14 祝・採用!
いやぁ今日の古典の授業はすごかった。
何がすごいって私の歴史上2番目ぐらいに眠たかった。
実は先週も眠気ランキングが更新されたのだけれど今日も一段と眠かった。
記録というのは塗り替えられるものなんだなぁ。
国語という括りでは現代文は得意なんだけど、古典はもはや外国語だよ。
英語と同じ。ありおりはべり、Suddenly?
長い長い眠気との戦いに無事敗れ船を漕ぐこと数回。
授業の終了を告げるチャイムが鳴った。ようやくお昼休みだ。
さてさて夏奈のところに行くかと席を立つとブレザーのポケットに入っているスマホが震えた。
うちの高校、授業中のスマホ使用は当然ダメだけれど、休み時間は自由に使ってOK。
「ん…?電話だ」
見たことない番号。一応市内の電話番号のようだけど…。
「はい、もしもし」
「あ、もしもし。わたくし雨宮書店の兼平と申します」
か、兼平さんだ!!!
「先日はアルバイト募集の面接にお越しいただきありがとうございました。豊平さんのお電話でお間違いないですか?」
「…っはい!豊平です!」
私はあわてて廊下へ出る。
「すみません、昼間にお電話してしまって…。今お昼休みですか?」
「はい!お昼休みなので大丈夫です!」
「ありがとうございます。豊平さんがお昼食べそこなっちゃうので手短に。えーと、面接の結果ぜひ採用したいのですがいかがでしょう?他のアルバイトにご応募されたりもするかなと思ったのですが…。」
他のバイトなんて考えてません!
不採用だったらカフェのほうに応募しようと思ってました!!
「い、いえっ!応募したのは店長さんだけです!…じゃない雨宮書店さんだけですっ!」
「僕への応募ありがとう。…なんてね。それでは採用として進めて問題ないですか?」
き、きた!!
採用!!!
「はい!よ、よろしくお願いします…!」
「ありがとうございます。ではこの後の手続きはメールで詳細をお送りしますのでそちらご確認いただければと思います。どうぞこれから一緒によろしくお願いしますね。」
「こちらこそ、お願いしますっ!」
…!!びっくりした。でも、やった!採用だ!
自然と顔がにやける。たかがアルバイトの採用なんて、と思う人もいるだろうけど私にとっては初めての体験なのだ。
そうこうしているうちに夏奈が私のところにやってきた。
「なに、どしたの。なんかニヤついてたけど。…男?」
「うぇっ!?違うよ…!」
た、確かに兼平さんは男の人だけど…。
「本屋さんのバイト!受かったの!!その電話。」
「おー!やったじゃん!おめでとー!…ってやっぱり男じゃん、店長さんでしょ?」
「そ、そうだけど…!ありがとう…」
「ま、普通に有希可愛いし、卒業まで働いたらワンチャンあるんじゃない?」
「チャ、チャンス!?」
わ、私はただもう一度ちゃんとお礼が言いたいだけであって…。
決して、そういう仲を夢見ているわけではなく…。
「とりあえず、バイトするならメモ帳とか、印鑑とか、あと通帳も作らなきゃだね」
「そ、そっか!帰り100均寄ってかなきゃ。夏奈…!他に必要なものって何だろう…??」
夏奈はドラッグストアでバイトもしている。
売っているものは違えども、お仕事の内容は似ている部分もあるんじゃないかと思うんだ。
「そうねぇー…ハサミとかカッターは必要かも。多分本屋さんも届いた段ボールの荷物開けたりするだろうし。あとはね、ハンドクリーム必須」
「ハンドクリーム?」
確かに冬場は乾燥するから私も持ってるけど…。
「えーとね、レジ打ってると指先めっちゃ乾燥する。レジ袋とか取るじゃん?もう指パッサパサだよ」
「なるほど…!薬局にも行ってこなきゃ」
「そんぐらいかな?まぁ本当に必要なものは入社時に説明してくれるんじゃない?それ聞いてからでいいと思うよ?」
「そ、そうだよね!よし…とりあえず帰ったらお母さんに余ってる印鑑が無いか聞いてみる!」
「ふふ、有希、頑張れ~」
そんなこんなでいよいよ来週から私の社会勉強スタートである。
頑張るぞ…!




