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隣の君と私の0と1  作者: Eさん
2章
6/9

悲劇も不幸も必然的 (01)

「何ニヤニヤしてんのよ、明杜。」


「...え?!私に、ニヤニヤしてる!?」


「してるわよ。好きな人を思い浮かべてるような顔。何?好きな人でも出来た?」


「出来てない。別に好きな人なんていないよ。」


朝学校に早くついてしまい席で突っ伏している私に奈緒が話しかけてくる。

なぜか私はニヤニヤしていたらしい。

自分じゃ無自覚でまあ、今すごい脳内であの人の顔が浮かんでる。

そう、渋野さんだ。

あの人の料理がすごく美味しくてまた食べたいななんて思っている私。

そんな都合のいいことある訳がない。

昨日結局ごはん作って食べてそのまま帰ってしまったんだよな。

って別に私は変な事を期待している訳じゃない!!


「ねえ、明杜。」


「ん?」


「明日空いてる?」


「空いてない。」


奈緒は突然笑顔で聞いてくる。そうこの顔はまずい。

この顔をしている時は大抵変な事に私を巻き込むときだ。

私は真顔で即答する。奈緒の笑顔は黒くなってきている。


「あ・き・と。明日空いてるよね?」


奈緒の笑顔が怖い。ちょー怖い。何これ。


「あいてます...。」


こうなった奈緒は私でも止められない。てか怖い。

頷く事しかできない私。だって怖いんだもん。


「よし。明日私彼氏とデートなんだけどなんかダブルデートしたいらしくて、そんでまあうんそう言う事で。」


「え...ちょいまち。私彼氏なんていないけど?」


「そうなんだよ。だから探して?」


「はあ?!」


「うん。探してね。その明杜がニヤニヤして頭の中で浮かんでいる人でも連れてこればいいんじゃない?」


「なっ...あ、ありえない!」


「大丈夫だよ。明杜。大丈夫でしょう?」


奈緒の顔がとても怖い。怖い。怖い。

しかも私の肩に置いてる手からすっごい力が...痛い。

怖いし痛いしこれ頷くしかできないじゃないですか。

もうこれは渋野さんにお願いしよう...でも忙しくないかな?...。


「わかった。」


「うん。さすが明杜!」


だってしょうがないでしょう。奈緒って見た目によらずすごく怖いんだもん

私はため息をするがそれと同時に頭からパンッと何かに叩かれた。


「痛い。」


私は叩かれた所に手を当ててつぶやく。

そして暗い顔で後ろに振り返る。


「...何するんですか。宮瀬みやせ先生。」


「お前、資料今日提出って言ったよな?ちゃんとやってきたのか?」


「あ、出すの忘れてたあああ!!」


「たく...。」


この人は私の恩人で私が通っている大学の先生をしている。

無理矢理私に変な課題を突きつけてきたりしてくる迷惑先生でもある。

私は宮瀬先生に言われて慌ててカバンの中から資料を出す。


「申し訳ありませんでした。手を煩わせました。」


「本当にな。まあお疲れ。あ、後これお前手紙来てたぞ。」


「え?...私にですか?」


「そう。確かに渡したからな。」


「はい。」


先生に資料を渡したと同時に私宛の一通の手紙を渡された。

私に手紙を送ってくる人が全然思い浮かばない。

手紙を裏面を見る。


「え.....。」


「明杜?」


「あ...ごめん。私今日もう帰る。なんか合ったら連絡して。」


「あ...うん。わかった。バイバイ」


「うん。ごめんね。」


私は慌てて手紙をカバンに入れた。

上着を着てマフラーを首に巻いてカバンを持って奈緒に手を振って大学を出た。

私はただひらすら走った。

それと同時になぜか、目から何かが溢れ出てきていた。

エレベーターを降りてのろのろ歩いて家に向かう。

私の涙は止まらなかった。


「...なんで今になって来るの...ねえ。なんで。」


私はそのまま座り込んでしまう。

そんなときガチャと言う音がした。


「...羽和?」


「...し、渋野さん...?...。」


目の前にいたのは渋野さんだった。


あの手紙の相手は私の唯一の家族の姉からだったんだ――。

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