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ニューハーフ・マラソン

作者: 石山ウルマ
掲載日:2010/11/22

ニューハーフ(和製英語:New + Half、英:Transgender)とは、男性として生を受けた者が人為的に女性として生きたり、そうした風貌をして仕事や生活をする者の呼び名であり、現代日本における造語である。朝日新聞2010年9月16日。


村興しでも島興しでも、なんでもない。

ただ単に俺の身の周りにニューハーフが三人いた、

半ば強引に走らせることにした。

お間違いなく、これはハーフマラソンではない。

俺の周りに混血の友達はいない。


距離は3km。コースは道の高低差を知り尽くした町内および商店街。

ニューハーフ、元を正せば男だが、男らしい奴は一人もいない。

「バカよ、走るなんて貧乏人がすること」

「いやよ、走る姿そのものが下品だわ」

「私、走ったら死ぬわ」

俺にとってのこの三人は、バカだし貧乏だし、下品だし、死んでも惜しくない。


「走らなきゃ、お前達のお店にはもう二度と行かない」

「別に、ちっとも困りません」

「ならば、お前達の本名を公開する。清造に末吉に留男だったな」

俺は金融業を営んでいて、こいつ等の免許証のコピーを持っていた。

「さらに今後一切、金は貸さない」

走ることになった。


それでも最初は抵抗した。

「深夜に走りたい」

「だめ」

「早朝に走りたい」

「男に戻って走りたい」

「仮面をかぶって走りたい」

全てを許さなかった。

「ニューハーフはニューハーフで走れ、それが出来ずに女ズラをするな。自分の生き方

に誇りを持てとは言わない、有るが儘を世間に見せてやれ。ビデオを撮るから親に送れ、

泣くような親なら親を泣かせてやれ。同窓会で見せてやれ。頑張って走れ、利息を半分にマケたりしない」

三人はそれぞれが意気揚々と走った。

ゴール後に誰かが言った。

「今度は『オナベマラソン』だね」

翌週、俺も走った。



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― 新着の感想 ―
[一言] はははは、実に面白い。タイトルもいい! すっかりファンになりました。 主人公の歯切れのいい台詞に心惹かれてます。女ズラかあ、そうかもしれない。 ありがとうございました。
2010/12/28 14:44 退会済み
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