趣味
期待しない。
自分にも、他人にも。
それは、僕が一番最初に覚えた生き方だった。
自らの才能。
考えたことはある。それも、何度も。
例えば、歌とか、勉強とか、運動とか。
どれもまぁ、なんとも言えない感じだったけど。
『ごはーん。手伝ってー』
お母さんの声だ。よく声が通る。
聞きなれた声、というのもあるのかもたけど。
『分かったー』
『すごいね~、15歳で大学入学だって』
『何食ったらこんなことになるんだ』
『ね』
身近な人間に、才の溢れたやつはいない。
だからって、凄くないわけじゃないというのは、当たり前だけど。
…自分が特別でないこと。
何度思い知っただろうか。
『ごちそうさま』
『美味しかった?』
『うん。いつもありがと』
食器を洗い場にもっていって、お米がこびりつかないように、お茶碗に水を貯めておく。
『あれ、今日パパが帰ってくるの何時だっけ』
『9時過ぎって言ってたよ。確か』
『そうなの。最近大変なのかね~』
『じゃ、部屋戻るね』
『はーい』
テレビ。
どこか、遠いところを見る機械。
一番になれなくても。
自分がやりたいこと、納得できること。
それを今、探している。
…有り体に言えば、趣味なんだけど。
出来ないことをやったって、楽しくない。
でも、中途半端に出来ると、なんだか、期待をしてしまう気がする。
誰かに評価されないだろうか、とか。
趣味ってそんなものじゃないと、思う。
友達は、ゲームとか、読書とか、…料理のやつもいたっけ。
あいつ独特の雰囲気あって、なんかいいなぁ、って思う。
……あ、そうか。
趣味を、特徴か何かだと勘違いしてるんだ。
僕は。
俺が本当にしたいことは、自己を形作ること。
それがしたいんだ。僕は。
ふと、机の上を見る。
綺麗…というか、使ってない。
ノートを一冊、取り出した。
それを持って、椅子に座る。
シャーペンを取り出す。
何も考えず、何個も点を打った。
それを、直線で繋ぐ。
何も期待しない。
何も、考えない。
でも。
これは、俺が書いた。
才能も、特別もないけど。
人に説明できるわけでもないけど。
これは、俺がやった。
これが自己だと、僕は気付いた。
私が書きたいことはいつでも、尊敬なの。




