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い
一番乗りで出社し、デスクで新聞を読む。
新聞の見出し。悩ましいニュース。日本国民にとって抜き差しならぬ問題であるはずが、俺個人にとってはどうでも良かった。
携帯の着信が鳴る。面倒臭いが、ポケットから携帯を取り出し、メールをチェックする。下らない広告メールだ。
こちらもかなりどうでも良い。どうして大衆へ向けた情報というのはこうも俺にとって価値がないのだろう?これは俺のせいなのか?俺が無気力だからいけないのか?断じてそうではない。世界が経験と物質によって成り立っているからだ。そこに精神の入り込む余地はない。しかし辺りを見回すと、世の中は実にどうでもよい事で埋め尽くされている。言ってしまえば、俺自身とてどうでもよいのだ。いや、それはさすがに自己欺瞞だ。