男爵
遡ること3ヶ月
「どういう事だ!」
ベアーズ男爵は医師に向かい叫んでいた、可愛い一人娘が腹痛を訴えるので呼び寄せた女医だ。
「ですから、お嬢様は間もなく出産されます。」
「だが!毎月お前が検診をしていただろう!」
そう、王子と付き合うにあたり毎月検診を受けさせていた。
月の物は王子と別れたあとに数回訪れたと聞いていた為、今産み月なはずはない。
「稀に有るのです、産み月まで妊娠がわからず月の物もある事が…先ほどの問診でもそうですがお嬢様も妊娠に気づかす、この数ヶ月便秘で腹が張って来たと思われていたようで…。」
「お医者様、産婆が参りました。」
「わかりました、お嬢様の元に参ります…男爵様失礼します」
「頼む…」
娘が産む子の父親は誰だろか…殿下では無いことを祈るしかない陛下への虚偽の報告書を提出してしまった事となるし、殿下との別れ方もよくなかった…男を部屋に連れ込んだのを殿下直々に目撃され愛想を尽かされた…が、それ以降も男を連れ込んだと報告は上がっていない…。
「私はどうすれば…」
娘が腹痛を訴えてから3時間ほどで元気な孫娘が誕生した。医師の見立てでは未熟児ではなく十月十日健やかに腹で育っている赤子であると診断され…娘は赤子の尻を見た瞬間、殿下の子供だと言い切り殿下へ知らせろと騒ぎ出したが…殿下は幼い頃からの婚約者と成婚され先日、懐妊されたとの知らせが国民へ知らされている、
だが!私の可愛い娘と私の腕の中で穏やかに眠る孫娘の為に!
伝を頼り陛下への謁見を許された。