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警告と呟き

「あのォ……シルク様……大丈夫ですかね……?」


さきほどシルクに盗賊の華の事を説明してシルクを沈黙させた村民が不安そうに声をかすれさせながら俺に尋ねる


本当にさっきのシルクの焦りと震えは一興だったぜ


俺はしばらく自分の世界に入り込みククっと下品な笑いを浮かべてから答えた


「うーん、大丈夫なんじゃないか?ま、シルクとあの銀の笛はもうしばらくお付き合いするだろうな」


俺は心の中で爆笑した、あのシルクだぜ?俺とレイなんかじゃ相手にならない、位の知識持ち合わせたシルクが盗賊の華を知らなかったなんてなぁ・・


ぐへへへ、おっと下品すぎるな


「そ、そうでしょうか?シルク様がお休みになられている部屋からため息が聞こえてまいります・・・」

「え?」


俺とレイはシルクが寝ている(多分)部屋に耳をあて息を潜めた


「×××……×××××!………」


お、確かに何か聞こえてくるな、何やら「はぁ…20万……20万……はぁ……」と言っている様だ

俺には聞こえているがレイには何も聞こえないらしい、レイは諦めたのか「ちっ…後で…教えてくれ」と俺に伝えてからミュスタを飲みに行った、まだレイは飲んでなかったな。


俺はレイが視界から消えるともう一度壁に耳を擦り付けた。

すると、村民が俺を指差して走ってくるのが見えた、それほど急いでいない。

俺から村民に駆け寄る、急ぎの用事なら大変だ。


「風呂のご準備が整いました。今、入浴になられますか?」


あ、それほど重要じゃなかった

それにしても、風呂か…何か服も汚れてるし、盗賊の血も付いてるし、いい心地はしない

いや、てかもう臭いわ、臭いという域に達しているわ


「ああ、頼む」


俺は上着を脱ぎ村民に渡した、村民がそれを木製の(カゴ)に入れてから俺を風呂場へ案内した、度々、他の村民と出会(でくわ)した


「しかし驚きました、盗賊を颯爽と切り捨てていく三人を見まして…」

「ああ、あの時居たのか」


シルク戦ってないけどな、でも俺たちはこの村を救った、この村の英雄であることに間違いはない。


「あ、着きました、ここが…」

「ああ、すまんな」


着きましたって言う程歩いてない気がする


しかし、ここは触れることなくスルー



「では御召し物はこの(カゴ)に」

「ああ」


村民は一礼するとまた歩き出した。


俺は服を脱ぎ、ファルシオンを籠に立て掛けた、盗まれることは無いだろう。



湯が変な色してるとかは無しで頼む。


扉を開けてまず俺は湯を見た、あ、普通の色だ、安心安心。


本当の事を言えば少しだけ、混浴の風呂場でうっかり女性村民と鉢合わせみたいなイベントがあるかと思ったがそんなの無かった。普通に男湯だったし


「おっ、熱っ!」


俺は湯に足を入れて仰天した。

何より熱い、何とかして耐えきれると思いもう一度湯に足を入れてゆっくり浸かる。


少しして風呂の格子からバンダナが落ちているのが見えた

盗賊の華の紋章が刻印されている。

あれ拾ったらやばいな。


出たらシルクに警告してやろう、と思い立ち、早速体を洗い流した、樽みたいな物に石が大量に詰め込んであったりと少し驚きな体験もしてから風呂場をあとにした。


ガラ。


玄関先の扉が開いてレイのブロンズソードがちらっと伺えた。


「おお、そこでパンコーンと戦ってきたぜ」


パンコーンってのは長い角が生えた豚みたいな魔物だ、全体的にレベルは高くないが相当倒したのかレイのレベルがひとつ上がっていた。


「へぇ、良かったじゃん。」

「おう!」


その時レイが右手に握っている「物」を見て俺は顔色を変えた。さっき見たバンダナだ。


「………?……」


レイは俺の顔を見て意味が分からず首を横に振っている。


レイ 男

装備 ブロンズソード 魔豚の角 盗賊のバンダナ


「馬鹿野郎…………」


俺はそう呟いて部屋を出ていった。


一室通りすぎて用意された自分の部屋に向かった、その途中に村長が俺の存在に気付き近寄って来た


「あ、ニコ様、そろそろ寝床におつきを…」

「ああ、わかった。」

「では」


村長は村長で自分の部屋にそして俺は村長の部屋よりも大きい部屋へそれぞれ扉を開けて入っていった。


「明日…出るのか…」


俺は一人だけになった部屋で呟いた


この感じだとまだ眠らず起きているのは俺とレイだけだろう。


「まぁ、魔物にも慣れたし、大丈夫だろ」


俺は不安を掻き立てない様に目を閉じた、その日、俺はぐっすりと眠った。



__________________________________



「おい、起きるんだ、ニコ」

「ん……あ………レぃ……」


俺はレイに顔を叩かれ起き上がった、シルクはすでに起きてミュスタを飲んでいた。


「寝覚めはどうだい?ランタン君」


シルクがどこで貰ったのかここら周辺の地図を広げている。


「ああ、まぁまぁかな」


実のところ寝覚めは最悪である、起こされた時に30cm位と近い距離でレイの顔面がいきなり視界に飛び込んできたんだからな、悲鳴を上げなかっただけ立派だろ。



「さぁ、そろそろこの村に別れを告げておけニコ。」


ブロンズソードと昨日拾ってしまったバンダナを袋に入れたレイが玄関から外に出ていった、シルクもレイが出ていくのと同時に席を立ってミュスタを入れていた容器を袋にしまっている。


「よし行くか…」



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