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骨董屋
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桜ちらちら舞い踊る
凛々しき乙女の勇ましさ
今は昔の物語
古物市の片隅で
小さな老婆が居眠りをする
台に並べた品々は
ほつれ破れて埃じみ
お客もチラリと見るばかり
乙女の纏いし振袖の
華やぐ桜の美しさ
今は色褪せ裾も擦れ
古物市の片隅で
小さな老婆が居眠りをする
右手に並ぶ人形は
古いながらも生き生きと
誘う笑顔の愛らしさ
黒髪映ゆる友禅の
枝垂れ桜も匂やかに
戦乙女の艷やかさ
古物市の片隅で
小さな老婆が居眠りをする
老婆の夢は飛び出して
台に並んで澄まし顔
お読み下さりありがとうございました
原作はこちら
大浜 英彰 作『節句人形と日本刀』
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