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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

復讐に動いた少年の物語の終わり

作者: 黒音狐

つまらないものです(断言

ですが、「別世界の私」を知っている方には興味深いかもしれません。

昔々ある世界の北の地に、一つの大きな村がありました。


その村は不思議な力によって外の世界からは認識されることはありません。

そして村人達は皆一様に、ある怪物達を倒すための、怪物と同じ「恐ろしい力」を持っていました。といっても一人一人は怪物よりも弱い力しかありませんでしたが、それでも協力し合えば怪物と互角以上に戦うことが出来たのです。


怪物は様々な種族がいて、

「炎纏うモノ」「魔に誘うモノ」、はては「食を偏らせるモノ」までいました。怪物は人に害なす事で生き、「恐ろしい力」で人を怪物へと変貌させてしまうことで数を増やしてしまいます。

村はその中で「心喰らうモノ」を倒す事が生業でした。

「恐ろしい力」と怪物という敵を持つ村ですが、殺伐とすることも傲慢になることもなく、村人は普段はごく普通に平和な日常を送っていました。


そんな村に住む一人の少年がいました。

彼は少々変わり者として知られていましたが、別に悪い子というわけでも無く頭も良かったので子供のうちの一人として可愛がられて来ました。

頭が良かった彼は自分が変わっていることも、村の外ではそういう存在がどう思われるかも知ってました。

それゆえに愛情を注いでくれる村人や家族をそれはそれは大事にしていました。


・・・ですが、平和で穏やかな日常はいかなる場合でもいつまでも続く事は無く、突如として壊れてしまうのでした。



ある日、村は怪物の「血を吸うモノ」の集団に襲われます。


協力し合えば一体一体の怪物を倒すことが出来ても、集団で襲い来る怪物達には村は為す術もありません。村人は次々と血を吸われ、殺され、または同じ「血を吸うモノ」にされてしまいました。


「あなた達だけでもお逃げなさい」

少年の母親は言いました。

「ここは私たちが食い止めるから、その間にどこか遠くへ」

少年の父親が言いました。

そして少年の両親は共に怪物達と戦いに行ってしまいます。


後に残されたのは少年と、少年の姉と妹だけでした。

少年は彼女達だけは守ると決めました。

「さぁ逃げようか」

「どこへ逃げるの?」

どこへ逃げても、おそらくすぐに怪物に見つかり追いつかれてしまうでしょう。

それでも少年は言いました

「怪物に襲われない何処かへ」

そして他の逃げる村人達と一緒に当てもなく何処かへと走り逃げて行きます。

当然、怪物達は後ろから追いすがり、そして村人達を殺し、あるいは怪物へと変貌させていきます。


やがて村人達とはぐれた少年達はとある場所へと行きつきました。

必死で逃げ続け、少年とその家族の3人が疲れ果て動けなくなったそこにあったのは、いつの日か捨てられ忘れさられ錆び付いた古城でした。


そして同時に怪物達も少年達に追いつきます。

殺そうと怪物が振るった力は、妹を傷付けました。

それを見た少年は怒り狂い、村に伝わる【禁術】を使いました。

それは、「自らの大部分を怪物と化す事で強大な力を得る」というものでした。

奇しくも少年が怪物となった時、その力は過去に【禁術】を使った村の誰よりも絶大で凶悪な力を手に入れてしまいました。皮肉な事に、少年は怪物としての素質が凄まじく高かったのです。


怪物と化した少年は怪物達を次々と虐殺していきました。

ほとんどの怪物を虐殺し、僅かに残ったモノは何処かへと逃げていきました。

ですが、少年の精神は既に怪物としての本性に飲み込まれつつありました。


「このままでは弟が怪物と成り果てて妹が殺されてしまう」


そう危惧した少年の姉は、虐殺された怪物の力を集め、その身を犠牲にして少年が怪物へと成り果てるのを防ぐとともに、妹と少年を「とてもとても長い時が流れるまで」と古城へ封じ込めました。

誰も、中へは入れないようにして。



やがて長い年月が流れ、封印が弱まった事で目を覚ました少年は何があったかを理解すると、嘆きに嘆きました。


「なんということだ」


少年は嘆き続け、精神を狂わせていきました。



少年はやがて嘆くのをやめ、残る未だ眠り続ける唯一の妹を絶対に守る事を決意しました。

そして、元凶である「血を吸うモノ」を必ず殺すことも。



城の外へ出た少年は、しばらくして元凶の怪物が他の多くの怪物達と共にとある島国へと渡った事を知りました。


さっそく少年は自らもその島国へと渡りました。そしてそこで見つけた、各々の事情で同じように「恐ろしい力」を持つ人間達の集まる組織へ協力し、仇を探しました。

けれどどれほど探しても見つかりません。

やがて、目覚めた妹が組織に保護された事をきっかけに彼もまた組織に入ることにしました。

もっとも、守りきれなかった少年には妹とは顔を合わせる事ができませんでした。


組織に入りしばらくして、少年は数人の友を得ます。

そして、紅く美しい少女と出会った事が、復讐のみだった少年の運命を変えました。


いつしか大事なモノを増やす事を恐れていた少年は初めこそ自らの思いから逃げました。けれど少女のほうが歩み寄り、やがて告白をされた時。

少年は今度こそ、大事なモノを守る事を誓いました。


そんな時でした。

少年の仇が、襲いかかってきたのは。

実は仇の怪物もまた、少年を探していたのです。

たった一人だけで手駒のほとんどを失わせ痛手を負わせた少年は、仇の怪物にとってもまた看過できる存在ではなかったのです。


怪物はとても強く、長い間封じ込められた事で弱体化していた少年では歯が立ちません。

以前の少年ならば、再び【禁術】を使い相打つことも辞さなかったでしょう。

ですが今の少年は、なんとしてでも生き残る強い意志がありました。ひとえに、大事なモノを傷付けさせないために。

そしてそのためにも、生き残るためにまた同じく手段を選びません。


さて、少年は以前より変わり者でしたが、ここに来てついにその本質を現にしました。

今まで持っていた人としての良心を捨て、ただひたすらに悪心の塊となったのです。


怪物もまた悪ではありましたが、少年のそれは比べものにすらならないほどでした。卑怯鬼畜で外道ないかなる手段すらも使う少年に追い詰めていたはずの怪物は次第に追い詰められ、やがて逃げざるをえなくなりました。



逃げられはしたものの、怪物に打ち勝った少年は、怪物をおうこと追うこともなく踵を返しました。

怪物は許せませんが、今の少年は万が一死ぬわけにもいきません。


そうして少年は、友と少女達が待つ自らが定めた「居場所」へと向かいました・・・






これから先もまだ、少年の戦いは続きます。

ですが、語るはここまでとしておきましょう。

これより先は、彼の物語ではなく、

彼らの物語となりますがゆえに。

まだまだ彼(私)の人生は続きます。

ですが、物語になるかどうかは運次第です。

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