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8.

 (※ジャレット視点)


 どこだ、ここは……。

 目を覚ました私は、今の状況に怯えていた。

 声が出せないように、口には布が縛り付けられているし、手足は何かに繋がれて動くことができない。

 私はこれから、どうなってしまうのだろう……。


 そもそも、どうしてこんなことになったのか、記憶を辿ってみた。

 そうだ、確か、あの一家の奴ら……。

 奴らが私の部屋で盗みを働いていた。

 それで屋敷にいる誰かを呼ぼうとしたところを襲われ、気絶させられた。

 それから、ここまで運ばれてきたというわけだ……。


 スーザンを陥れるために、彼女の一家の者たちに取り入ろうと思ったが、まさかこんなことになるなんて……。

 私としたことが、とんだ失態だ。

 これから、私はどうなるのだろう。

 今のところ命を取られていないことが、不幸中の幸いだが、それもいつまでも続くとは思えない。

 盗みを目撃してしまった以上、消される可能性はゼロではない。


 誰か、私を助けてくれ……。


 こんなことになったのはきっと、私のくだらないプライドのために、スーザンを陥れようとしたからだ。

 神様はそんな私に罰を与えたに違いない。

 私がくだらないことを考えたせいで、こんなことになったのだ。

 まさに、因果応報というわけだ。

 もし助かれば、これからはもう少しましな生き方をしよう。


 だから……、だから誰か、私を助けてくれ……。


     *


「なんだか屋敷内が騒がしいですねぇ……」


 夜中だというのに、さっきから部屋の外の廊下からたくさんの人たちの足音が聞こえてくる。

 何か、あったのだろうか。


「少し、事情を聴いてくるよ」


 隣で寝ていたカーティス様は起き上がり、ガウンを羽織ってから部屋を出て行った。

 私はベッドに横になった。

 ここでの生活は、とても気に入っている。

 今までにないほど幸せだ。

 もしこの騒ぎでカーティス様が困っているなら、少しでも協力したい。

 彼に少しでも恩返ししたいし、愛している彼のためなら、なんでもするつもりだ。


 足音が近づいてきた。

 走っているようだ。

 そして、部屋の扉が開いた。

 カーティス様だ。

 彼は、狼狽えている様子だった。

 いったい、何があったのだろう。

 

「大変だ! 弟が行方不明になった!」 


 彼の弟は、私のことを嫌っているだろう。

 私も、彼のことはあまり好きではない。

 それでも、カーティス様は弟のことを心配している。

 

 私の取るべき選択は……。


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