グッバイ・マイファーザー
締め切りギリギリとなってしまいましたが、【下ネタ短編企画】用の短編を書きました。
なお本作は、暴走下ネタ師匠の某木野先生の短編に触発されて書き上げた短編となっています……あと約1200文字なので滅茶苦茶短いです(汗)
恥垢だけしかない生涯を終えてしまった。
俺は生まれてこの方、ついに自身の自己存在意義を満たす機会に恵まれることなく、その生涯を終えてしまったのである。
俺がこんなまるで駄目な不甲斐ないまま、何も為すことなく唐突な最期を遂げてしまったのは、全てはアイツのせいなのだ。アイツのせいで俺は、俺は……!
アイツとは――それはつまり俺の父親のことだ。
俺の父はとっくに四十路を超えたというのに、それはもう絵に描いたようなうだつが上がらない男だった。しかも定職にも着かず一人部屋に篭っては遊び呆けるばかりであり、それどころか毎日のように俺を虐めまくり、時には俺への虐めがし過ぎて流血沙汰になってしまうことさえあった。そう父を一言で言い表すと人間のクズだったのである。
そしてそんな父の息子として生まれて来てしまった俺もまた同様のクズだった。いやそれどころか悔しいがカスのような存在だったのだと認めざるを得まい……望んでもいない父の息子として生まれてしまったが、オトコとして生まれた俺には、生涯に一度だけでも絶対に成し遂げなければいけない冒険があったと言うのに、父が不甲斐ないばかりに、ついにその目的を果たせなかったのだから俺なんかカスにひとしいのだ……
あのなだらかな丘の間で、あの山や渓谷で、あの小槍の上で、あの大草原で、あの不毛の大地で、そしてあの未踏の隘路の最奥で――力果ててしまえることが出来ればどんなによかったことか……だが結局俺は一度たりとも冒険することなく、最後まで己自身の真価を発揮しないままその使命を打ち切られてしまい……俺はある日突然消えてしまったのだ。
いやそれは正確ではないな。父の方が俺だけを置いて、どこかへと旅立ってしまったと言うべきかも知れない。これは息子としての勘なのだが父は死んでない。おそらくこの世界ではないどこか別の世界へ行ってしまったのではないかと思う……
一方的にとり残されちまった俺は――果たしてこれを死んだと言ってしまっていいのだろうか? 生きていないのは確かだが、ま、どっちでもいいか……
父よ。いつかアンタが死んだら、あの世でまた会おうぜ。とは言えもし仮に俺にも来世があるとしたら、二度とアンタの息子にはなりたくはないがな。願わくばその時には今度こそ立派に冒険のデキる男の息子として生まれたいものだ。
あばよ相棒!
せいぜい穴娘と宜しくヤってくれればいいさ。
クソッタレな相棒の第二の人性に幸多からんことを!
『グッバイ・マイファーザー
――副題・或いはとあるジャンルにおけるプロローグ的なナニか』
【END】
と言う訳で、最初からバレバレだった出オチ的な内容となっています(汗)
あと即興で一気に書き上げたせいで、推敲不足でイマイチな出来となってしまい申し訳ありません。
【下ネタ短編企画】第二弾があれば、これよりもっといいものを書きたいなぁ……