第39話 夜の光
燃え盛る炎の中、ルナを抱きかかえながら闇のオーラに包まれたアルフレアと呼ばれた男は、リオに向かい高らかに宣言をした。
「ルナはワタシが頂いて~~~いく!!取り返した~ければ・・・あの山に雲に包まれたの城、ガルバルゼン城へと来い!言っておくが・・・これは罠だからな~~~♪」
喜怒哀楽が混ざり不可思議で恐怖さえ感じるアルフレアはリオにそう伝えると、黒い闇と炎に包まれながら彼は消えていった。
その間、リオは動く事ができずその場で倒れ込み意識を失った。
彼女の周りには再び新たな魔物たちが群がってきた。
絶体絶命、その言葉が今の状況として一番適切な言葉であったのだろう。
そして一夜にしてこの街は消滅していく。彼女の命もまた・・・
「終わらせねぇよ!!」
大きな声が街全体に響き、リオの周りに群れていた魔物達に無数の雷が矢のように突き刺さった。
そして建物の屋根から飛んできた1人の男がいた。
「たった3人でよく頑張ったな!こんな状態だ。もう検問規制も何もないだろぉ・・・なぁ」
そして再び魔物達が集まってきた。
彼は、笑みを浮かべながらその魔物達を前に啖呵をきった。
「全てを照らし…光となりて闇を打ち消す!光の勇者 日光!!さぁ・・・やってやるぜ、俺達の可愛い弟子を可愛がってくれたんだからな、覚悟しろよ!」
一方、キャロも大半の避難ができ、だいぶ落ち着いてきた。
だが、魔物達の攻撃がダメージを与えていたため、張っていた魔法障壁はヒビだらけとなり、キャロの魔力もだいぶ摩耗してきた。
「っ・・・流石に人を護りながら広域防御魔法はキツいかな・・・でも、完全に避難が終わるまでは護ってみせます!!」
「よく言いました。では一度身体を休めてください。防御魔法ムーンフィールド・・・」
キャロの後ろから落ち着きのある優しい声が聞こえた。
そして笑顔の彼が、ゆっくりとキャロの隣で止まり新しい魔法障壁を張った。
「えっ・・・?どうして・・・」
「お待たせ。後は私達にまかせてくだい。闇に隠れ…悪を打ち消す一筋の光!闇の勇者 月光」
突然と現れた月光を見て、彼女は魔法障壁を解いて深呼吸をした。
それを見て日光は笑顔で避難誘導を優先するように伝えた。
キャロはそれを聞いて、逃げ遅れた人達の避難誘導を始めた。
なおも魔法障壁に向かって、魔物達は攻撃をしてきた。月光は鋭い眼差しで向かってきた魔物達を追撃の風魔法で切り裂いていった。
「さすがに、弱いね。」
月光はそんな小声で独り言を言うと周りの魔物を確実に仕留めていった。