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牛
ここから3話分は、「変身企画」参加作品のうち、同じ作者さんのシリーズもの3作へ、各々アンサー致します。
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牛はのんびり食んでいた。瑞々しく生い茂る一面の牧草を、心行くまで堪能していた。
牛は茶色い牛だった。円らな瞳が愛らしい。機械生命体のなんたるかなぞ、微塵も知らぬ生き物だ。
空は気持ちよく晴れている。牛のいる緩慢な丘の上を、白い雲が和に流れて行く。向こうに見える里山から、時折鷲が飛んでくる。
鷲は、牛の足元を走るネズミを狙って急降下する。牛は意に介さずに草を食む。血の混じる下草を億劫そうに避け、やがて来る己の姿を想像だにせず。
原作はこちら
大浜 英彰 作『マッドサイエンティストに目覚めた翼竜の野生』
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