出会いは突然に (03)
ジリリリッと目覚ましがなる。
そしてまたいつもどうり私はのんきに満喫な朝を過ごしていた。
しかも今日は休日。なのに目覚ましをセットしたのはいつもの癖だろう。
「ふわあ...眠い。二度寝したい。」
私は机の上に朝食のパンとコーヒーと目玉焼きを置いて椅子に座る。
机の端っこに置いてあるリモコンを手に取り、テレビを付ける。
普段はそんなにテレビは見ない。
休日はそんなに予定が入ってない。
だからいつもこんな風にのんびりしている。
いや、私の場合は毎日のんびりしているのかな?...。
「今日は何しようかな...資料は昨日で終わらせたし...寝ようかな。」
私は昨日先生から預かった資料を睡眠時間を削ってまで仕上げた。
そのせいで今日は寝不足だ。
朝、鏡で自分の顔を見たら目の下クマがすごかった。
今日は休みだし、もう朝食食べ終わったらもう一回寝よう。
「...あの先生も人使い本当に荒いな。私はそこまで優秀じゃないのにな。」
それと同時にピーンポーンッと部屋中に響き渡った。
「ん?...こんな時間に誰?てか、寒すぎる。」
私はパジャマの上に上着を着て玄関の方に向かう。
そしてドアを開けると、見覚えのある顔がそこにはあった。
昨日引っ越してきたと言っていたあの隣のイケメンさんだった。
「え?...あの...おはよう...ございます?。」
私はなぜか驚きを隠せなくて混乱してしまって挨拶をしてしまう。
お隣さんはキョトンとした顔でこっちを見ていた。
これはやってしまった感が...。
「...あの、何か困った事でもありました?」
「別に。昨日自己紹介しようとしたら君が勝手に家に入っていったから。」
「あ...す、すいません。」
私はお隣さんの言葉にハッとして慌てて謝る。
そんな私を見ていたお隣さんが優しそうな顔で笑った。
私は一瞬ドキッとしてしまった。
やばい。この人絶対この笑顔で何人も女子落としてきたよ。
私にはわかるよ。だってこの人すごいイケメンだし。いやまあ。うん。
「あ、私。羽和明杜っていいます!」
私はハッとなり慌てて自分の名前をお隣さんに名乗る。
「俺は、渋野悠陽。よろしくな。」
「はい。よろしくお願いします。渋野さん。」
渋野さんはとても優しそうに笑った。
私はそれに釣られて笑ってしまった。
「羽和。やっぱお前にお礼したいんだけど。」
「え...あの。そんなお気になさらず...。」
「てか、お前寝不足か?目の下すごいクマだぞ?」
「え!?そ、そんなにすごいですか!?」
渋野さんが私の顔を覗き込んできて言った。
え?そんなにすごいクマなのか。普段夜ふかしなんてしないからかなー。
「よし。晩飯俺が作ってやる。」
「え!?...い、いきなりですか?」
「いや、お前忙しそうだったし。まあお礼も兼ねて。」
「いやあの...渋野さんも忙しいんじゃ?...。」
「あ...今日と明日は休みで暇なんだ。別にこれくらい平気。」
渋野さんはまた優しそうに笑った。
私は申し訳ないなと思ったが「お願いします」としか言えなかった。
そんな私に渋野さんは優しい手で頭を撫でてきた。
なぜかその撫で方がとても優しくてつい心地いいと思ってしまった。
「まあ、これからよろしくな。羽和。」
「はい。よろしくお願いします。渋野さん。」
こうして私たちは仲良しのお隣さんになった。