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33 喪失感

予約投稿をしていたのですが、一日ずれてしまったようです。更新を楽しみにしていてくださった皆様、申し訳ありませんでしたm(_ _)m


若干内容に修正を入れました。


「心臓がもちそうにありません。おそらくもともと、心臓に持病があったのでしょう。それが何かしらの強い衝撃やストレスで限界に達したようです」


 街の医者は、やってくるなり脈を取り、体の状態を確認し、聴診器で胸の音を聞いた。そして首を振りながら難しい顔をしてこう言ったのである。それは私の見立てと同じだった。

 ヨーゼフのいつもの咳に息切れ、それにたまに胸を苦しそうに押さえていた様子。それは慢性的に心臓が悪いことの証だ。それを見て、私は心を痛めていた。

 それに私は知っていた。前の人生でヨーゼフが私の13歳の誕生日の少し後、心臓の病気で亡くなったことを。つまり今から半年後だ。心臓に病があることは間違いない。

 そして先程、ヨーゼフはエンデ様に殴られそうな私を見た時に、精神的衝撃と強いストレスを感じたはずだ。おまけに殴られて背中を強打してしまった。ヨーゼフの心臓は限界だと悲鳴をあげたに違いない。激しい胸痛、呼吸困難により顔は青ざめ、手足は氷のように冷たくなった。ピンク色の痰も心臓の機能が低下した時の症状だ。手首の脈はかろうじて触れる事ができるが、弱くて速い。血圧が下がり、非常に危ない状態だ。

 

 私は、ヨーゼフの心臓の負担を減らすために、藍色の薬を与えた。

 鴆の毒から作られる麻酔薬には血管を拡げる作用がある。血管が広がれば、心臓は無理なく全身に血を送り出せる。ただ心臓の負担が軽くなったとはいえ、心臓の動きは弱い。それを補うのはフクキ草だ。屋敷の温室にあったフクキ草は、可憐な黄色い花を咲かせるが実は猛毒である。その根を煎じたものは、心臓の動きを強め、葉を煎じたものは体内の余計な水を抜いて心臓の負担を減らし楽にしてくれる。

 猛毒のフクキ草の根と葉をエキス状になるまで煮込み、それから鴆の毒を加えたものが、ヨーゼフの命を長らえるために作られた藍色の薬だ。

 そんな藍色の薬も、今のヨーゼフには役に立たない。昏睡状態のヨーゼフに、薬を服用させる方法がないのだ。


「そんな……、父さん!」


 ヨーゼフに身を投げ出すように寄り添っているのは、ヨーゼフの娘、そしてヘンゼフの母であるアリスである。


「父さん、しっかりして!父さん!」

「母さん、じいちゃんを揺らしちゃダメだよ」


 ヘンゼフは、アリスの肩に手を置いた。そのヘンゼフも唇を噛み締めて小刻みに震えている。


 私もヨーゼフに駆け寄りたいのを我慢していた。ヨーゼフの側にいるのが家族の権利だということもあるが、なにより自分の傲慢さに腹を立てていたからだ。


 なんで私はエンデ様にもっと早くに、そう、王都にいる間に引導を渡さなかったんだろうか。そうすれば、エンデ様がここにくることなんてなかったのに。

 なんで護衛もなしに、エンデ様と会見してしまったのだろうか。彼が激昂することなんて十分予想できたはずなのに。

 なんでヨーゼフの病気のことを知っていたのに、彼の行動を止められなかったのだろうか。

 そして、なんでヨーゼフの治療には、もっと時間の余裕があると思っていたのだろうか。


 私は人生をやり直せると分かってから、一番したかったこと。それはヨーゼフの心臓の薬を作ることだ。ルイス様に会う事が後回しにしても、なんとしても作りたかった。それでヨーゼフには長生きして私が幸せになる姿を見てほしい。


 ヨーゼフの根本的な治療のためには、藍色の薬だけでは足りない。藍色の薬を基にさらに調合を重ねなくてはいけないのだ。ヨーゼフが完治するための薬が完成するまでには、最短でもあと数週間。

 本来の流れであれば、私の誕生日まであと半年。つまりヨーゼフの具合が急変するまで十分な猶予があるはずだった。

 それなのに……。


「私をかばおうとするなんて……」


 唇を噛んでうつむく。目の端に涙が滲んだ。

 ヨーゼフは、とっさに私をかばってくれた。あの時、私はエンデ様に殴られるのは覚悟していたのに。その上で、これはコロンナ侯爵家に大きな貸しとなると腹黒くも計算しさえした。そんな私のためにヨーゼフは……。


 間に合わない……。また失うの?ヨーゼフを。


 ギリリと唇をかむと、血の味がした。


心臓に詳しい人〜、診断、大きく間違ってはいないですよね?大丈夫ですか???

異世界物って事で、大目に見てもらえるレベルっすか???

私の力量をこえている気がします。医療に詳しいひと〜お願い助けて〜(´╥ω╥`)

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