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24 三通の手紙



 手元には三通の手紙。

 それぞれの差出人を確認した。私はそのうちの一通を見て、大きなため息がこぼれた。


 受取人不明で返ってきたのはルイス様に宛てた私からの手紙だ。領地に来てすぐに手紙を出していたのだ。


 私が住んでいた森、今はルイス様が住んでいる森は地元の人には「迷いの森」と呼ばれている。私は下働きをしていた宿屋で娼婦の真似事をするように言われて、逃げ出したところだった。道に迷い、何日間もさまよった。気付いた時には迷いの森にいたが、その中で何者かに導かれるようにしてあの家にたどり着いたのだった。


 こうなったら、私自身が行くしかない。行ったところで、迷いの森を抜けて森の家に着けるかどうかは分からない。でも必ず行こうと思う。

 もう一つ、保険をかけておこう。

 私が前の人生で記憶するほど何度も繰り返し読んだルイス様の日記。それによると今からおよそ1年後、ほとんど森の家から出ることのないルイス様が、自ら希少な素材を得るために森を出る。そこでなら確実にルイス様と会えるだろう。私自身がモンスターを倒さなくても、その時間、その場所に行けさえすればいい。でも、その場所はたどり着くのも危険な場所だ。

 私は自分の肉体を見下ろした。か細い腕に華奢な足。鍋をグルグルかき回しただけで、使い物にならなくなる筋肉。令嬢としては問題ない。でも、ルイス様に会うにはこれじゃダメだ。思い通りに動く肉体も、身を守れる技術や装備も、そしてサポートするアイテムも全然足りない。


 この先の方針が決まった。


 まずは森の家に行く。それで会えなければ、体を鍛えて、さらには装備もアイテムも揃えて、ルイス様が出現する場所で待ち伏せする。


 ところで私にはもう一つの密かな目標がある。ちらりとミーシャに目をやってから、再び自分の体を見下ろす。一年後には、お胸をもう少し大きくしよう。せめてミーシャの半分くらいは……。




 もう一通の手紙は、海辺の大きな街からだ。

 目を通して、笑顔になった。


「ヨーゼフ、近々お客様が来るわ。よろしくね」

「は?」

「だーかーら……」


 言葉を大声で繰り返し、やっとヨーゼフは頷いた。


 最後の一通はお父様からだ。

 ほとんどの仕事はロベルトが仕切っているため、ヨーゼフを屋敷で見かけることは少ない。なのに、ヨーゼフ自身が手紙を届けに来たのは、当主であるお父様からの手紙があったからだろう。確かにそれは執事長の仕事だ。

 開封する。


「まぁ、こんなに喜んでくださるなんて」


 以前、お父様に頭痛薬を送った。ついでに作ったものだが、役に立ったらしい。お父様の素直な喜びの言葉に、私も嬉しくなった。


「まあ、そんなに?お父様は相当お辛いのかしら。お疲れなのね」


 お父様の手紙には、頭痛薬を約3ヶ月分に相当する量を送って欲しいとある。

 これは腕によりをかけて作って差し上げなくては。前に送った頭痛薬は、オークアップルの虫コブの部分を使って、頭痛だけではなく体全体の疲れを取り除く仕様にしてある。次もそれでいいだろう。相当気に入ってくれたようで嬉しい。


 しかし頭痛薬に関することは手紙の触りに過ぎなかった。手紙を読み進めるうちに、重いため息が出てしまった。


「ヨーゼフ。もう一人、お客が増えそうだわ」

「はっ?」

「だーかーら……」


 ミーシャが、棚を指差してなにやらサインを送っている。

 あ……そうだったわ。


「ヨーゼフ、今からあなたの耳と歯の治療をしてもいいかしら?」

「は?」


 ダジャレではない。




キノこネコ様からバカヨーゼフを略して呼んでみたらどうかとのご意見を頂きました。

確かに爺さんの方と孫の方が一緒に出てくるシーンで、私自身が混乱してしまいそうですΣ(´∀`;)


バーゼフ

バフ


といった提案を頂きましたが、どうにも決め兼ねています(._.)

そこで皆様のご意見を参考にさせていただきたいのですが、「バカヨーゼフ」「バーゼフ」「バフ」「それ以外(できれば提案をいただけると助かります)」どれがいいでしょうか?

感想欄にてご意見をいただけると幸いですm(_ _)m



↓↓↓

孫の方のヨーゼフの略称を「ヘンゼフ」君に決定しました!

それに伴い、前の話からの略称をヘンゼフに変更しております。混乱されましたら申し訳ありません。


4話前の25部に、その略称についてのエピソードを割り込み挿入いたしました。

2017/9/20


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