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内面

では彼らが内面と呼ぶモノを見ていこう。


彼らは自分たちの中に”感情”というものがあり、これは他者からは見えないが、確かに存在するものと認識している。


感情プログラムにより、恐怖や怒り、妬み、希望、さまざまな思考の方向が生まれた結果、生活圏は惑星中に広域分布しているにもかかわらず、共通するモノを作り出した。


それは”宗教”、”信仰”、”魂”という目には見えぬ概念だった。


自分たちに解明できない現象をこれらに頼るようになった。


これから述べるが、感情という単なる生体反応に、これほど複雑な設定を施すとは面白いものである。


中でも面白いのが、”魂”という概念で、”感情”が得体のしれないモノであり、我々のように第何次元に存在するモノなのか完全に理解できないため、魂という新しい概念を作り、魂と感情を結び付けて考えたことだ。


また、意識の宿る魂を人間あるいは一部の生物特有のものとし、生命活動停止後の世界”幽世(かくりよ)”を作り出し、生命活動停止後も自分の意識は存在するものと考えている。


想像できない生命活動停止後の世界”死後の世界”を理解できるものに置き換えるために、工夫しているようだ。


幽世かくりよ、あの世とも表現しているが、彼らはこれにも天国と地獄という概念を作った。

この概念を効果的に利用することで、自身のコミュニティの生前の活動をある程度制御していた。

彼らは恐怖や感謝などの感情による制御だけでなく、”信仰”という概念も上手く利用することで統治していた。


このように感情にまつわる様々な概念を作り上げ、自分たちなりに不可思議なことを理解、処理しようとしていた。


ただ、これらは他人よりも幸せでありたいといった感情よりも生産性は低く、文明発展貢献度も低いが、秩序や安寧をもたらすことに一役買ってる。




結論として感情プログラムは、不安定で予期できない行動をもたらすが、長期的視点でみると文明発展には大いに有効であると判断できる。


よって、我々の研究に役立つものとして、今後も彼らの観察を続けていく予定である。


お話しとしてはこれで終わりです。

ここまで読んで頂き、ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
夜空さんらしい、超常現象を物語風に工夫したシステマチックな話でした。 評論文として、こういう解釈もある、とも取れました。 昔の神話やおとぎ話、幽霊も、立証できない限りは「~だろう。」の域は越えられませ…
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