35 気付け薬
2018.1.28
話の順番を入れ替えております。
↓↓↓ は反省の意味を込めて当時の後書きのまま掲載しています。
久々の本編です。
なんだか、いつもと同じ長さのはずなのに、やたら短く感じるのは、挿話が長すぎたからでしょうか(^_^;)
次回、またヨーゼフの挿話です。構成がイマイチで、お許し下さいm(_ _)m
鴆の糞からもひどい臭いがしている。それはまだ気付けの刺激臭ではない。腐敗臭だ。肉食魔物である鴆の糞は、消化されなかったタンパク質や脂肪が腐った臭いがする。
本来は嗅拡丸などで、嗅覚を麻痺させてから行う作業だ。でも今は時間が惜しい。このままやりきるしか無い。
気付けの成分と、その他を分ける。
まずはフラスコに鴆の糞を入れる。そこに一握りの藁とぬるま湯を加える。
【フォーメンテーション】
火魔法で温度を40℃にキープしたまま、時間魔法で早送りする混合魔法だ。前の人生では、これでお茶を作ったり、チーズを作ったりしていた。
フラスコでは糞が溶けた緑色の濁った液体が、ぶくぶく、ボコボコと気泡を上げだした。この作業で、糞の中にあった様々な成分が水に溶け出し、わらの中の微生物によって発酵することで、糞の中の空気に溶ける成分を気体化することができる。
部屋の中の臭気が濃くなる。
フラスコに管の通った栓をする。その管の先には、動物の腸から作った空気を閉じ込めておける袋が結わいつけられている。
気泡と共に、気付け成分の元となる気体が立ち登り、狭い管を通って、袋に入る。袋はどんどん膨らんでいく。ある程度まで膨らんだところで、発酵を止めて袋の口を紐で結ぶ。
もれでた臭いに、目の前がくらりとする。気付け薬を作っていて、気を失うなんて冗談じゃない。
ぐっと奥歯を噛み締めた。
今度は、気体がつまって風船のように膨らんだ袋の口に別の管を通す。その管の先にはクリスタルの入ったガラス管があり、さらにそのガラス管には別の袋が取り付けられている。
クリスタルは触媒だ。袋の中の気体はまだ気付けの元になる成分を含んだものだ。この触媒を使うことによって、純粋に気付けの成分だけに変化させることができるのだ。
クリスタルは、窓辺のサンキャッチャーを使った。
いつの時代のものかは分からないけれど、ずっとこの部屋にあったサンキャッチャー。以前調べた所、驚いたことにガラスではなく本物のクリスタルだった。幸運を捕まえるというサンキャッチャー。お願い、ヨーゼフにその幸運を分けてあげて。
クリスタルの入ったガラス管を【サンダー】で微弱な電流を通すると、クリスタルが強い虹色の光を放った。さらに【グラビティ】で圧力を存分にかけていく。クリスタルは、虹色から黒く色を変えた。
「いくわよ」
先程の悪臭がぱんぱんに詰まった袋を手で押す。すると、そろりと気体が管を通って黒いクリスタルのあるガラス管まで通った。すると、クリスタルのところまで透明だった気体が、そこを過ぎると白い煙となって別の袋に入っていった。
まずは成功ね。
すべての気体が移動したところで、袋から慎重に管を引き抜き捻って口を止める、そして即座に【ウォータ】で中に水分を発生させた。
袋を振ると、水が弾けるジャバジャバという音がした。
数十回そうやって振り、袋の口を開けて、そおっと傾けると、刺すような臭いだが、先程の悪臭とは全く違う臭いの白く濁った液体が流れ出だ。
「完成……ね」
それを完全密封できるガラス瓶に移す。
振り向くと、ミーシャが白目を剝いて倒れていた。無理もない。強烈な悪臭だ。私も鼻の奥から頭にかけてズキズキと痛む。
気を失っているミーシャの鼻の下に、蓋を開けた小瓶を持っていく。そして軽く左右に振った。
ミーシャの眉が不快そうに軽く寄る。と、間を置くことなくまぶたが限界まで見開かれた。
「ひょえーーーー!」
文字通り飛び起きた。気付け薬の効能は確かなようだ。
部屋の後片付けをミーシャにお願いして、私はヨーゼフのもとに走った。
気付け薬といえば「アンモニア」!化学には素人の私が異世界でもできるアンモニアの作り方をぐぐってみました。
( ゜д゜)ポカーン 理解不能
排泄物からアンモニアを採れないの?え?尿素からの化学変化が必要?
ハーバー・ボッシュさん?誰それ?
アンモニアを量産できるように考えた人?え、天才ですか?あ、ノーベル賞もらってる本当の天才ですか……。
自分の頭の悪さに、うん○投げつけたくなりました。
精神的に子供なので、うん○ネタ好きです。前回いい事言ったミーシャちゃんも、今頃うん○臭い部屋を涙目で掃除しているのかと思うと、ニヤニヤしてしまいます。
他にもうん○ネタを用意いていますので、お楽しみに!(自爆)