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Life drive(ライフドライブ)  作者: 桜原 恵斗
4/5

第四話 景色

前回までのあらすじ


俺、赤九人恵夢は、入院した先で出会ったゲーム内の元相方であるシオリを放ってはおけなくなってしまった。そして、彼女に誘われるままよく分からないゲームオブワールドというARゲームをプレイすることになった。




俺は、シオリに唆され、スマートグラスを買ってもらった訳なのだか…


「何やってるの。車椅子ちゃんと押してよね!!」


俺は、なんとも言えない雑用をこなしてさせられていた。


「おい、待てお前。じゃ、なんで、俺は出来ないんだ!!」


そう、俺はなぜか、彼女の言うゲームオブワールドと言うゲームがプレイする事が出来なかった。


「それは、分からない。」


と、すっとぼけた顔をした。正直、殴りたくなったが余りにもアホらしくなってしまった。すると彼女は、


「うわ!!すごい、本当にリアル。ドラゴンが見える‼︎」


俺は、何も見えず。ただただ、彼女の呟く話に耳を傾けていた。


「何の為に…こんなことしてるのだか。」


俺は、ため息をついていた。



「おい、待てお前。じゃ、なんで、俺は出来ないんだ!!」


彼は、そう言った。何というか、誘っておいてゲームが出来ないのはなんとも、残念と思ってしまった。しかし、目の前に広がる世界は、リアルの風景と共にファンタジーの世界が混ざり合った様でとても美しく見えた。


「うわ!!すごい、本当にリアル。ドラゴンが見える‼︎」


私がそんな事を言っていると彼は詰まらなそうにため息をついて見ていた。私は、


「うん。充分に見れたし今日はもういいかな。

病室に戻ろう。」


しかし、彼は


「何言ってるんだよ。お前がやりたいて言ったんだ。俺の顔色を伺わずに楽しめよ。まあ、もともと、俺はお前を動かす為にいる訳だからな。」


皮肉を言っていた。しかし、彼の優しさだと思えた。私はついその優しさに(すが)ってしまった。


「なら、色々な所に行きましょう‼︎」


しかし、それが彼を苦しめていくことはまだ、知る由もなかった。



「なら、色々所に行きましょう‼︎」


彼女は、目を輝かせていた。俺は、多分ため息をつきながら彼女のゲーム攻略に手助けをしていた。しかし、自分がゲームが出来ないことは解せなかった。それは、ゲームが好きであれば誰だってそうだと感じるのかもしれないが、他人のプレイを見るだけと言うのはつまらないものだ。そして、ゲームが見えないと言うのは下の下だと思う。


「まあ、いいや、そんな事を考え始めたらアホらしくなってくるしな。」


と、独り言を言ったつもりだったが彼女にも聞こえてたらしく


「メグて、結構…未練や嫉妬が深いよね。」


流石に、それを面と面で言われるとなんかムカつくのである。だが、そこで逆ギレするともっと癪にさわるのでぐっと抑えて彼女の車椅子を引いた。


「本当に、なんも見えねーだな。不便もここまでくるとどうも思わなくなってくるが。」


彼女は笑いながら、


「これから、どうするの。ゲーム出来ないんじゃ面白くないでしょう。」


それに関してはと言いたかったが、


「まあ、ゲームに集中し過ぎたらお前を動かす事が出来ねからな。不便だが、仕方ない諦めている。」


と、言いつつも楽しんでいる自分がいた。別にそれがやだとか思った事が無いからかもしれないけど。そう言っているうちに一時間ぐらい外にいた。いい加減、戻らないとあの頑固な親父さんが来ると思い。


「シオリ、一時間もやってるからそろそろ病室に戻るぞ‼︎」


しかし、彼女は俺の話を聞かずにゲームにのめり込んでいた。俺は、変だと思い強制的にスマートグラスを外した。すると、彼女はぐったりとしていた。


「おい、シオリ大丈夫か‼︎おい‼︎おい‼︎」


心配になり駆け寄ると


「大丈夫。ちょっと集中し過ぎた。ありがとうね。」


何かがおかしいと思い直ぐに病室に戻り横にさせた。本当は、看護師さんなどを呼び出すべきなのかもしれないが、彼女の事考えたらどうすべきなのかが分からなかった。彼女の手を手に取り


「俺はどうすべきなんだ…どうすれば。」


すると、前触れもなく


「おい、お前はそこで突っ立ているままにいるのか?」


白衣の愛想が悪そうな顔をした人が現れた。多分、先生だとは思うなのだが、なんか、昔あった事のある懐かしさを感じがした。そして、


「お前は、邪魔だから外にいろ。」


引き下がれなかった為


「俺も彼女に寄り添いたいんです。だから…。」


しかし、


「もう一度言うぞ。お前は邪魔だけだ。それにお前には何もできない。」


俺は、外に出てしまった。なぜか、出てしまった。

そして、次の日


「ごめんなさい。もう、あの部屋ね。面会拒否になったの。」


看護師さんに彼女の部屋に入る事を拒否をされた。


「なぜですか‼︎入ってはいけないて‼︎」


そこにいた看護師さんが目を逸らしてから、周りを見渡してから


「昨日ね。君が帰ったあと彼女、急変したの。」


俺は、頭が真っ白になった。そして、気付いた時には彼女の病室の前にいた。なぜ、ここにいたのか。なぜ、立ち止まってしまったのか。それすらも、今は何も分からなかった。その状態のまま、俺は彼女の病室に一週間通い続けた。


「シオリ…。早く元気になりやがれ…。」


その一言だけが静寂な空間に響いた。



俺は、彼女の父親から助けて欲しいと言われたしかし、なぜが何かに邪魔されるように彼女の病気は治ろうとしない。どうすればいいのかを頭を抱えていた。すると、


「何やってるの。車椅子ちゃんと押してよね!!」


彼女の声が聞こえていた…元気な声であった。そうすると、後ろから押している男の子がいた。俺は、その顔を見て驚いた。いや、悪夢にも思えた。それは、恵夢の姿であった。もう、見ることがないと思っていた。春間の。転校生…白波日名香(しらなみひなか)の忘れ形見を。


「あいつ、春間に似てアホな顔をしていやがる。けど、元気そうでよかった。」


と、ホッとしながら持ち場に戻ろうとした時。


「おい、シオリ大丈夫か‼︎おい‼︎おい‼︎」


という、恵夢の声。よく見てみると彼女はぐったりとしていた。何が起きたんだ?と思い彼女の病室に急いだ。すると、そこにはどうすればいいか分かっていない恵夢の姿があった。


「俺はどうすべきなんだ…どうすれば。」


そんな、声が聞こえた。俺は、ムカついた。


「おい、お前はそこで突っ立ているままにいるのか?」


恵夢は縋るような顔をしていた。そして俺は、


「お前は、邪魔だから外にいろ。」


しかし、


「俺も彼女に寄り添いたいんです。だから…。」


あいつがいたところでどうにもならない為、


「もう一度言うぞ。お前は邪魔だけだ。それにお前には何もできない。」


あいつは外に出てしまった。そこだけは奴の親父と違っていた。そして、俺は彼女の対応始めた。


「大丈夫だからな。意識を保てよ。」


すると、彼女はカラカラの声で、


「先生。メグを責めないでください。彼は、大事な…。」


それに対して俺は、


「責めてない。けど、あいつの判断力が気に入らないだけだ。あいつの親父もそうだったからこそ、俺はあいつに対しては言わなくちゃいけない気がするんだよ。」


そう言うと、彼女は微笑んでいた。俺は、凄いと思えた。他人を心配できる彼女を。それから、夜になり彼女の父親が現れた。会議だったらしく連絡が伝わっていなかったらしい。


(しおり)…栞。ごめんな。」


父親は泣き崩れていた。俺は、状況を説明する為に近寄ると、


「先生…。栞は助かるんでしょうか。私は妻も娘も失うのでしょうか‼︎」


俺は何も言えなかった。けれども、


「いえいえ。私たち医師は残念ながら万能ではないけれど、救いたいと言う気持ちは一緒ですだから諦めないでください‼︎」


苦し紛れかもしれないけど、俺は本気で彼女や彼女の父親の笑顔の為に頑張りたいと思った。



面会拒否になってから1か月が過ぎようとしていた。未だに俺は彼女の病室の前で祈ることしかできなかった。


「元気になりやがれ…シオリ。ゲームの続きするんだろ。」


俺は、ここに来る度に、何回か考えていた事があった。何が彼女に起きているのか。自分に分かることは、彼女が苦しんでいるという事である。


悩んでいるようだな。恵夢。


久しぶりにペインのから話しかけてきた。


「なんだ?不甲斐ない姿を晒している俺を嘲笑いに来たのか?」


しかし、ペインの返答は違っていた。


嘲笑うのもいいがお前にヒントでも教えてやろうと思ってな。


ヒント?なんのヒントなんだよ。と聞いてみると。


決まっているお前が助けたいシオリという女性に関するヒントだ。


そう、奴は言った。なぜ赤の他人であるアイツが知っているのか俺は何が何でも問い詰めたかった。


お前、自分が普通じゃないと思う時は無いか?


知るわけないだろ‼︎それよりも教えろ‼︎俺は問い詰めいた。


もう一度聞くぞ。自分が普通だと思っているのか?


俺はじれったく感じ、


「俺は、なんの変哲も無い普通の一般人だ‼︎」


すると、ペインの声は聞こえなかった。


「なんなんだよ。俺は、赤九人春間とは違う…。」



やっぱり、恵夢は自分を分かっていない。アイツは人知れず春間と日名香残した力に目覚めている。


ただ、目に見えないだけで、 それは使えているのである。


そう、アイツの力はアイツが一番できない事である。


自分を信じろそうすれば力は使いこなせる。



ペインの話しかけて来た日から、何かが変わった。唐突過ぎるせいで、状況の整理が追いついていない。しかし、確実に昨日まで見ていた景色とは違っていた。何せ、目の前にノイズのようなものが見えるようになっているのだから。


「なんなんだよ。あいつが言っていた事ってこう言う事なのかよ。」


今分かっている範囲で考えるべき事は、急いで、ペインを見つける事であると俺は考えた。

理由は簡単だ。あいつだけがこのノイズのようなものの正体を知っていると思われるからだ。

であれば、起こすべき行動は一つだ。


「作ってやるよ。あの車をな‼︎」


俺は、すぐさまにガレージに向かいガレージのシャッターを開けた。


「あのまま、残されてる…けど、今はお前だけが頼りだ。」


すぐさまに車の説明書をコピーし、スマートグラスを掛けて作業を始めた。


「流石に、スマートグラスがあると楽に作業が捗るな。」


そう、組み上げていた小学生の頃はスマートグラスはまだ支流ではなかった。しかし、スマートグラスがあれば設計図が車体に見える為、なんの部品が何が足りないかがよく分かる。しかしながら、


「やっぱり。エンジンがどうする事も出来ない…。」


それが一番この車の最大の問題点であった。エンジンが無ければ車を動かす以前の問題になる。


「どうすれば…。シオリ…どうすればお前を救える。」


自問自答が続いた。シオリの病室の前に行かなくなり、ガレージで篭りっきりでIDVSの事を考え続けた。すると、


「お前、ここに篭り始めたと思えば。こんなに作っていたのか。」


親父がガレージにやってきた。正直、そろそろ何が言われてもおかしくは無い期間でガレージに篭り続けていた。しかし、親父は起こる事をせずある話をした。


「いいか、恵夢。お前は、色々考える子であった。その為か、多くの悩みを抱えて生きて来たのかもしれない。けどな、だからこそ人に頼る事が大事なんだ。それなのに、昔から頼ることが下手くそだ。何故か、そこだけはお前の父親には似てなかったけど。」


昔から、自分が人に頼る事が下手くそな事は分かっていたことであった。けれど、それを今更どうしようもない事である。だが、親父は続けてこうも言った。


「今更、人に頼るのは難しいかもしれない。だから、自分が無理な時は無理と言え。そして、自分を信じられなくなったら自分自身を信じろ。信じなければ何にも起きない。と言う事が言いたかっただけだからそこだけは覚えておけ。」


そう言って親父はガレージを後にした。信じなければ何も起きない…。俺はその言葉を引っかかりを覚えた。

それからと言うものの、自分の見る風景が少し変わった。ノイズだらけであった風景にぼやけてはいるが生き物のようなものが見えるようになっていた。


「自分を信じてみてるよ。親父。」


俺は、何が分かるんではないかと思い久しぶりにシオリの病室行った。しかし、相変わらず、面会拒否であった。それでも病室の前に行こうと思い向かっていた。ただ、前に病室に来た時とはまるで感覚が違っていた。言葉で表すなら何かに後ろから心臓を掴まれているような感覚であった。それに嫌な予感がしていた。そんな不安を抱え病室に着くと予感は的中していた。


「なんで‼︎ドラゴンのようなものが見えるんだよ‼︎」


ドラゴンが目の前に見えてていた。どうするべきかを考えていたが、それ以上に俺が問題しすべき場所は違っていた。


「なんで、アイツの病室の前に陣取って嫌がるんだよ‼︎」


そう、ドラゴンの立っている場所はシオリが居る病室であった。そして、俺はある仮説を立てたシオリが体調が悪くなった理由がドラゴンが関係しているのではないのかと。それであるのであれば行動は一つ。そう思って彼女の病室のドアを開けた。そして、


「やっぱり。そういう事だったんだ…。」


目の前で、ベットに眠ているシオリに何が吸い取っていた。


「突然、君は誰だい‼︎突然入ってきて、迷惑だ出て行きなさい。」


彼女の父親が突然入ってきた俺に対して言った。しかし、俺は


「そんな事どうだっていい。今、俺の見ている状況を説明するから聞け。」


当時の俺は、正直誰に対しても礼儀がなっていなかった。その為か、


「年もいかない小僧が。大人に対しての言葉を知らんようだな‼︎」


しかし、それどころでは無かった俺は。なぜか、彼女の父親の手を握った。するのその人は言葉を失ったように唖然としていた。


「ドラゴンがなぜ見えるんだ。しかも、栞から何かを吸っているんだ‼︎」


そう、俺が見た状況と同じ風景を見ている事が分かった。そして、俺はこう言った。


「俺がどうにかしてやる‼︎やり方は分からないけどそれでもどうにかしてやる‼︎」


この日が俺の運命を決定付けた日となるとは俺も思わなかった。


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