お空のぼうけん
お日さまは、いろんな国にある、いろんな町の人たちに、声をかけます。
「さぁ、みんな、朝だよ!」
お日さまの声で、にわとりはとびおきます。いそいで「コケコッコー!」となきます。
にわとりがなくと、町の人たちはおおあわて。パン屋さんは、いそいで火をおこし、したて屋さんは、はりに糸をとおします。
りょうしさんは船にのりこみ、おひゃくしょうさんは田んぼをたがやします。
「みんな、がんばってるな。ぼくもがんばらないと」
と、そのとき、お日さまにだれかが話しかけてきました。こしに剣をぶらさげた、ぼうけんしゃたちです。
「お日さまは、いったいなにをがんばるんだ? おれたちはぼうけんに出かけて、まものたちとたたかったりするけど、お日さまは空にうかんでるだけじゃないか」
ぼうけんしゃたちに笑われても、お日さまはちっとも気にしませんでした。パン屋さんもしたて屋さんも、りょうしさんもおひゃくしょうさんも、そしてもちろんぼうけんしゃも、みんな毎日ぼうけんしているのです。そしてそれは、お日さまもおなじでした。
「ぼくは、いつか夜を追いこして、お月さまに会うのさ。だからぼくは、ずっと、ずうっと、夜をてらすぼうけんを続けているんだよ」
ぼうけんしゃたちは、もうどうくつの中に入ってしまい、いなくなっていました。それでもお日さまは、みんなのぼうけんが、うまくいくようにと、いのりながら、今日も夜のやみをてらすのでした。