第十五話:本入道と幻滅させる方法
第十五話
西牟田紗生を幻滅させる作戦を何と無く頭の中で考えながら中間テストを受ける。できれば中間テストなんてほっぽり出してどうにかしたい。
「……ま、ざっとこんなもんかな」
中の上は確定だ。勉強なんてしている場合ではないし、下手したら俺の未来の奥さんが決まってしまう恐れがある。進路も大切だけれど、伴侶が決まることも大切だ。しかも、その相手は俺を愛しているのではなくて鏡に写った俺を愛しているのだ。
いよいよ明日に迫る幻滅作戦に俺は七色と友人を呼んでいた。
「冬治君がぼくたち二人を呼び出すなんて珍しいね」
「そうだよなぁ。一体どうしちまったんだ」
「中間テスト終わったから打ち上げみたいなもんだ。ついでに、友人に聞きたい事があったんだよ」
「おれにききたいこと?」
首をかしげやや警戒し始めたので天使の微笑みをする。
「なーに、そこまで気張るようなもんじゃないさ。ずばり、女の子にどうやったら嫌われるか、だよ」
「……好かれるの間違いじゃないのか?」
「嫌われる方法だよ」
こいつは大丈夫かと七色の方へアイコンタクトをしたのでチョップしておいた。七色はどうやら俺の意図を理解したらしい。
「うーん、ぼくはやっぱり助平な人はダメだなぁ。女の子の前でそういった話をしたら近づきたくなくなる」
「こんな感じで友人も何か女子に嫌われる事を言ってくれればいい」
「そういわれてもなぁ。あれか、おっぱい揉みてぇとかそのきょぬーもませて、吸わせて、挟ませて……とかか。これは引くだろ?」
なるほど、確かにこんな事を言われたら大人しそうな紗生も確実に俺の事を嫌いになるだろう。
そこで俺は気がついた。
「あー、その、あれだ。お前の言葉は確かに嫌われるだろうけど、問題がある」
「どこに? 揉ませてくれる奴が相手の場合か」
「……貧乳に嫌われたいんだ」
揉めない、吸えるとはおもうけど、挟めない。何を挟んだりするのかは秘密だ。
「そうか、じゃあ逆につるぺたですねって言ってやればいいんじゃね」
「おお、その手があったか」
早速生徒手帳に罵詈雑言の数々を書き連ねる。
「……んー、胸の事ばっかり言ってもあれだから自分がやばいやつだって思わせるのも一つの手だろう?」
「たとえば?」
七色が首をかしげると得意そうに友人が続ける。
「コートの下に女性用下着とか、すっぽんぽんで登場とか逆に靴下だけつけて登場とか色々とあるだろ」
「お前天才。変態のオリンピックがあったら多分金メダル」
「そう褒めるなよー」
「褒めてないけどね」
アホをやりながら着々と完成していく俺の計画……よし、これなら惚れ薬にも勝てるはずだ。
「あのさ」
「ん?」
「水を差すようで悪いけどね。ぼく、これはまずいと思うんだ」
「まずいって何がだ。友人の事は的確だろ」
「これなら確実に嫌われるぜ?」
俺たち二人の言葉に首を振った。
「まず、捕まるから」
「それは考慮してなかったな」
「警察の介入も考えておかないといけないのか……厳しい縛りだ」
惚れ薬の効果を吹き飛ばしても俺が捕まったら意味が無い。
結局、その日に計画を決める事が出来ず俺は約束の日を迎えてしまった。一応、効果があるかどうかは不明ではあるものの、準備はしている。
「これからどこに行くんですか?」
「とりあえず俺の部屋。行ってから紗生に色々と質問したいと思う」
女子生徒を俺の家に招くなんていつぶりだろうかと考えながら家へと帰る。
「あの、何だかデートみたいですね」
「はは、単なる下校だろ」
「そうですけど学園生だったらこうやって帰りに一緒に居ますよ」
気付けば紗生の手に手鏡が握られていて俺を映し出している。鏡の中の俺に恋している少女だからか、俺に視線なんて全く向けられていない。
家に着いてから部屋まで通すと興味深そうに部屋を見渡して本棚で眼をとめた。
「……『巨乳学園入り乱れ』『貧乳くんずほぐれつ』『姉妹オムレツ』……」
「俺はこういう趣味なんだっ……紗生、幻滅したか」
「男の子ですから」
あら、この子意外とエッチな本とかに寛容じゃないの。
「男好きって言われるより当然いいです」
「……脱いでいいか? 俺、家だとパンツ一丁なんだわ」
「わたしの部屋ではありませんから自由にしてください」
そう言われては脱ぐしかあるまい。宣言通りパンツ一丁になってしまった。
「い、意外といい体しているんですね」
頬を染める紗生を見て俺の計画が破たんした事を思い知らされた。
これはもう一度計画を立てなくてはいけないようだ。




