うらだなの四季
この作品は、「劇伴企画」への参加作品へのアンサーストーリーです。
劇伴はこちら
清元 花がたみ
井戸端で野菜を洗う女たちの水音とお喋りを通り過ぎて、崖を背負った長屋に入る。破れ障子の引き戸からひらりと迷う胡蝶を追って無様に着地した先は内職道具の千代紙入れ。
夏祭りに納める作りかけの風車に戯れていると、赤く色づく紅葉を肩におかみさんが井戸から戻る。鰹節御飯を求めて擦り寄れば、手拭いに雪を担いだ背負子姿のご亭主が敷居を跨ぐ。
山村を巡る担ぎ本屋のご亭主に干し柿を渡された坊やはご機嫌だ。今年の大晦日は無事越せるかもしれない。
曲の補足
花札を詠み込んだ明治24年開曲の慶祝浄瑠璃。
古くは文金高島田の2人踊り、現在は下げ髪の姫などの1人踊りが主流のようです。
花札を題材にしたため、開曲当時は下品とも評されたらしい。
曲の最後に出てくる富貴草「ふうきぐさ」は牡丹の別名。同じ表記の「フッキソウ」はカバープランツに使われるツゲ科の常緑低木で別物。
お読みいただきありがとうございました。
今回は自然音が心に染みる原作でしたので、自然音や生活音を想定して書き始めたのですが、ふと清元が漏れ聞こえてきそうな町並みだなあと思い、劇伴をつけました。
原作はこちら
初夏の調べ
作者:猫じゃらし
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