第四十四話:冬治と孝乃先輩
第四十四話
孝乃先輩と出会ってすぐに人の物を盗むなんてとんでもない人だと思った。
孝乃先輩と一緒に亜美先輩から逃げて変な青春を感じた。
孝乃先輩が時雨先輩に事実上振られて俺は慰めたかった。
孝乃先輩と一緒にデートして、楽しかった。
孝乃先輩に一服盛られて俺は……。
――――――
俺は一人の女子生徒を呼び出していた。
「校舎裏に呼び出して私をかつあげする気?」
「いや、そうじゃないぜ」
南山葵、風紀委員長で俺が好きだった女の子だ。
「単刀直入に言う。俺、南山さんの事が好きだ。付き合ってくれ」
頭を下げて右手を前に……ということはせずに、真正面から相手を見たつもりだ。でも、目を合わせることはできなかった。
「ごめん、無理」
そして、告白五秒後には撃沈していた。ただ、悔しさとか悲しさなんて全然わかなかった。何処かほっとした気持ちさえあった。
「私は誰かを忘れるために四ヵ所君の相手なんかしたくない」
「そっか、ごめん」
「わかればいいよ……本当はね、この前の校舎裏のやり取りとか色々と見てたから。だから、四ヵ所君は……冬治君は自分の気持ちに素直になったほうがいい」
「う、うん、そうだな」
「……北村先輩、屋上に居たよ」
その言葉を聞いて俺は回れ右をしていた。
「悪い、無駄な時間を過ごさせちまって。あと、ありがとう」
「ううん、気にしないで」
走り始めた俺の後ろから声が追いかけてくる。
「もしも告白して駄目だったら、魔女でも探して惚れ薬でも探しなよっ」
聞こえないふりをして俺は走り去るしかなかった。
「……受けちゃえばよかったかな……なんて、あんな仲良しの間には入り込めないや」
屋上の扉を乱暴に開けると双眼鏡を手にした孝乃先輩が唖然とした表情で俺を見ていた。
「デバガメしてましたねっ」
「で、デガバメ? 何それ」
「覗きですよ、覗きっ。俺が告白してたの見てたでしょっ」
「見てないわよっ。見そこなったわよっ」
反論されて俺はあっさりと黙りこんだ。
「でも、その様子から言うといい返事もらったみたいね」
元気がなくなった先輩に言われ、俺は口元を確認する。
なるほど、にやけているではないか。
「はい、まぁそんなところです……孝乃先輩、話があります」
「はいはい、何かしら。まったく、半年以内に二人の男からつっけんどんにされるなんて自信が無くなるわ」
「俺と付き合って下さいっ」
土下座してみた。
「え?」
「ほんの数分前までは他の女子生徒に告白しているような人間ですが、あなたのことが好きです。だから俺と、付き合って下さいっ」
頭を下げて右手を差し出せば……イエスなら手を握りしめてもらえるだろう。土下座の場合はどうなるんだろうか。
土下座をして数秒後、俺の頭に何かが落ちてきた。
「え?」
「……あんた、馬鹿ね」
顔をあげた先にあったのは孝乃先輩の泣いている顔だった。
「嫌いになりなさいって言ったでしょ」
「ダメでした。惚れ薬に手を出すぐらいなら……」
嫌いになる薬でも飲ませればよかったじゃないですか、そう言おうとして辞める。
「……会った時に好きだって言ってくれればよかったんですよ」
「あの頃は別に何ともなかったんだからしょうがないでしょっ」
泣いている孝乃先輩を抱きしめて耳元で囁く。
「キスして、いいですか」
「……好きなだけしなさいよ」
秋の終わりに吹くような風が吹いても、孝乃先輩を抱きしめている為か、それとも恥ずかしさのためかは分からないが寒くもなんともなかった。
このあとがきは作者の肛門括約筋が限界を迎えるまで書き続けられます。打ちこめるだけの文章をうって、この作品を振り返りたいと思います。まずはじめに、最後まで読んでくれてありがとうございました。一人か二人ぐらいハードランディングしちゃった感がありますがそこは気にしないでください。気になるシリーズは今回でおわりかなぁ……。せめて葵ちゃんが幸せになってくれればよかった。当て逃げはないだろうと作者も思いますけどね、脳内で勝手にそうなって……というより、女子更衣室の話があった時にこんな感じになってたんですよね。べたか。さて、次にこっちんですがこっちこそバットエンドにしようと思っていたのに天邪鬼根性が発動し比較的いい終わり方をさせてしまいましたね。西牟田紗生もなんだか微妙な感じで終わってしまった……。気合入れて考えようとしたわりには中途半端なストーカーになり、色々と?な感じに。最終的に冬治が刺されたのでよしとしましょうか。最後に北村孝乃。こっちんよりいい感じに追われたかな。こっちでも葵が……いろいろとね。後半実は当時の下駄箱にラブレターが入っているはずだったのですが孝乃に屋上へつれていかれてそのうちに抜き取られているっていうね……設定があったんですよ。実際にやったかどうかは想像にお任せします。総括です、こっちんと孝乃がいい感じに終わったのでよしとします。不平不満は受け付けます。感想を下さった方、びくびくしながら読ませていただいております。そろそろ気になるシリーズのまとめを書こうかな。




