がその魔法を悪用して今この世界は戦争が起こっているのだ。
………は?可笑しくない?戦争だよ。戦争。冗談じゃない。ふざけるなだよね
戦争が起きているなら私が平和に生きることはまず不可能。
と言うか、平和に生きるどうこうの問題ではない。この先、まず生きれるかどうか分からないのだ。
だから思う。今のままでの私だと確実に死ぬと。だから、強くならなければならない。もし、敵が来たときに返り討ちが出来るように。
私を生んでくれた家族と近所の人達皆を危険な目に合わせない為に、自分が生きて楽しいと思えるような時間を作れるように、
私は強くなろうと決心した。
その為にはまず、やはりもっともっと情報が必要だ。私は、あまりこの世界の事をまだ知らない。魔法があると言うことと戦争が起きていると言うことしか知らないのだ。
だから、私は両親にこの際聞いてしまおうと思った。
因に今の私の年は4歳だ。
だから、決してあまり大人びすぎるのはよくない。なのでできるだけ子供らしく聞こうと思う。
「ねぇ、おとうさまおかあさま」
「何だい?リリー」
「どうしたの?」
微笑みながら私にそう言ってくれる両親。
お父様とお母様は何時も私を優しい目で見てくれる。
「センソウってなに?」
私がそういった瞬間、2人は目を見開いて固まっていた。
当たり前だろう。幼い子供の口から戦争と言う言葉が出るんだから
「‥‥‥その言葉をどこで聞いたのかな?」
お父様は私が答えやすくなるよう、優しい声で言った
「んー、きんじょのみんながいってたのをたまたまきいたんだよ。でも、なんかこわいかおでいってた。センソウってなに?こわいものなの?」
私がそう言うと、お母様は私の頭を撫でた
「あなた、私はそろそろこの子にきちんと話すべきだと思うわ」
「そうだね‥‥リリー少し大事な話をしよう」
お父様は険しい顔をしながらそう言った。そして私は、この世界の事を知るためにお父様の言葉に頷いた。
「リリー、今からお父さんが言うことをきちんと聞いてね。リリーはまだ幼いけれど賢いわ。今はまだ理解できない事もあるかもしれないけれどきっと何時か理解できる。だから、しっかりと真剣に聞いてね」
お母様は少し悲しい顔をしながらそう言った
「うん」
「まず、リリーの言う通り今この世界は戦争と言うものが起きているんだ。‥‥戦争、とはまぁ簡単に言うと人と人が命を懸けて戦うことかな」
「いのちをかけて‥‥?」
「そうだね。今俺達家族が住んでいるところはリーフベと言う村。村は、この世界には幾つもある。この村よりも沢山栄えてる所もあるんだ。」
この村の名前はリーフベって言うんだな。でも、何で戦争が起こるんだろう
「なんでいのちをかけてたたかうの?しんじゃうかもしれないよ‥‥?」
「それはな皆、領地……住むところを奪い合ってるんだよ」
「すむところ‥‥?」
「そうだ。住むところが増えれば色々なことが出来るんだ。」
なるほど。領地があれば食料だって沢山作ることが出来るし、色々な事が発展する。つまり、村が豊かになるってことか。
「じゃあ、おとうさまとおかあさまもセンソウをしてるの?」
「いや、俺達リーフベの皆は戦争を一切していない。俺達はもともと争い事は反対なんだ。俺が止めている」
え、まって‥‥『俺が』‥‥?って言ったよね。
「おとうさまが?」
「お父さんはね、この村をまとめる仕事をしているのよ」
お母様が答えてくれた
うそ。じゃあ私のお父様って偉い人だったんだ‥‥
「おとうさま、えらいひとだったんだね」
「いや、俺自身は偉くはないよ。決め事も皆で相談して決めてるからね」
「そっかぁ」
村の人たちとお父様って信頼しあってるんだな
「あぁ。でも、俺達が戦争をしていないと言っても向こうはこの村にやってくる可能性がある。そして、最悪俺達も皆を守るために戦う可能性だってあるんだよ。」
そうだよね。戦争する気が無くても向こうから仕掛けてきたら戦うしか無くなっちゃうよね。やっぱりそれで大事になってくるのはやっぱり魔法だよね。魔法について聞いてみようかな
「どうやってたたかうの?」
「魔法、というもので皆戦っている。魔法とは‥‥実際に使った方が分かりやすいか。見ていろ」
「‥‥ファイヤー」
そうお父様が言うと、手のひらに炎が浮いていた
凄い、、
「本来、魔法とは日常生活で役立てるために使うもので、人に決して向けてはならないものなんだが、魔法を悪用して戦争をしているんだ。魔法は色々ある。さっき使った魔法から巨大魔法、怪我を癒す魔法などかな」
「わたしも魔法使えるようになりたい!どうやれば使えるようになるの?」
「それはね、魔法を使うには魔力が必要なんだ。強い魔法ほど沢山の魔力が必要になってくる。だけど、魔力の量は生まれつき決まっていてね。それ以上は増やすことは出来ないんだよ」
じゃあ、生まれつき魔力が少なかったら魔法があまり使えないってことか。
「どうやってその魔力の量がわかるの?」
「それはね、これを使って確かめるのよ」
お母様が水晶玉のようなものを出した。
「これに手を翳してみなさい。そうすれば分かるよ」
お父様に言われて私は水晶玉に手を翳した
魔力が沢山ありますように、
すると、部屋中が光に包まれた
すごい‥‥
「こ、これは?」
「凄い魔力の量だ‥‥これは逆に‥‥」
「ええ‥‥」
お父様とお母様が何か言っているのが聞こえた
こ、これはどういう感じなんだろう。魔力が沢山あるって事かな?
すると水晶玉がパキ、パキと音を鳴らして水晶玉にヒビが入り、水晶玉が
バキッ!
と言う音と共に砕けてしまった
やばい、壊してしまった‥‥
顔を真っ青にしながら私は両親を見ると何やら難しい表情をして2人で話し合っていた
この水晶玉、もしかして結構高かった?
「どうやらリリーの魔力の量が莫大すぎて水晶玉では計れなかったようね」
「そうたな」
「ごめんなさい、これ壊しちゃった」
謝っておこう。許してもらえますように!
「構わないさ。それよりもリリー。君の魔力量はありすぎだ。底がわからない。だから、人前ではあまり魔法を使うな」
怒られなかった!よかったなぁ。とほっとしつつ、やはり魔力量が多かったんだなと驚いた。
「そうね。リリーに莫大な魔力があるとわかれば貴女が狙われかねないわ。悪用されてしまうかもしれない」
狙われる、か。それは危ないな。と言うか、絶対に狙われたくない。物騒なことはあまり好きじゃないんだよな。私としても悪用はしたくないしね。出来るだけ気を付けよう
「わかった」
「だけど、これだけの魔力があるなら魔力を自分で制御出来るようにならないといけない。今はまだ大丈夫かもしれないが何時かリリーの魔力が暴走してしまう危険もある。だから制御出来るように、そして何かあった時に魔法を使えるように訓練しないとだな」
「そうね」
色々波乱だなぁ。
でも、訓練は元々する予定だったし、頑張らないとな。
私はそう決心するのであった。
読んでくださりありがとうございます!