出会いは突然に (04)
今何時だろう?...ん?あれ?時計時計...。
「...え、8時?...うわ、寝すぎた。」
私は真っ暗な自分の寝室のベッドの隣においている小さなテーブルに置いてある目覚まし時計を半開きの目で見る。
そして時刻は普通に夜。
私が寝たのは渋野さんと約束を交わしてすぐだった。
あまりにも眠たすぎて私は玄関の鍵を閉めてそのままベッドに向かってそのまま寝て今に至る。
「それにしても...家真っ暗。」
私は寝起きのせいか立ったらすごいフラフラしてしまった。
それに家が真っ暗のせいか、何も見えない。
ゴンッ!という音と共に私の足にすごい激痛が走る。
「...痛ッ!!!!!!!」
私は激痛が走る所を手で抑える。
そのまま座り込む。痛すぎて涙目になる私。
痛すぎて声にもならないほどだった。
それと同時にピーンポーンという音が真っ暗な家に鳴り響いた。
「...ぅう...もう誰?....。」
私は涙目になり足が痛いが頑張って玄関の鍵を開けた。
そして扉を私が開けようとするがその前に誰かに開けられた。
「...え?し、渋野さん?」
私はポカンとした顔で私の前に立っている渋野さんを見つめた。
渋野さんも私と一緒でポカンとした顔で私を見つめていた。
「部屋暗くしてどうかしたのか?それに何?泣いてたの?」
「え?..あ...いや、泣いてないですよ。ちょっと足を打ってしまって...。」
渋野さんは私の涙目を見てポカンとしていたのか。
それを察した私は慌てて弁解をする。
弁解すると渋野さんはククッと声を抑えて笑った。
そんな渋野さんに笑われた私の顔は今超絶熱い。
今の私の顔は多分自分でもわかるほど赤いだろう。恥ずかしい。
「あ、そ、それで渋野さん、何か用だったんですか?」
「お前な、晩飯作るって約束したろ?」
「......あ。」
「忘れてたな。」
私があからさまに忘れてたみたいな顔していると渋野さんがおでこにデコピンをしてくる。
意外と痛い。私がおでこに手を当てる。
「上がるぞ?いいか?」
「あ...どうぞ。」
渋野さんは私を見てちょい遠慮気味で家にあがる。
私は部屋が真っ暗だから電気を付ける。
「案外片付いてるんだな。」
「日頃から、家にはあんまりいないんで。」
「そうなのか?んじゃ、台所借りるぞ?」
「はい。」
渋野さんは意外みたいな顔をして私の方を見た。
そして手に持っていた材料を持って台所に行った。
私は机に置いてあるリモコンを手に取ってテレビを付ける。
テレビをつけても面白い番組はやっていない。
チャンネルをコロコロ変えてると同時に台所からトントンという何かを切る音が聞こえる。
渋野さんって男性なのに料理が手馴れてる。
「羽和。嫌いな物とかあるか?」
「いえ、特にないですよ。バリバリなんでも食べれますよ。」
「そうか。それならよかった。」
渋野さんは優しそうに微笑んだ。
私はまたもドキっとしてしまった。
そんな私に見向きもしないで、渋野さんは料理を黙々と続ける。
料理を黙々としている渋野さんを私はじっと見る。
やっぱりイケメンだな。絶対彼女いそう。てか私より年上だよね?
絶対こんなイケメンを女子はおいておかないだろう...。
「ん?どうかしたか?」
「あ、い、いや、別に!な、なんでもないですよ!」
渋野さんは視線を感じたのか私の方を見て聞いてくるが、私は別に用もないし、まあ他人の顔をまじまじ見る私が悪いんだけど。
それにしても部屋には二人しかも沈黙。
部屋にはテレビ番組の音量が鳴り響く。
無言でなぜか変な緊張をする私は台所からいい匂いが漂ってくる。
そんな匂いと同時に私は早く料理が食べたいなという空腹に覆われていた。