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20 山へ行こう⑥

すみません、更新遅くなりましたm(_ _)m



 少し遅くなったが、皆で昼食をとる。私も少年も鼻が麻痺しているため、味のしない昼食になってしまったが仕方ない事だ。食後に嗅拡丸を使用していたら、間違いなく吐いていた。


「危ない!」


 後片付けをしていたミーシャの背中近くで、アランが鞘ごと剣を振ると、ビシャっと音をさせてスライムは弾けた。


「きゃあああ!」


 崩れたスライムの飛沫を浴びて、ミーシャが悲鳴を上げる。


「魔物よけの薬の効果が切れたのか!それにしても何故、こんなところにまでスライムが来たんだ?」


 焦ったように呟く、アラン。


「アラン、あちらからも来てるわ!」


 私が方向を指差せば、再びアランが鞘付きの剣を振る。

 倒しても倒してもスライムが湧いてくる。


「きゃあああ!」

「くっ、なんだってこんなに!」


 そのスライム達は、何故かミーシャだけを狙っている。アランがスライムを必死に食い止める。


「キリがない!」


 アランの苛立ちも増す。

 私と少年は、スライムがこない方にと逃げていくと、自然とミーシャと距離が空いた。


「いやいや、こっちこないでーー。助けてーー」


 ミーシャもそこら辺に落ちていた木の枝を拾って、応戦し始めた。子供でも倒せるモンスターだ。ミーシャも髪を振り乱して、なりふり構わずに棒を振れば、なんとか身を守れる。

 二人から距離がはなれ、私と少年はすっかり蚊帳の外になってしまった。


 そんななか少年が、森の奥を指して叫ぶ。


「うわーーー、大スライムだあ!!!」


 少年がそう言うのも無理はなかった。大地がぷよぷよと揺れているようだ。今まで見たことが無いようなスライムの大群だった。


「きゃあああ!なにあれ!気持ち悪い、いやいや!」


 融合して大きな個体になっているものもいる。途中で何かを取り込んだのか、スライムの体内で何かが半分消化されているのが透けて見えた。

 ミーシャは。さらに木の枝を大きく振り回した。木の枝が当たったところにいたスライムが弾け飛ぶ。


 嗅拡丸でスライムが次から次へと生まれて大増殖をしていることは知っていたが、これほどの大群とは思いもしなかった。

 私達が離れてしまったことに気付いたアランが、その場を離れようがどうかと逡巡する。

 すかさず私はアランに指示を飛ばした。


「アラン、ミーシャを守ってあげて!」

「私はお嬢様の護衛です!侍女よりお嬢様を守らないと!」


 アランの言葉にはっとした顔になったのはミーシャの方だ。


「いいえ、私よりミーシャを守ってちょうだい!」


 アランはミーシャと私を焦ったように見比べている。スライムに囲まれているミーシャと違って、私の周りにはスライムは一匹もいない。


「私は……大丈夫です!お嬢様を守って下さい!」


 ミーシャはスライムに囲まれながら木の枝を握りしめて、真っ青な顔をしながら微笑んでみせた。


 それでこそミーシャだわ。心の中でにっこりと笑う。

 アランにもう一度強く言う。


「私たちは離れた方が安全よ。臭いでこの辺りには他に魔物も獣もいないことは分かっているわ。そんなに離れないわ。近くにいるから。だからお願い、ミーシャを」

「くっ……、分かりました!」

「お嬢様!」


 アランはスライムとミーシャの間に立ちはだかった。

 そして私は少年にカゴを背負わせて、二人で山を駆け上った。


 大丈夫よミーシャ。アランは「スライムごときがいくら襲ってこようとも十分お守りできますよ」って言ってたでしょ。精鋭だもの、それくらいの実力はちゃんとあるわ。あなたをしっかり「守って」くれるわよ。

 でも、ちゃんと気づいたようで良かったわ。アランにのぼせ上がっているのは、あなたらしくなかったわよ。しっかりお仕置きになったようね。


 ついでにドロップしたスラ玉を回収しておいてね。



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