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黝ずみの狼  作者: hazuki
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十九話 揺れる心

十九話 揺れる心


「カッコ悪いな...俺...」

男のくせにウダウダと声を荒げてしまった。


ルーナ達は俺をどう思っただろうか...


ダイスは凄惨な戦場で戦う女性の言葉に肩の力を落とす。ダイスは今戦いの意味を模索している。彼女の言葉を聞き、その言葉を自分の言葉で飲み込もうとしている。


そんな戦いに対して揺れる思いを抱くダイスの隣には対戦相手であろう男性が隣に立った。


たしかユーリさんだったよな...

彼はダイスらより年上の中肉中背の男。風属性特有の緑がかった毛並みが彼が使う属性を露わにする。

「君がダイスか...お互いいい試合をしよう。」

優しく話しかけるユーリだったがその目にはダイスを注意深く睨みつける様が伺える。

「はい。」

「では皆さん!!!コレから狼人祭名物、格闘大会を開始します!!」

どこからが聞こえるアナウンスの声と共に村の中央広場にて始まった格闘大会。観客が取り囲む中央広場には特設舞台が設置されている。

「ではただいまから一回戦第一試合、ダイス対ユーリ様方の試合を開始します。お二人は武舞台にお上がりください。」

大歓声の中、朱色の毛並みの狼人ダイスと青柳色の狼人が武舞台へとあがった。


すると武舞台に姿を現すユーリを見て彼を卑下する狼人がちらほら見えた。

「また性懲りも無くユーリのやつが参加してるぞ。」

「どうなってんだ、」

「ああ、俺はアイツに金を掛けたんだ。今年は簡単に負けんなよぉ〜金を掛けてんだ。」

「馬鹿だな、今年はグリエル一択だろ。」

「いいんだよアイツは、好きじゃねぇからな...」

「お前お大損確定だな...」


何だユーリって有名人か何かなのか。

観客席に紛れ込むヴィタらはユーリに対して言い放たれる言葉に疑問を抱く。

「なぁアルバス、あのユーリって奴しってる?」

そう聞くとアルバスはバツの悪い顔をした。

「まぁしらねぇ事は無いけどな、」

「なんだよ。」

「んーアイツはものすごく弱いぞ?よくわかんねぇがこの大会に毎年参加してんだよ。」

「へー」

酔っ払いが勢い余って参加でもしたのか、まぁ一回戦の相手が弱いのはダイスからしたらいいことか、、

「では毎年恒例、簡単にルール説明をさせていただきます!!!」

会場に響き渡る声の主は突如武舞台へと姿を現した。その声の主は黒いコートで身を包む不思議な男。不気味にも舞台に立つその男は右手に銀色のステッキを手にし、陽気なうちぶりでルール説明を始める。

「ルールは簡単!!!」

「勝敗は武舞台から身を乗り出してしまった場外の場合と戦闘不可能と私が判断したこの二つのみ!」

「コレから始まる試合は逃げる事は許されない戦士の試合!!!真の戦士になるべく戦うその狼人をみなさまどうぞお楽しみくださいませ。」

男は巧みな言葉使いで観客を盛り上げる。

「では始めましょう!!!一回戦第一試合を開始します。」

舞台で向かい合うダイスとユーリが定位置につくと黒コートの男は銀のステッキを舞台に叩きつけ、開始の音頭を叫ぶ。

「初めっ!!!!」

大歓声が上がると黒コートの男は舞台に立つ二人を残し姿を消した。


そうして僕らの試合が始まった。


開始の合図がなり、少し遅れをとるもダイスは手に魔力を集中させる。

そうして彼らは初動に放つに最適な攻撃を相手へと仕掛ける。

「攻賽」「音破」

ダイスはジャラジャラと六つの四角い炎を生成し、その一つをユーリへと放った。

一方ユーリは手のひらで圧縮した空気の球をダイスへと撃つ。

開幕早々放たれた二つの属性は破裂音と共に大きな大きな不快音を響き渡らす。

「きぃぃぃぃぃぃぃーーーん」


なっ、なんだ!!!鼓膜が破れそうだ!!!


突如鳴り響いた不快音にダイスは耳を覆ってしまう。しかしそうしている間にも武舞台の上では試合が続く。ユーリは耳を塞ぎ無防備なダイスに駆け寄り、属性を撃ち放つ。

「音破」

ユーリは手のひらから「ボンッ」と大きく音の風を引き起こしダイスを武舞台の外へと吹き飛ばそうとする。


これがユーリの攻撃パターンなのだろう。

「音破」による相手の意表を突いた奇襲攻撃、初見にて見破るのは難しいだろう。


そうして起きた揺れる風の波はダイスへと襲いかかる。

「防賽」

ダイスの手のひらにある一つの炎が弾け、ユーリ攻撃の相殺した。

「!!!」

ユーリはダイスの対応の速さに驚きを隠せないようだ。

「破音」

ユーリは再び音の爆弾をダイスへ放つ。

「またですか?」

ダイスは冷静にもユーリの攻撃を見切り、手のひらに残る四つの炎をユーリへと放つ。

「四段攻賽」

ダイスの放つ攻撃はユーリの「破音」を貫きユーリへと直撃する。

その攻撃によってユーリの体には瞬く間に火が燃え広がり、ユーリは地面に転がる。

「音破!!!」

ユーリは自身の風をぶつけ体に広がる炎を消す。


その様子を見てダイスはユーリへ疑問を投げかける。

「どうして攻撃しないんですか。」

ダイスの発言に珍妙な顔を浮かべるユーリ

「何を言ってんだ攻撃してるだろう...」

「俺が言ってるのは命を刈り取る攻撃のことです。」

「あなたの今の攻撃からはその意図が感じられない。俺だけ本気でやっているみたいで気分が悪いです。」

ダイスの発言にユーリは顔をしかめる。


ダイスは自分が年下だから手を抜いているのだと思っていた。

だから自らだけが致命傷へと至る攻撃を仕掛けているこの現状に嫌気がさしたのだ。


ダイスの自身の気の引ける思いから投げかけたその言葉にユーリは肯定でなく否定で返した。

「はっ悪かったな。これが俺の精一杯の攻撃技だよ。」

「お前は良かったな攻撃技に恵まれて「アタリ」の能力だ。」

「何を言って、、」

突如言い渡された言葉にダイスは言葉を失う。

「俺は自分の魔力特性によって人生を壊されたんだ。」

「能力は皆にハズレと揶揄される屈辱的な能力。」

「魔力特性「無血開城」」

「この能力がある限り俺は敵に傷を負わせることが出来ず、お互いが死ぬことができない。戦地では役に立たないただの延命能力。」

「お前の言う通り俺は敵の命を刈り取ることが出来ない。それどころか俺は属性で人どころか羽虫さえ殺せない。」

ユーリは歯を食いしばり、心の奥底から出たであろう唸り声を上げた。

「じゃあ何でこの大会に参加したんですか。」

ダイスの口から零れた一言にユーリは感情を露わにする。

「俺は戦場で死にたいんだ!」

「家族は俺以外みんな戦争で死んだ。母さんも父さんも兄さんも、あの妹でさえ、なのに俺は平和なこの村でおめおめのここで生きながらえてしまっている。」

ユーリは武舞台で涙を流しながら立ち上がる。

「あの場所には誰もが行けるわけじゃない!」

「俺はこの大会で名を挙げて戦場にいく許可を貰いに来た。」

「だからそこを退けよぉぉぉ!!!」

ユーリは決死の思いで最大出力の攻撃をダイスへと放った。

「騒破音」

彼の言葉を聞きダイスは心を決めて反撃する。

「丁半」

ダイスは手のひらに六つの賽子を生成する。

「弱いのであれば、だからこそ貴方はここに居なくてはいけない。」

「六段生賽」

その攻撃はユーリの決死の攻撃を正面から貫き、ユーリを目前で爆破させる。

「なんで、、、」

そうして爆風に飲み込まれたユーリは、属性に直接触れ合うことなく武舞台の外へと吹き飛ばされた。


舞台外へと飛ばされたユーリは舞台の上に立つダイスを見上げ、絶望の表情を浮かべる。

「俺は戦場は貴方の家族が望む場所じゃないと思うんです。」

ユーリは肩を振るわせ怒りの表情を浮かべる。

「お前に何が分かっっっ!!!」

「そこまで!!!」

黒ずくめの男がユーリとダイスの仲裁に入りその場を収める。

「一回戦第一試合はダイス様の勝利に手ここで終了となります。」

「第二試合はルーナ様対グリエル様の試合となっていますのでしばらくお待ちください。」

舞台の下で暴れるユーリを周りの狼人が取り押さえ、第一試合は幕を閉じた。

「ヴィタの旦那!ダイスの奴やりますね!」

「う、うん」

ダイス普通に強いじゃん、それに相手のユーリって人、弱いって程じゃなかったと思うんだけど、どうなんだろ、

「どうしたんですかそんな変な顔しちゃって、顔が暗いですよ!」

アルバスはグイグイと肘で僕の脇腹を小突く。

「暗いんじゃなくて毛が黒いだけだ。バカにしてんのかアルバス。」

「ち、違う!」

アルバスは焦って訂正をするがその姿が何とも情けない。

それを見かねてルーナがヴィタらに言い放った。

「ヴィタ、アンタね、年上の人を虐めんじゃないわよ、みっともない。」

「みっともないって、どっちに言ってるんだよルーナ!俺か?ヴィタの旦那か?」

「、、、」

「私、試合があるから行ってくるわ。ダイスにはお疲れ様って言っておいて。」

「分かった。気をつけろよルーナ相手はあのグリエルだ、何をするか分かったもんじゃない。」

「分かってるわよおじさん。じゃあ行ってくるわ。」

ルーナはつかつかとグリエルへと試合に向かって行った。


約束があるから心配ないだろうが相手があのグリエルだ。何をするか分かったもんじゃない。

心配だ...何事もなければ良いが...


「みっともないはいいけどよぉ、おじさんはなぁ〜」

「なぁおじさんって、俺のことじゃないよなヴィタの旦那ぁ〜」

アルバスは僕に食い入るように顔を近づける。

「知らねぇよ!!」

ヴィタは加齢臭のし始めたアルバスを押し除けルーナの試合とダイスの帰りを待つ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

無血開城...この能力の保有者は自身の属性で相手に傷、怪我を追わせることができなくなる。その代わりに属性に対する耐性が格段に上がり、属性による攻撃では死ぬことは無い。故に得意能力は自身の延命能力に長けている。


音破...手で生成した音の爆弾。触れると大きな爆音を響き渡らせる。

破音...音破同様、生成した音の爆弾。音の暴風を起こす。

丁半...手のひらに賽子を模した炎の玉を最大六つまで生成する。

攻賽...賽子を模した炎の玉。指定した位置で小規模の爆発を起こす。

防賽...賽子を模した炎の玉。属性が触れると爆発する。

四段攻賽...攻賽を複数と放つ。連続して命中するたび威力が倍増する。













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