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12 面接の余韻

◇◆◇


人生初めての採用面接が終え家に帰った私は、小一時間前の緊張を思い出していた。


「はぁ…緊張した。」


大丈夫だったかなぁ。

自己PRは練習した通り言えた…と思う。

兼平さんもたぶん気を使って面接とは関係ない話もしてくれたし、最後の方は落ち着いて受け答えできた。


かなは「面接なんてテキトーで大丈夫だよ。志望動機?家から近くて通いやすいからでいいじゃん」とか言ってたけどそれで採用されるのはかなだけだと思う。

私なんて準備せずに行ったら緊張して泡吹いて何このポンコツ社会なめんな?おととい来やがれって鼻で笑われて不採用だよ。


「ってか兼平さん絶対気づいてない…」


そう、アルバイトでお金を貯めたいのは本当。

だけど、私は兼平さんのお店で働きたいのだ。


――雨宮書店 店長 兼平啓介


あの日以来、お気に入りのパスケースにしまっていつも持ち歩いている名刺を取り出す。

私にとってのお守りだ。

面接中、言おうか迷ったけどあの日店長はプライベートだったようだし、会えば気づいてくれるかなぁと思ったんだど…。


「完全初対面の反応だった…。」


そりゃそうか。変な男につきまとわれたJKを助けたらアルバイト先に押しかけてきた件、って書籍化しても全然面白くなさそうだもんなぁ。


それにしても…。


仕事中の店長さんって雰囲気全然違うんだ。この前は眼鏡してなかったけど…今日は黒ぶち。めっちゃ似合ってた。


「しかも話し上手だし」


なんというか会話の間の取り方がうまく表情がとても落ち着いていて自然とリラックスさせてくれる話し方だった。これが大人ってやつか。カフェのサービス券ももらっちゃったし。


シフト希望は週3日。平日の放課後2日間と土曜日にした。履歴書にはちょっとでも採用されやすいようにと平日16時以降と土日の週7日勤務ですと書いたのだが「それやると僕が捕まっちゃうかな」と店長さんに言われて恥ずかしかった。日本でお仕事をするには週に1日はお休みしなきゃいけなくて、40時間以上働いちゃいけないらしいよ。ほんとなのかな?


とりあえず夏奈に報告しよう。

なんだかんだ相談に乗ってくれたしね。サービス券も明日学校で渡してあげよっと。


私はメッセージアプリを起動して夏奈にメッセージを打つ。


ゆー   《面接終わった!緊張した!!》


数分で既読が付き、返信が来た。


かりーにん《お疲れー!どだった?》

ゆー   《ーん…五分五分?笑》


かりーにん《まぁ大丈夫でしょ!ゆき可愛いし!》

ゆー   《本屋さんのエプロン似合うかな?笑》


かりーにん《おーおー、五分五分のくせしてすでに店員気取りですか?》

ゆー   《だってあそこオシャレだし働けるかもって思ったらちょっとワクワクしてきてさぁ。》


かりーにん《わかる。カフェとかうちの学校の子もよく行ってるけど雰囲気めっちゃいいよね!》

ゆー あ、《そうだ!店長さんからカフェのサービス券もらったよ!明日持ってくね。》


かりーにん《まじ!?ラッキーじゃん!……あ、でもそれって…。》

ゆー   《ん?》


かりーにん《不採用でも許してねっていう意味だったり?…笑》

ゆー   《ちょっと!!不吉なこと言わないでよ!!》


かりーにん《ごめんごめん!じゃぁサービス券期待してますっ!》

ゆー   《ほーい、じゃぁ明日学校でね~》


そんな感じで運命の1日が終わった。

今日は緊張してちょっと疲れたよ。ゆっくりお風呂に入って早く寝ようっと…。

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