第十八話:こっちんと夏休みに向けて
第十八話
みやっちゃんからの連絡が一切ない中、夏休みが近づきつつあった。
「うおおおおおっ」
「え、ちょ、何そのやる気っ」
放課後、家に帰るために熱されたアスファルト歩いていると後ろから佳苗が追いかけてきたのだ。
追われていると思った俺は慌ててだるそうに動かしていた両足を全速力で動かし始める。
そのまま二人で俺の家まで走って帰ったのだ。
「はぁ……はぁ」
最後の最後、彼女に追いつかれたと思って力を抜いたらそのまま追い抜かれる。
「あ、れ?」
合いかぎを取り出してそのまま中に入りこんだ。首をかしげつつ、玄関の扉を開けると佳苗が笑っていた。
「おかえり、冬治」
「……もしかしてこれがやりたかったから走ってたの?」
「うん、まぁ、そんなところかな。最近あたしより冬治君の方が家に帰るの早いからね」
「そりゃあ、帰宅部だから」
「陸上部に来ればいいのにさ」
そうなったらいよいよ一人でいる時間が少なくなる。たとえ相思相愛だったとしても自分の時間は作るべきだ。
これから二人でいちゃつくわけにはいかないので……
「じゃ、服を脱いでくるね」
「ああ、ちゃんと着てくるんだぞ」
この前なんて裸エプロンなんてやろうとしたからな。本当、既成事実でっち上げられそうで……これはかなりまずい状況だ。
「夏休みが恐ろしいよ」
「そうそう、その夏休みについての話をしたいんだよ」
シャツ一枚にホットパンツという何ともラフな格好で出てくる。何というか、あとは何かしらのネタにしかならない服とかだし。
チャイナ、ナース、CA、ブレザー、メイド、ウェイトレス、サンタ……といった具合だ。
「冬治君?」
「あ、ああ。悪い、ちょっとぼーっとしてた」
「着せかえて遊んでたんじゃないの?」
「うぐ……いや、その、なんだ。それで夏休みについての話って何だ」
「そうそう、それだよ」
話を変えたいときはあっさり乗ってくれるから嬉しいけどな。
「家事分担をしておこうかと思ってね」
「家事分担?」
「うん、ほら殆ど冬治君がやってるでしょ?」
「そらまぁ、俺の家だし」
他人が自分の家のお世話をしてくれるなんてそりゃお手伝いさんだ。
「だからあたしも家事を受け持とうと思った次第だよ。家事は苦手だけど、頑張る」
「そうか、そりゃいい傾向……」
なのだろうか。
「花嫁修業だよっ」
「……そ、そうか」
夏休みの家事分担は洗濯、料理が佳苗になって俺が掃除だけとなってしまった。
「なぁ、殆ど家事しなくていいんだけど大丈夫か」
「大丈夫だよっ。これも花嫁修業の一つだし、その分夏休みの宿題頑張ってもらうからさ」
「なるほどな」
「……夜の夏休みの宿題も一緒にやっちゃう?」
「さーて、掃除でもしてくるかな」
リビングから去ろうとしてそう言えばと俺は足を止める。
「なぁ、一ついいか?」
「うん? スリーサイズ?」
「違う」
これはみやっちゃんから惚れ薬を解く為の材料になると言われていた事だ。たとえば身体の一部が好きというのならその人の体液が必要になったり、性格だったらボイスレコーダーなりで声を録音して使うらしい。これらがどのように作られるかは一般人が知る所じゃないけどさ。
「俺の事、どこが好きなんだよ」
「全部」
「……」
全部の場合はどうなるのだろうか。
「でも、実際に付き合ってみてありのままの自分で居られる事が嬉しいね」
「そ、そうか」
「うん、あとはもうちょーっと積極的に成ってくれたら嬉しいかな」
「善処するよ」
と、ついつい言ってしまい佳苗を喜ばせてしまった。
どうも作者の雨月です。最近投稿した200字の短編がこっちより評価高くて悲しいです。日記的な物を描く場所じゃありませんね、それじゃあいつものようにだらだらと設定についての話でもしますか。四ヵ所冬治は惚れ薬を使うような人物ですが、後のほうではだいぶ考えが変わったりしています。失敗から学んだと言ったところでしょうか? もうちょっとダーティーな性格にしたかったんですよ。毒にも薬にもならないような平凡な人物になってしまったのは実に残念だったりしますがね。お風呂の時はあひるちゃんで遊んだりする設定は気になる一作目から引っ張っていたりしますが全然使っていないことに最近気付きました。またあひるちゃんに登場でもしてもらいますかねぇ。




