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薬師令嬢のやり直し  作者: 宮城野うさぎ
これまでの話
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 ユリアはオルシーニ伯爵家の一人娘として生まれた跡取りだ。しかし婚約者のエンデと従兄弟のフランチェシカが恋仲なのを知り、魔力を暴走させてフランチェシカを怪我させてしまった。それがきっかけで、伯爵家を勘当され、分水嶺のリンドウラ修道院に入ることになる。しかし伯爵令嬢として育ったユリアには修道院の生活は耐えられるものではなかった。修道院の地下室で偶然に発見した穴に落ちたユリアは、外に出たのを幸いと修道院に戻らないことを決意する。そして流れ着いたのが、入った者は必ず迷うはずの森の中の空き屋だった。元の住人はルイスといい、薬師だったようで、残された素材・道具・資料を使いユリアも薬の調合を始める。そして最寄りの街の薬問屋の主人・ダンと選任契約を結び、薬協会にも登録した薬師となった。

 そして五十六歳になった。ある日、激しい頭痛で倒れると十二歳の頃に時が巻き戻っていた。ユリアは時間が巻き戻る前を「前の人生」と呼び、その時の記憶と知識と技術で人生をやり直す事にした。



 手始めに、婚約間近だったエンデとの関係を絶つ。そして忠実な侍女ミーシャと共に領地のオルシーニに向かい、祖父のように慕っている執事長のヨーゼフが死ぬ未来を防ぐことを心に決める。

 心臓病だと思われていたヨーゼフは、実は魔力栓塞という珍しい病気だった。しかしその病気は、レバンツの薬問屋・ダンの妹も命を落とした病気で、薬師時代のユリアは魔力栓塞を研究し治療法確立していたため、ちんの羽などの素材を採取し症状を抑える薬を作る。その薬でヨーゼフの体調は良くなるが、根治させるためには一歩踏み込んだ治療が必要のため、その準備も始める。

 そんな中、王都から客が訪れる。婚約話が撤回となったエンデだ。エンデはユリアが他の誰かに心変わりしたのかと、問い詰めようとしてユリアに拳を振り上げる。身を呈してユリアを守ったヨーゼフは、心臓に衝撃を受けて昏睡状態になる。

 ユリアは、鴆の糞から作った気付け薬を嗅がせることで、命を救う。

 ヨーゼフが峠を越えた夜のこと。ヨーゼフのもとに、ルイスが現れる。そしてユリアのためにと、ヨーゼフに魔力栓塞を引き起こした薬の中和剤を飲ませるのであった。



 ヨーゼフの状態が落ち着き、つかの間の平穏が訪れる。

 危険な魔物である鴆の討伐が計画される中、ミーシャは初恋の相手であるユリアの護衛・アランに告白を決意する

 二人の仲を縮めるために、街中へ出かけるが、案内のヘンゼフの不備でアルの本屋という場所に迷い込む。そこで出会ったのが、ニコという少年だ。ニコはその場でユリアにプロポーズをして断られるが、そのことでより一層ニコはユリアを気に入るのであった。そしてミーシャは告白の直前に、アランに妊娠中の妻がいることを知り失恋する。


 鴆討伐の当日。

 屋敷の警備が手薄な中、盗賊が押し入る。とっさに調合室に立てこもった、ユリアとミーシャとヘンゼフ。筋肥丸という薬を飲んだヘンゼフが、ユリアとミーシャを連れてヨーゼフの家に逃げる。しかし入れ違いにヨーゼフが屋敷に向かった事を知ったユリアは、一人で屋敷に戻る。

 屋敷では、使用人達は盗賊に投降し酒蔵に閉じこもっていた。酒蔵への道は盗賊が見張っていたが、合流したヨーゼフが酒蔵への抜け道を教えてくれる。また執事長室からヨーゼフの自宅までも抜け道があり、それを使って使用人達を逃がすユリア。しかし抜け道は狭く、全員が逃げるには時間がかかる。それで自らをおとりにして、時間稼ぎをするユリア。

ユリアは自作の薬品や、魔法を使い盗賊と戦ったが盗賊のかしらに捕まってしまう。そこへ助けに現れたのが、上級冒険者のダンだ。

「前の人生」でユリアの恩人だった薬問屋のダンは、妹が魔力栓塞で亡くなる前はその治療法を求める冒険者だった。ユリアは治療法についてダンに手紙を送っていた。それを読んだダンと、相棒のガウスと共にオルシーニに来たちょうどその時に、ミーシャに助けて欲しいと依頼を受けたのだ。

 ダンのおかげで窮地を脱したユリア。折良く、ヘンゼフが呼びに行った鴆討伐部隊も盗賊の鎮圧に加わり、被害を最小限に抑えることができた。しかし報告を聞く中で、ユリアは自分が鴆討伐部隊より「神の御使い」と呼ばれていることを知り、頭を痛める。ヨーゼフに「前の人生」とルイスについて話したのもこの時であった。


 盗賊の襲撃から数日後、ユリアの父・ゴッソが領地に到着する。「前の人生」ではユリアは強面でエンデとの婚約を反対し、勘当さえした父を嫌っていた。しかし内面が五十六歳になった今のユリアは、固い表情のゴッソの中にユリアへの深い愛情が隠されている事に気付く。

 ゴッソは治癒魔法をかけてもらうために、ユリアを教会に連れて行こうとする。しかしその途中で、ユリアは鴆討伐部隊や屋敷の警護をしていた兵士の家族から「神の御使い様」と呼ばれる。教会との関係を考えたゴッソは、ユリアに自分の知人がいる分水嶺の修道院に行くように勧める。盗賊の襲撃でヨーゼフを完治させる素材をなくしたユリアは、その素材が手に入る可能性の高い修道院行きを承諾する。

 出発用意が整う中、ユリアは盗賊の黒幕がニコの可能性を知るのであった。



 修道院へは、ユリアと側仕えのミーシャとヘンゼフ、アランを含む護衛隊、冒険者のダンとガウスで向かうことになった。途中、ミーシャとヘンゼフが謎の商人からもらった菓子で食中毒になったり、ワイルドバイソンの群れを退治したりと、トラブルもあったが無事に到着する。


 分水嶺にあるリンドウラ修道院は、「前の人生」でユリアが勘当された時に入れられた場所だった。その時は暗く陰鬱だったのに、今は明るい雰囲気なのに驚きを隠せないユリア。

 到着したその日はちょうどリンドウラ修道院で作るお酒、リンドウラ・エリクシルの仕込みが終わった祭りなのだという。祭りの中、ゴッソの学生時代の先輩であり、修道院長の娘の修道女・クラリッサや、ユリアが通うことになる王立学園の先輩になるアリーシアと親交を深める。

 その日の夜。集団食中毒が起こったことを知らされるユリア。患者が集められた場所に行くと、修道院の薬師・カイヤが精力的に治療に当たっていた。ユリアは消毒や汚物処理などをしながら、食中毒の原因を探し、食中毒になったのはリンドウラ・エリクシルを飲んだ者だけだということに気付く。そのことを自室で休憩をとっているはずのカイヤに伝えに行くユリア。カイヤからペリグリという奇病について知り、直後にユリアはカイヤに盛られた毒で倒れ死の淵をさまよう。


 時を同じくして、感染病が発生したのではないかと疑う商人のガシリスクに修道院は閉鎖されていた。そして修道院の中ではペリグリを発症した最初の患者が人を襲う。ダンの機転で、被害は最小限に抑えられる。

 虫の知らせでユリアの危機を感じるミーシャは、ダンとアリーシアを伴ってカイヤの部屋へ行く。そこで見つけたのは、瀕死のユリアと修道院長だ。治癒魔法一回分の魔力しか残っていないアリーシアはとっさに修道院長に治癒魔法をかけようとするが、アランはユリアに治癒魔法をかけるようにと剣で脅す。遅れてきたダンが止めに入り争いになるが、ユリアなら修道院長だけでなく、修道院のみんなを助けられるから、ユリアに治癒魔法をかけて欲しいとアリーシアに頼み、争いを終わらせる。


 死の淵のユリアは、奇妙な夢を見ていた。異世界の少女が、神に捨てられた場所で天地を創造し、三人の御使いも出てくる夢だ。

 目を覚ましたユリアは、ミーシャがリンドウラ・エリクシルを飲んだにもかかわらず発症していないことに気付く。そしてミーシャとヘンゼフが抗体を持っていることを突き止める。ヘンゼフの抗体で修道院全員を治療する。

 感染症を広げないために修道院の発症者を殲滅しようと聖騎士が到着するが、従魔を通して修道院の姿を確認した聖騎士団長の指示で帰って行く。

 ユリアは修道院からの感謝のため、初代修道院長の仲間だったという旅の薬師・サクラのシャトレーヌとレシピを譲られる。また父・ゴッソからの伝言を運んできたヨーゼフに、オーク虫を使うリンドウラ・エリクシルの仕上げの技術を利用して魔力栓塞を完治させたのである。



 ユリアは海辺の街・レバンツに向かう。レバンツは「前の人生」でユリアが暮らした森の家の近くにあり、ダンの父・グフタが経営する薬問屋のある街だ。

 ダンの妹・グレテルもヨーゼフと同じく魔力栓塞の病にており、余命わずかだ。しかし薬組合に登録していない「はぐれ薬師」であるユリアの治療をグレテルは拒否。ユリアは治療を受けさせるために、薬組合に登録することを決意する。

 そのために必要なのは、医師の推薦状と薬問屋の選任契約である。それらは医師であるガウスの兄のアントンの協力によって医師の推薦状を得て、グフタからも選任契約を結ぶことで薬組合登録の資格を得る。

 しかし薬組合の事務局では、詐欺師と同異義語である「はぐれ薬師」をあからさまに侮辱し、医師の推薦状と専任契約では登録条件としては不十分であり、誰も作ったことのないような薬を持ってこいと言われる。ユリアは魔力栓塞の薬を作ることを宣言。しかしグフタの薬問屋は何者かの手で荒らされて、鴆の羽以外の素材も調合場所も失う。

 ユリアは森の家で調合することを決意。仲間と森に入るが、ユリアははぐれ、ただ一人森の家に到着する。そこへ現れたのは、ヨーゼフの昔なじみの薬師ルモンドだ。ルモンドがルイスだと思い込んだが、ある違和感からルモンドがルイスではないことに気付く。そこへユリアを守るように現れたのは、「前の人生」で森の家で一緒に暮らした魔獣のルーだ。そしてルーの体を使って、ルイスが顕現する。

 ルモンドの形をした魔物を裏で操っていたニコを追い払い、森の家でルイスの事情を聞くことになるユリア。薬師ではなく錬金術師であるルイスは、本物の「神の御使い」だというのだ。幼い頃のユリアと出会っていたルイスは、魔獣のルーにユリアの成長を見守らせていたそうだ。そしてルイスにはユリアが人生をやり直したのを知っている。ニコを含む三人の御使いは、やり直しの事で全員ユリアに注目しているのだと知らされる。

 次の朝、目を覚ましたユリアはルーと従魔契約を結び、魔道具を使用するための『にんしょうきー』を得て調合室を使し、魔力栓塞の治療薬を作る。


 森を出たユリアは、魔力栓塞の薬を持って再び薬組合で登録を願い出る。しかし薬とレシピを奪われそうになり、戦いとなった。そこへ現れたのがルモンドだ。ルモンドは薬組合長という立場で、レバンツの薬組合の不正の証拠を探していた。ユリアの薬とレシピを取り上げようとしたのを証拠に、不正をしていた犯人を捕らえ、ユリアは薬組合に登録できることとなった。そしてダンの妹のグレテルは、無事に魔力栓塞を完治させる。


 全てのことが片付き、オルシーニに戻ることが決まる。その直前の街の夏祭りの日、宿でユリアが一人になったところに客が訪れる。

 国王暗殺未遂容疑でユリアを逮捕するために。


 そして新しい章が始まる……。


お久しぶりでございます。一カ月半ほど休載しておりました。

ですので遅いですが、明けましておめでとうとざいます。

本年も、ご愛読をよろしくお願いいたします。


お休みの間、何をしていたかというと、

なろう以外での公募用の小説を書いていました。

落選したらなろうで公表しますね(^^;


では新章突入。よろしくお願いいたします。



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