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黝ずみの狼  作者: hazuki
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始まり。

始まり。


黒煙の立ちこめる教室で血生臭い匂いが鼻の奥を刺激する。

苦しみの中、燃え上がる生き物が僕の足にしがみつこうとする。


「あぁぁぁぁぁぁ!!!」

絶叫をあげ、僕はのたうち回る。ゆらゆらとこちらに近づいてくる生き物は、言葉ともならない呻き声をあげている。


僕はそこでふと気づきを得た。

体を動かそうにも足の感覚がないことを、、

すると他に伏せる僕の寸前の所で生き物は力尽きた。


そんなことも束の間、辺りに燃え上がる火は次々と生者に浄化してゆく。


それからどれぐらいの時間が流れただろうか、ある人からは約数分、ある生き物は無限の時間にも感じる時が流れたであろう。


黒煙の立ち込めた教室は鎮火され、辺りには残火を残し、次第に煙が霧散していった。


死にゆく僕はふと目の前に転がるあるものを手に取った。


「神様また次があるなら上手くやります。間違えないように、」


僕はそれを抱き抱えるように目を閉じ、眠りについた。



ピピピーピピピーピピピー、ガチャッ


今日もまた変わらぬ日常が続く、憂鬱な気持ちとは裏腹に僕は機械的に鳴り響く目覚まし時計を止め、重たい体を起こす。


ああなんで起きてしまったんだろう。


カーテンの隙間からはギラギラと太陽の光が差し込んでいる。僕は眼鏡をかけ、手元にあるリモコンでテレビのスイッチを入れる。


今日は家に両親はいないんだ、休んでしまおうか、誰にも怒られないんだ。


「8月7日に亡くなったとされる男子生徒の○○さんの自室からいじめの告白文なるものが発見された模様です。遺族である○○さんのご遺族の方からの悲痛な思いがこちらです。」


「私はっっ、許せません。あの子が死んでしまうなんて、、決して許しません。あの子が死んでしまった真実を知りたいですっ!」


「このようにご遺族からは悲痛な叫びが届いています。今現在いじめという非人道的行為について議論がされている中、起こってしまった今回の○○さんのいじめについて、生徒が通う高校側は已然黙秘を貫いておりますが、この問題についてどう思われますか?杉本さん」


「はいそうですね、この問題がどのようなものだったのか明るみになったとしても亡くなってしまった若い命が戻ってくるわけではないですから、私はそれをとても悲しく思います。」


「そうですね、私はどのような形でも正義が執行されることを祈っています。以上朝のニュースでした。次は今日のお天気予報です。片山さっ」


ブチッ


僕はテレビの電源を切った。

その時の僕は全身冷や汗がら止まらなかった。

「怖いなぁ、」

僕の口からはその言葉がぽつりとこぼれ出た。


ああ、何でこんなことになってしまったんだ。思い返すと後悔ばかりの忘れたくなるような日々だった。逃げたい、でもいかなくてはいけない。


僕らは、いや僕は取り返しのつかない罪を犯してしまったのだから。


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