唯一の希望
掲載日:2025/11/05
今の日本は豊かで、何でもある。
だが、そこには希望だけがない。
日本の富の3分の2は引退世代に偏り、
かつてのように単純作業を努力でこなせば報われた時代は、完全に終わりを告げた。
今や、富や影響力を得るのは、才能や個性を持つ者だけ。
そんな社会で生きる人々は、どこか閉塞感を抱えている。
ネットの普及によって、他人の私生活は隠しようもなく可視化され、自分の人生は常に誰かと比べられている。
何かを始めようとすれば、そこには必ず、自分より優れた誰かの存在が立ちはだかり、
「どうせ届かない」
と思わせる材料が目に入らない日はない。
苦心してひねり出したアイデアも、ネットに聞けばすぐに
「もっと上手いやり方」
に上書きされ、思考そのものを奪われてしまう。
勇気を出して一歩踏み出しても、その行動は数値化され、冷酷な評価の対象になる。
だからこそ、人々は
「何もしなければ、失敗もない」
と、自分を守るために行動を手放していく。
無関心。
それは、この社会に適応するための“正解”のように見える。
でも、その無関心の奥には、誰にも打ち明けられない熱意や密かに抱えた期待が眠っている。
この無風の社会に風を起こす唯一の希望は、そこにある。




